ダイレクトアタック!!
それから毎日のように任務に明け暮れ、自身を磨く日々が続く。この頃はモンスターの活動も活発化してきており、任務の数が大幅に増えた。
「一斉討伐……」
その任務が片付いてきた頃に知らされた【一斉討伐】。なんでも魔人達が次の魔人王を決める為に集まるらしく、そこを狙って一網打尽にする気らしい
「らしいな……次の魔人王って事は今の魔人王はどないしたんや?」
「分からない……」
イノ坊とベッドの上で寛ぎながら話す
「最近、連隊長も休み気味だし……姉も見かけないし……どうなってるんだろうな?」
そう……最近、連隊長やアルトゥールさんはお休み気味なのだ。なので上の人達が第7連隊への風当たりを強くしているらしい。このままでは連隊長は降ろされるのでは? っという噂すら流れている。
姉も休み気味の様で会ってない。姉だけではない。エマヌエルやカティル、ヌンツィオもだ。
「あの4人様子が可笑しかったしなー。心配やったら様子見に行ったらええやん」
「そうだな」
その手が有った。何故様子を見に行こうとしなかったのだろうか……
「そうと決まれば!」
俺は姉の部屋に行く事に
姉の部屋の前に着き、ノックをしたが返事は無い。なので勝手に開けると……リビングでグッタリとしている4人を発見。思わず駆け寄る
「おい……大丈夫か?」
「へーき、へーき。ノープロブレム!」
「大丈夫そうに見えへんで?」
姉は手を振り言うが説得力がない。しかし、何度聞いても問題無いの一点張りだったので渋々引く事に
「何か有ったら呼べよ!」
「……うん」
その言葉を聞き俺は部屋から出た。そしてモヤモヤした心を鎮める為、任務に出る事に……
「お姉ちゃんが最近変」
部屋に帰るとレイキが言って来た。確かに変だ。まぁ……最近ではなく、ずっと前から変だけどな。アイツ絶対に頭のネジ何本か抜けてるだろう
「そうじゃなくて……最近話しかけても上の空っというか……」
「まぁ、今日グッタリしてたしな……クリスさん辺りに聞いてみた方が良いかもな」
近々、一斉討伐が有るので、それが終わってからでも大丈夫だろうか? それとも支障が出るから討伐前?
「連隊長もヤバイみたいだし、何か有るかもね……」
何故か部屋に居るアンナさん。何で居るんだ?
「アンナさん?」
「あー……連絡に来てね。一斉討伐の日時が変更になってね。明後日には此処を出て準備しなくちゃいけないから、今日か明日のうちに、やり残した事が有るならやってしまいなさい」
やり残した事って……まぁ、それだけ危険という事だろう。なんだって、この前の襲撃時よりも魔人の量は多いらしい。
「じゃ、また明後日会いましょう!」
アンナさんは出て行った。やり残した事か……
「私、家族に会ってくる」
沈黙を保っていたアナトリーが声を上げる。
「私も会ってくるとしようか」
ボルハも言う。
「俺らも行くか?」
レイキに問うたが首を横に振られた。
「この前、会ったから……それに今会えば離れ難くなるし……」
なので俺達は行かない事に。その代わり明日はレイキと過ごすつもりである。
次の日の朝早くからアナトリーとボルハは出掛けて行った。俺とレイキは同じ時間に起床したが出掛けずに部屋でまったりと過ごす
「2人共居るかー」
そこにノックもせず姉が突撃して来た。「ノックぐらいしろよ」とは口が裂けても言えない。俺もよくするからな……
「居るよ!」
「居る」
「儂も居るで!」
イノ坊、お前は聞かれてないと思うけど……
「なら、ショウキに向けてダイレクトアタック!!」
「うおっ⁉︎」
姉が謎の言葉と共に俺目掛けて何かを投げて来た。
「何するんだ……ヌイグルミ?」
姉が投げて来たのはヌイグルミだった。しかも、姉に渡した母からの贈り物である鳳凰の髪飾りとペンダントを付けている
「自分に付けろよ」
「自分自身燃やしちゃうかも知れないでしょ? 付けてたら燃えるじゃん」
「確かにね……」
姉は自身を燃やす場合があるので大事な物は付けない様にしているらしい。
「あ!」
俺の手元に有るヌイグルミを見ていたレイキが何かに気が付いた
「このヌイグルミって確か、入隊時にお母さんに貰ったやつ……」
レイキの言う通り、このヌイグルミも母に貰った物だ。
「私が戻るまで預かっておいて」
「はぁ?」
それだけ言うと部屋から出て行こうとする姉。しかし何かを思い出したのか扉の前で止まり、くるりと回れ右をしてもう一度俺達と向き合うと……
「そうそう、私から1つ言っておきたい事があるんだ!」
「なんだよ……ってか、ヌイグルミは持って帰れ!」
ヌイグルミを押し付けようと姉に近づくと、ある事に気がついた。姉の左手に黒い模様のようなモノが描かれている。なんだろうか?
「誰と戦う事になっても、迷わず戦え」
「はぁ?」
「お姉ちゃん?」
それだけ言うと姉は今度こそ部屋から出て行った。それを見たイノ坊は
「そういう事か……」
っと呟く。俺はイノ坊に問いただしたが
「だからか……えらいこっちゃな……あの子はそういう結末なんやね。あの様子やと、あの時からこの結末は決まっとったんやなぁ。気いついたれへんかった……」
っとだけしか言わなかった。そして、イノ坊は「用が出来た」っと言って部屋から出て行った。残された俺とレイキには疑問しか残らない
そして謎を残したまま、今日という日は終わってしまった……




