約束して、何が有っても必ず3人揃って帰ってくると……
「今日もだ!」
それから俺達は姉の特別訓練を毎日受けさされた。それはキング・ガレオス討伐後でも夜勤明けでも続く。休日は、ほぼ一日中スパルタ訓練。流石に疲れて文句を言ったが逆ギレされたので大人しく黙った
流石にイノ坊も哀れに思ったのか、1日くらい休みを……っと言ってくれたのだが、姉に頬を引っ張られて虐められたので大人しくなった
それは砦勤務が終わるまで続いた。毎日、死にそうになりながら続けた結果、俺は何回かに1回は勝てる様になった。しかも1人で! 俺、成長したな……よく頑張ったよ
長い様で短い砦勤務が終わり、街に帰る。
「はぁ……疲れた。この休暇は、しっかり休もう」
「そうだね……私もヘトヘト」
俺達の姿を見たボルハとアナトリーは哀れみの目を向けてくる
「何でそんなに急いで私達を強くしようとしたんだろう?」
「さぁ? 姉の考えてる事は分からん」
ーーいつもの事だ。そう、いつもの事ーー
部屋の前に立った俺は動きを止めた。
「何? 早く入りたいんだけど……」
後ろからアナトリーが急かして来るので、場所を譲り扉の前に立たせた
「ひっ⁉︎」
アナトリーは扉を見て悲鳴を上げる
「これは……」
「新手の嫌がらせ?」
部屋の扉には連絡先の紙がビッシリと貼られていた。それは何かのお札が張り巡らされている様にも見える。兎に角、異常な光景である
「自分、何したんや? 恨みでも買うたんか?」
「いや……これは砦に行ってた時の婚活パーティーのヤツだな……」
取り敢えず、外さない事には入れないので全て外し中に入る。そして、連絡先を丁寧に重ねて丁度良い大きさの缶にしまう。ほとぼりが冷めた頃に処分しよう……
「お兄ちゃん、モテモテだね」
連絡先の記された紙は全て俺宛だった。モテ期……
「浮かれちゃって」
「違うから! それは出世頭に唾つけとく為だから!」
「分かってるよ!」
これが純粋な好意なら俺も喜んださ! しかし、これは純粋な好意では無く唾付けとく為のモノ。怖いよ……
「気を取り直して、ご飯食べに行こう!」
レイキの言葉に従い、俺達はご飯を食べに行く。食堂は結構いっぱいで何処に座ればいいか迷う
「あ、お姉ちゃんの所空いてる」
「本当だ」
俺達は姉達が居る場所に向かい
「ココいいか?」
珍しく無言で食べていたエマヌエル、カティル、ヌンツィオ、姉に尋ねるとOKをもらったので座らせてもらう
「ところで姉よ。いつの間に元の姿に戻ってたんだ?」
姉をみると、いつの間にか元の姿に戻っていた。
「昨日だよ」
姉はそれ以上、何も言わない。何時もならベラベラと聞いてもいない事を言ってくるくせに今日に限って話し掛けてこない。それは他の3人も一緒で少し気になる。いつもはワイワイと楽しそうに食べているのに……
4人は黙々と食べて早々に席を立つ。その去り際にカティルが
「そろそろ身辺整理が必要だな」
っと不吉な事を言っていた。
暫く休暇なので母と父、幼い弟の元に向かう。勿論、レイキも一緒である。そして何故かイノ坊も付いて来た
家に帰ると何時ものように母が出迎えてくれる。そして沢山話した後、弟と戯れて癒されながら砦でのスパルタ訓練の疲れを癒す。イノ坊は案外、子守が得意らしく尻尾を振り回して愚図る龍騎をあやしたりしていた。
「儂は子供も孫もギョーさん居るからな!」
らしい。子供と孫って……この猪何歳? まぁ、100キロ越えの巨体な訳だし長生きはしてそうだけど……
龍騎が寝付くとリビングに呼ばれる。俺とレイキはリビングに行き母と父に向かい有って座る。椅子は1つだけ空いていた……いつになったら、この椅子は埋まるのだろうか?
そして母と父からペンダントを渡された。それは姉とレイキ、そして弟の龍騎の分も有る
「兄弟4人、お揃いよ……四瑞の絵が入ったお守りなのよ。これに誓ってほしい……約束して、何が有っても必ず3人揃って帰ってくると……」
母の言葉はきっと、この先の結末を予感したからこその言葉だろう。
その約束が果たされる事が無いのだと……




