猛毒
「今の内に逃げよう」
俺達は急いで螺旋階段を駆け上がる。その途中でプーリミオ達の悲鳴が聞こえて来たが聞こえないフリをする。すまん!
「そういえば、ウリノーム・ペルグランデには猛毒があるらしいわよ」
唐突にアンナさんが言い出す。その後にレイキが続く
「聞いた事が有ります。確かエマヌエルに聞いたんですけど……何でも、その毒を受けた者は細胞が死んで行くんだとか」
そんなヤバイ毒持ってるの⁉︎ しかしオウキなら問題なさそうな毒だな。アイツ回復するから……よく考えたらアイツどうやって倒したら良いんだ? ほぼ不死なんだけど……
「その毒は流石のお姉ちゃんも死ぬ毒だって言ってた」
まさかの事実だ。此処から先は姉から聞いた話らしい。姉の超回復は時間の巻き戻しに近い傷の治り方だが、受けた場所から細胞がドンドン死んで行く毒に回復が追いつかず死に至るらしい。
変態事件の首謀者【パーバートゥ】により死にかけた姉は体を燃やして若い姿で蘇るほか無かったが、あの後少ししたら体は元の大きさに戻っていたらしい。しかし、このウリノーム・ペルグランデと戦った時に死にかけた為もう一度、体を燃やして復活したようだ。なので最近まで小さかったらしい
毒さえ効かない筈の姉が死ぬ毒ってどんなにヤバイんだよ……
「そうか……オウキも死ぬのか。手に入れたいけど……」
走りながらチラリと視線を巨大蛇に向けるが……
「無理だな」
「そやな。諦め」
「潔く諦めよ」
アナトリーとイノ坊、ボルハに断言された。言われなくても、そんな危ない事はしないよ
「大体、あの蛇どう倒していいか分からないし……ってどうした?」
皆んなが俺を置いて動きを止めた。なので動きを止めて後ろを振り返り尋ねると、皆一様に青い顔をしていて誰も何も言ってくれない。俺は嫌な予感がした。
これ、何時ものパターンだ……よく有るヤツだ……
俺は覚悟を決めて、ゆっくりと後ろを振り返りと……そこにはウリノーム・ペルグランデが、こんにちはしていた。この階段は螺旋階段。つまり体の長いウリノーム・ペルグランデなら体を伸ばせば俺達の行く手に先回り出来る
「うわぁ……」
ウリノーム・ペルグランデは大きな顎門を開けて俺を飲み込もうとしたが階段が邪魔をして口が俺の元まで来ない。なので階段に齧り付き壊しにかかる
「ちょっ⁉︎」
この階段は鋼鉄製だがドンドン拉げていく。このままでは階段が壊れる!
巨大蛇は更に長い体を階段に巻き付けて来て階段全体を圧殺しようとする。階段は死なないから圧殺ではないか……壊そうとしている
「これヤバイわよ!」
「喰われる前に潰れて死ぬ!」
「儂も此処までか……」
最早打って無し。どうする事も出来ない。俺の目の前に大きな顎門が迫る。
そして俺はある事に気付く。それは迫り来る口の中は当たり前だが鱗が無くて無防備だ。ならば攻撃が効くのではないか?
「火球」
俺は炎系魔法の火球(結構大き目のヤツ)を口の中に撃つ。コレは効いたらしく頭を振り回して悶えたが直ぐに立て直し怒りの篭った目で俺を見る。そして大口を開けて……なんかを吐き出して来た。直ぐに気付いて避けたおかげで腕に少しかかった程度で済んだ
「……っ⁉︎」
ジューっと音を音を立てて溶けて行く腕。骨が見えてきた。マジか⁉︎
再度口を開けて突っ込んで来るウリノーム・ペルグランデ。先程の溶解液のおかげで階段は溶けて俺は丸見えだ。俺を守ってくれる者はない。頼りのレイキは少し離れた所に居り、圧殺から逃れる為、皆を結界に入れて守っているのでこちらに力を回す余力は無さそうだ。自分でどうにかするしかない。
ギリギリと締め付けられているレイキの結界を横目で見つつ、刀を抜く。この刀はオウキから借りた物だが良く切れて使い勝手が良かった為、借りパチしたのだ。アイツには文句を言われたが、仕方ないと譲ってくれた。
ーーその刀を掲げ、ヤツの顎の下から刃を突き刺すーー




