昇格
その後直ぐに姉は病室から去った。そしてその、数日後に俺は退院した。退院までアナトリーやボルハ、アンナさん、エマヌエル、先輩方、先に退院していたレイキがお見舞いに来てくれたが、あれから姉の姿を見ていない
「祝、退院!」
俺は久しぶりのマイルームへ。やはり此処が落ち着くと思った
「帰って早々に悪いけど、連隊長が呼んでるの。来てくれる?」
アンナさんが俺とレイキを呼びに来た。連隊長に呼ばれるなんて……俺、何かしただろうか?
アンナさんに連れられ連隊長室の前に到着。ノックをし入ると……
「来たか」
「んじゃ、俺達は退散するかねぇ」
連隊長室には連隊長の他に、姉とエマヌエル、カティル、金髪の不良、アルトゥールさんが居たが俺達が中に入ると連隊長以外の全員が出て行った
「いいか?」
俺がボケーっと姉達が出て行ったドアを見ていると、連隊長に声を掛けられた
「すみません……」
素直に謝っておく。連隊長はそれには何も言わず、無言で紙を取り出し俺達に渡す。その紙に書いてある内容とは……
「昇格だ。お前達は今日から『アンナイト』だ。任務は今までよりも危険は伴うが、お前達ならやれるだろう」
まさか入隊して、そんなに経っていない俺達が『アンナイト』に昇格するなんて……
「何故、俺達が?」
「『魔人を倒した』それだけで昇格に値する」
俺とレイキが昇格したなら姉もしたのだろうか? そういえば、任務の報告書には魔人戦は俺とレイキのみになっていたが、姉は?
「あの……お姉ちゃん。いえ、オウキも昇格したのでしょうか?」
気になった事をレイキが聞いてくれた。
「……今回は2人だ」
「何で……」
姉もあの時居たのに……何故だろうか? そして、あの任務の記録からも姉を消したのは何故?
「話は以上だ。これからも励め」
それを聞いたアンナさんは、まだ聞き足りない俺達に退出する様に促したので、大人しく従う事に。退出した後にアンナさんは俺達に言う
「おめでとう。こんなに早く昇格するなんて、教育係として鼻が高いわ」
アンナさんは自分の事の様に喜んでくれたが、俺は素直に喜べないでいる。それはレイキも同じの様で腑に落ちない顔をしている
「何故、姉は……」
部屋に戻る為、廊下を歩きながら前を歩くアンナさんに問うてみるが……
「そうそう、ショウキには言ってなかったけど今度パーティが有るから、それ用の自己紹介カード書きなさいね」
自己紹介カード? 何故、今更自己紹介? 俺が首を傾げるとカードの事を妹が丁重に教えてくれた
何でも、この世界の人口増加の為、年に1度軍全体の婚活パーティーみたいなものが有るらしい。それには未婚の者達は全員参加が義務付けられている為、俺やレイキにも参加しろっとの御達しという事だ。まぁ、未婚でなくても参加は可能らしい。
しかし、残念な事に砦勤務の者はこの婚活パーティーには出席出来ない
「つまり、結婚相手を見つけろという事で?」
「そうね。別に結婚しなくても良いけど、良い人の1人や2人は見つけといた方が良いわよ?」
何でもこの世界、一夫多妻も一妻多夫OKらしく、軍の上層部とかは妻を何人も娶っている人もいるらしい
「まぁ、こんな御時世だしね。子孫を多く残さなきゃだし」
何というか……少子化対策という事だろうか?
「まぁ……貴方達程、出世の早い人は大変な日でしょうけど頑張ってね!」
果たして俺の所に来るのだろうか? あまり、行きたくないものだ……
それより、アンナさんの『良い人の1人や2人』で大事な事を思い出した。1ヶ月とちょっと前に俺はアンナさんとデートの約束をしていたのだった!
「アンナさん! この前の約束の事で……」
「約束?」
アンナさんは約束を忘れているのかキョトンとした顔をしている。そして、事情の分からないレイキもキョトンとしている。2人とも可愛いらしい
「いえ……何でも……」
「あ、あぁ!! 思い出した。アレね。今度のパーティが終わったら行きましょうか」
俺はテンションが上がった。そして、あんなに行くのが嫌だった婚活パーティーも行く気になった。
「ふふっ。じゃあね」
「はい!」
立ち去るアンナさんを俺は大きく手を振り見送る。それを怪訝そうな顔でレイキが見ていた
「お兄ちゃん? 何か有るの?」
「うん? 何も」
レイキ……此処からは大人の世界なんだよ




