やはり、その中に姉は居ない……
目を開けると、そこは知らない天井だった。横を向いて何処に居るのか確認すると納得。医務室だ
「目ェ覚めたんか」
枕元にイノ坊が居たらしく俺が起きたのに気が付くと頬に擦り寄って来た
「お前も怪我してるのか?」
「まぁ、流石にあの状況で引くの難しくてな……頑張ったが流石に4対1はキツイわ」
包帯が巻かれてあるイノ坊を突つきながら俺はあの後の事を問う
「暫くしたら応援が来たからな。倒れた自分らを背中に乗っけて引いたわ」
その後は全軍撤退し、スゴスゴと帰って来たらしい
「上は、てんやわんや。そらぁ、連隊長が裏切るなんて思わんからな! 因みに魔人王は隊長さんやったで」
「え?」
連隊長は魔人王の息子だ。その可能性は幾らでもあった。なのに気付けなかった
「こらー、これから第7は大変やろな。風当たり強なるで」
「だろうな」
これから、俺達はどうなるのだろうか? 連隊長も居なくなりアルトゥールさんも居ない今、新たな連隊長は誰になるのか……
考えているとレイキの事を思い出した。レイキは確か姉に刺されて重傷だった筈。レイキだけではない他の皆んなもだ
「レイキや他の皆んなは?」
「レイキとボルハ、アナトリーは大丈夫。だけど……アンナが重傷でまだ目を覚まさないわ」
「あ……クリスさん」
俺が目を覚ました事に気が付いたクリスさんが部屋に入って来てくれた。そして診察をしながら話をしてくれる
「結構、殉職者も多いみたいでね。ルーイさんも……オウキが【ゴボウ先輩】とか呼んでた人も亡くなったって。勿論、彼女の刃でね」
ゴボウ先輩……そんな名前だったんだな。よく知らないけど、可愛がっていた後輩から刺されて亡くなるなんて……なんて不憫な終わり方なんだ
「貴方の容体だと、もう少し入院が必要だけど時期に良くなるわ」
そう言ってクリスさんは部屋から出て行った。その後に軍の上層部の人間が事情聴取に来た。姉が最近可笑しな事が無かったか、また何か怪しげな事をしていなかったか聞かれた。まぁ、身内だからだろう。
上層部の人間は身内なら何か知ってるかもっと思ったかも知れないが残念ながら俺は何も知らない。だから、
「特には……無かったです」
っと答えた。今、思えば全ての言動が怪しかったが挙げるとキリががないので無いっと言っておいた。納得はしていなさそうだったが、上層部の人達も実の姉に刺され殺されかけた弟に強く聞けない様だった。なので直ぐに質問は終わり部屋から出て行った。
上層部の人が出て行くと近くに居たイノ坊が教えてくれた
「ネェちゃんの部屋にガサ入れに入ったらしいで。後、隊長さんもな。でも、なーんも出てこんかったって」
「そうか……」
そういえば、カティルが身辺整理とか言ってた気がする。マズイものは片したのか?
「これから、どないするんや?」
イノ坊が問いかけて来る。俺は……
「決まってるだろ? 倒すよ姉を」
正直言って今はまだ迷っている。しかし姉は俺達を攻撃するのに何の躊躇も何もない。迷って居れば俺達が殺られてしまう
「ほか。ネェーちゃんもそれを望んどるやろな」
「……姉の事分かってるんだな」
「いや。多分そうやろな〜思てるだけ」
なんだそれ?
「ほな! 儂は妹の方見て来るさかい、ユックリしときや!」
っと言うとイノ坊はベットから飛び降り部屋から出て行った。イノ坊が去った後、俺は目を閉じて今後の事を考える。姉はああなってしまった以上頼りには出来ない。妹には頼れない。父は弟に掛かりきりだし、母は会社が忙しい。俺だけだ。俺がしっかりせねば……
「俺がしっかりしていれば、姉は裏切ったりしなかっただろか?」
いつの間にか今後の事を考えるより後悔が溢れ出して来て止まらなくなった。俺が頼りなかったからか? だから連隊長に付いて此処から出て行ったのか? 考え出したらキリが無かった。
「答えてはくれないよな……」
俺はそのまま眠る事にした。眠れば幸せな夢が見れて姉の事を忘れられるからーー
しかし見た夢はいつもの様に家族団欒をする夢だった。やはり、その中に姉は居ない……




