夢だよ、夢
そのモンスターの姿は顔がデカくて、体が細く手足が太く、二足歩行の見た目かなり気持ち悪いモンスターである。鋭利な歯には血が滴っている為、先程まで食事中だったのかもしれない
「ギャー!! 何か居る!」
1番頼りになりそうな姉が喚き出した。
「お前が喚くなよ……」
「だって! この廃墟と言い、このモンスターと言い、何だかホラーゲームみたいじゃないか! 私、ホラー苦手なのに!」
喚いている姉を尻目に俺とレイキで、どうするか考える事に。
「手に持っているモノは……キャンディーかな?」
「多分な……喰われたみたいだな」
先程の音は齧られ無残な姿と成り果てたキャンディーを謎のモンスターが引き摺っていた音だったのだろう。
「『ティリンティリンティリン』って音が聴こえて来そうだよ……追いかけられて、謎を解いて館から脱出するんだ……」
後ろで姉がブツブツと独り言を言っている。それは、お前がやっていたゲームの話だろう!
「来るみたいだよ」
「あぁ」
姉はアテにならないと思い俺とレイキで応戦する事に……俺の後ろに居る姉は逃げる気満々だ
「来るーー」
謎のモンスターは手に持っていたキャンディーを捨てて人間の様に走り俺達に迫って来る。それを俺達は左右に避けて回避したが……俺の後ろには姉が居たのを忘れていた。
「ギャーー!!」
「お姉ちゃん⁉︎」
「嘘だろ⁉︎」
勢いよく姉に突っ込んだモンスター。姉の悲鳴が聞こえて来た後に何やら咀嚼する音が聞こえた。姉が喰われた⁉︎
焦った俺だったが、姉が飛び上がり華麗に回転を決め着地したのを見て安堵した。何だ無事だったのか
「ふうっ……危なかったー。酷いぜ弟よ」
俺に文句を言う姉の服の左袖が無くなっていた。何で?
それはモンスターがゆっくりとコチラを向いた時に判明する。モンスターは腕を持っていたのだ。しかも袖付きの左腕。もしかしなくても、もぎ取られた?
「姉よ……あの腕……」
「夢だよ、夢」
「お姉ちゃん……無理があるよ」
姉の腕は謎のモンスターが持っている。なら今の腕はあの力で治したいのだろうか?
「疲れてないか?」
「……? 大丈夫だよ?」
大丈夫らしい。なら、この前の力では無いのか?
「しかし……痛みで我に帰ったよ! 安心すると良い! もう大丈夫だ!」
痛みでって今言ったぞ? やっぱりアレは姉の腕で間違いないみたいだ
「さぁ、共に……やっぱり無理! ホラー無理!」
自身に向かって来るモンスターを見た姉は叫びながら走って何処かに行ってしまった……その後をモンスターは追って行く。
「あ……」
「兄さん! 追おう!」
そのモンスターの後を俺達が追うという謎の展開になった……
「ゼェ……ハァ……もっと早く、何とかしてくれよ……」
姉を追っていたモンスターを見事に撃退した俺とレイキ。地面に膝と腕を付き項垂れる姉は年長者の威厳がまるで無い
「兎に角、モンスターは倒したし、キャンディーも勝手に死んでたし……任務完了だろ? 早く出よう」
元凶のモンスターは倒したのだ。ならば扉も開くだろう。姉ではないが不気味だし、嫌予感がするし早くここから退散したい。
「お兄ちゃん……魔法が使えるのは人間と魔人だけだよ?」
「……」
俺はレイキの言葉でこの胸騒ぎが何なのかを察した。また魔人か……そういえばキャンディー討伐しに行く際は悉く大物に会っているな……もうキャンディー追いかけ回すの辞めようかな……
「まだ、魔人と決まった訳ではないよ? ほら人かも……」
「お姉ちゃん? モンスターが居た時点で人じゃないよね?」
「ですね……」
姉が妹に負けていた。もっとしっかりしろよ……
「じゃ……魔人?」
「だろうね。この奥だよ」
姉は奥を指差して言う。この先に魔人が……久々の任務で魔人と当たるとか、本当に当たりが強いな俺……
「勝てるのか? この人数で……」
「十中八九、無理だね」
「諦めないでよ。お姉ちゃん」
既に諦めモードの姉は遠い目で奥を見ている。そんな姉を宥める妹、呆れる俺。
「仕方ないだろう? 腹くくれよ!」
という事で、この3人で果てしなく無謀な戦いを挑みに行く
「カムバック連隊長!! 違った! ウェルカム連隊長!! これも違うな……よし! ヘルプミー連隊長ォォオオオ!!」
「うるさい!!」




