締まらない
喰われた俺達だったが奇跡的に機体は無事であった。
「呑み込まれた?」
「かも……」
取り敢えず真っ暗なので明かりを付ける事に……
「ひっ⁉︎」
アナトリーが思わず声を上げた。そこにあったのは食い千切られた肉や骨、目や内臓等々。とてもじゃないが見ていて気持ちいいものではない。
「ここは胃か……」
どうやら俺達は呑み込まれて胃に到達したらしい。
「口の中って言ってたけど……胃でも有り?」
「内側なら良いんじゃないか?」
アナトリーが刺しても良いかの確認を取って来たのだが、俺は薬物に詳しくないので取り敢えず適当に返事
「じゃ、寄って」
「はいよ」
胃に例の薬物を投与すると……
「ちょっと⁉︎」
「うおっ⁉︎」
急にキュバリル・ウルティムスが暴れ出したらしく、刺していた針が抜けて機体が自由になり体内でシェイクされる。何度か壁にぶつかり機体からエラー音が出、室内が赤色になる。コレはマズイ……
そもそも、薬物は全て投与し終わったかも分からないし……この儘では……
終わった……っと思った、その時! キュバリル・ウルティムスの動きが止まった
「脱出する?」
「そうね」
なので脱出する事に。食道を通り口元まで出ると普通に口が開いていたので、そこから出る。暫く進んだら振り返り、キュバリル・ウルティムスの様子を見る。そこには目が濁り完全に動きを止めたキュバリル・ウルティムスの姿が有った。倒した?
『貴方達! 何したの⁉︎』
通信からアンナさんの声が届いて来た。俺はそれに応えようとしたが……
「ちょっ⁉︎ ショウキ! ガラスにヒビが入ってる! 割れてる所あって水が入って来てる!」
「うわぁぁぁあああっ⁉︎」
船内はパニックに陥った為、無理だった。みるみる水が溢れてきて俺達を溺死させようとしている
『落ち着いて、スプレーがあるでしょう! それを割れた箇所に掛けて!』
スプレー? 何処にあるんだ? 水が腰辺りまで来ており、大分パニックになっている俺はスプレーが見つけられない。それはアナトリーも同様の様で……
「取り敢えず、本部に!」
『本部より、門の方が近いわよ。そこに行きなさい』
俺達は急いで門へ向かい、海水が中を満たした頃にようやく潜水艦から出る事が出来た
「ゼェ……ハァ……」
「……締まらないな……」
本当に締まらない。カッコ良く決めたかったのだが……
アンナさんとレイキ、ボルハ、後知らない女性(恐らくアンナさんのパートナー)も門にやって来たので何が有ったか説明する。勿論、姉達の事も説明済みだ
「成る程ね……『よくやった』っと言いたい所だけど、危険過ぎるわ。追い払うだけで良かったのに……まぁ、結果オーライっという事にしましょう」
アンナさんにお叱りとお褒めの言葉を頂き、少しの休憩後、俺達は軍本部に戻る事に。俺達の潜水艦がダメになったので、大型の潜水艦に乗せてもらい戻る
本部に帰ると連隊長にお呼ばれしたので俺とアナトリーは出頭。そこでもお叱りとお褒めの言葉を頂き、その後に付いて来る様に言われたので素直に付いて行くと、立派な扉の前に連れて来られる。中に入ると恰幅の良い男性が3人おり、今回の件を褒めて貰った。そして連隊長だけ残して俺とアナトリーは退出、部屋に戻る事に
部屋に戻る途中、話を聞いた見知らぬ人達に声を掛けられる。
「凄いな! 流石、アンナイトまで最短で上り詰めた男!」
「よっ! 英雄!」
何故か英雄扱いされる俺。行く先々で声を掛けられたので帰るまでに、かなり時間を費やした。
「はぁ……」
かなり疲れたので食堂で昼食を食べた後、部屋で寛いでいた俺は時計とカレンダーを見て絶望した。何故なら今日は……
「アンナさんとデートの約束が……」
朝の10時からの予定だったが、今は昼の2時……赦すまじキュバリル・ウルティムス。何も今日じゃなくても良かったじゃないか!
俺は歳上好きだ。なので歳上のアンナさんにとても惹かれる。別に恋愛感情は、これっぽっちもないが、なんだか歳上とデートって憧れるというか、なんというか。1度してみたいというか……
一応、元の世界に帰るつもりである為、恋愛は避けるべきだろうが1度ぐらいお出掛けしてもバチは当たらないのではないだろうか?
俺は布団の上でバタバタと暴れた後、アンナさんメールを送る為、携帯を取り出す
「……ん?」
姉からメールが来ていた。内容は……
[親愛なる弟へ。私は貴方に謝らねばなりません。何故なら潜水艦を改造した時に、中に有ったスプレーが邪魔だったので外に放り投げました。そして、そのまま直すのを忘れておりました。誠に申し訳ございませんでした]
「……」
読んだ後、携帯を投げた俺は悪くないと思う




