魔人王どうなった……
例の作戦を決行する事に
「行くぞ!!」
最早、ヤケクソである
俺の言葉に魔人王は反応、連隊長とアルトゥールさんは後ろに下がり俺に譲ってくれた。そのまま戦ってくれて良いのに……
俺は覚悟を決めて魔人王の周りをグルグルと回る。そう、自分でも驚くくらいのスピードで。魔人王が俺を見失いかけたら仕掛けるつもりである。そして、少し俺を見失いかけた魔人王の真後ろに、筋肉が軋み痛みが出るほどのスピードで近づき首を一閃ーー
『いつも後ろからでは芸がないぞ? すぐに読まれる』
避けられ、魔人王の拳が俺の腹にめり込む。いや、めり込むだけではない。腹部に貫通した。それは一瞬だけ酷く痛んだが、直ぐに何も感じなくなり視界が暗転……
「がはっ!!」
暗転したーーっと思えば俺の意識は直ぐに回復。魔人王が俺から手を離し、崩れ落ちそうなっている所で意識が戻り、足に力を入れて踏ん張り体制を持ち直す。目の前の魔人王が驚いた顔をしたが、直ぐに切り替え、もう一度俺に攻撃を加えようと腕を振り上げた瞬間、動きが止まる。
その隙を見逃さない。それは姉と妹が作ってくれた一瞬。
「うぉぉおおおおおお!!」
そして、姉から貰った凄まじく切れ味の良い刀で魔人王の首を
ーー斬り裂いたーー
落ちた魔人王の首、しかし魔人王は動き続けた。太い腕で俺を掴む。驚いた事に首が無くなった体で動けたのだ
「ちょっ⁉︎」
首が無くなった魔人王は、その太い腕で俺を掴み握り潰さんとしてくる。俺は呻き引き剥がそうと藻搔いたがビクともしない。治った筈の肋骨がまたミシミシといっている。なんで肋骨ばかり虐めるんだ
『ヌルイな。首を落として死ぬと思うたか!』
魔人王の首の切り口から、スライム状の何かが噴出し頭の形を形成し始める。そして俺が切り落とした筈の左腕からも出始め、腕の形を形成する
「回復する気かよ。そんなの有りか⁉︎」
ここまで頑張ったのに⁉︎ こんなのってないよ!
「いや、お前は死ぬよ」
その言葉と共に俺を掴んでいた魔人王の右手が胴体から切り離させる。
『ぐぉぉ……』
俺は床に落ちる前に首根っこを掴まれ後ろに放り投げられた。そして地面とこんにちはする前に血だらけなボルハによってキャッチされた
「あれ、ボルハ。お前戦ってたのか?」
「あぁ。我々だけなにもしない訳にはいかんからな」
ボルハの横にはボロボロのアナトリーと何時の間にきたのかアンナさんも居た。アンナさんとアナトリーにも声をかけようかと思い口を開けた瞬間、途轍もない轟音と衝撃波が襲いボルハ諸共吹っ飛んだので無理だった。
そして、その衝撃を受け吹っ飛んだ先で受け身を取る気力が無かった俺は、受け身を取れず頭を打ち付け意識はシャットアウト
魔人王どうなった……
気付けば自室のベッドで寝て居た。
「夢?」
そういえば、襲撃される前もベッドだった気がするが……まさかの夢落ち?
「いった⁉︎」
動いたら頭と肋骨あたりに痛みが走ったので、どうやら夢ではないらしい
「あ、お兄ちゃん。起きたんだ」
レイキがスペースに入って来て、痛い所は無いか? 気持ち悪く無いか? 等々聞いて来たので大丈夫とだけ答える
「でさぁ。あの後どうなったの?」
レイキに問うと、魔人王は連隊長とアルトゥールさんの最後の一撃により木っ端微塵に消し飛んだらしい。しかし、魔人王を消しとばす威力の攻撃をロビーで放ったのでロビーは暫く使い物にならないとの事
「魔人王が手を抜いてくれてたって意見が出てるよ? 本気なら一瞬で街が半壊してたって」
「ヒェ……」
相変わらず魔人はナメプするらしい。まぁ、そちらの方が好都合だが……
「魔人王とかラスボスだろ? それを倒したら帰れるとかでは無いんだな」
ラスボスを倒しても帰れないらしい。こういうのって魔王倒して終わりではないのか? 自由と希望を取り戻しハッピーエンド! って感じで。
やはり猪なのか……
「魔人王が鍵ではなかったのかな? その辺はお姉ちゃんに聞いて見ないと……」
姉なら何か知ってるかもしれないな
「お姉ちゃんは、まだ起きないんだって。あの体で人を回復させたのが効いたのかもって連隊長が」
姉の力は自身には使う分には問題無いが、人に使う分には副作用が有り過ぎる為、使い勝手が悪い。しかし、良い能力だと思う
「暫くは復興に力を入れるから任務は当面軽いものばかりなんだって」
この襲撃で軍への被害が甚大だったが、代わりに魔人への被害も甚大だった。なので暫くは魔人達も大人しくしているだろう。
「魔人王も倒したし、そろそろ地上へ移住も考えるんだって」
確かに指導者が消えて地上に居る魔人達の力は弱まる。なら、人は地上に戻れるかもしれない……
「直ぐには無理だけど、いつかは地上で暮らせるよ」
そんな日が来るのを信じて……




