四瑞
俺の目論見が外れ、妹と2人で家に帰る途中、妹と久方ぶりのショッピングを楽しむ
「お母さんは甘い物で、お父さんは……何が良いのかな?」
妹は母の好みを知っていたが、父の好みまでは知らなかった。姉に聞いておけば良かったな……
「酒とかで良いんじゃないか?」
確か父はよくお酒を飲んでた。なのでお酒で
「そうだね。お酒にしよう! じゃあ、おつまみも買おう!」
久しぶりのショッピングにテンションが上がっている可愛い妹。
「お母さん元気かな?」
「どうだろうな。案外寂しがってるかもな……」
子供達が全員居なくて流石の母も寂しいのではないだろうか?
その考えは家に着いて母から爆弾発言される事により四散する事となる
「ただいまー」
「ただいま」
俺とレイキが軍に入隊するまで住んでいた懐かしい家にたどり着き、ドアを開けて家の中に入る。すると母が出迎えてくれた
「お帰り。レイキとショウキ……オウキは?」
やはり、姉が居ないのが気になったらしく聞いてくる
「お姉ちゃんは用事で帰って来れないって」
「はぁ……白状な子。偶には帰って来てくれても良いのに」
母はブツブツと文句を言いながら奥に入っていった。俺達は急いで後を追い、お土産を母に渡す。
「そうそう、ニュースが有るの。居間で発表するから」
そう言った母はお茶を入れに台所へ行く。俺達はニュースとやらを聞く為、居間に向かう。居間には父が座って居た。何やら真剣な表情で背筋を伸ばして座っている。何か有ったのだろうか?
「はい、お茶」
母がお茶を配り終え、席に座ると……
「実は私ね……」
母が真剣な表情で懐から何かを取り出し、俺達に見せて来た。それは……
「妊娠しちゃった♪」
「……」
俺もレイキは絶句。最早、声すら出なかった。
「何してるの? お父さん、お母さん……帰る時、子供はどうするの?」
レイキが声を絞り出し問うが、母は
「何とかなるでしょ」
軽かった。
何ともならないだろう。帰る時、1人増えてたらマズイに決まってる! ただでさえ、帰ったら行方不明扱いになってると思うし、下手したら死亡認定されてるかもしれないのだ。なのに、1人増えて帰ったりなんかしたら、ニュースになる。
いや、もうニュースになってるかも知れないが……
「何よ。アンタ達は堕ろせっていうの? 例え、異世界でも何でも、1人の命なのよ! 殺せって言うの⁉︎」
もう、どうすれば良いか俺は分からない。どうすれば正しいのだろうか?
「はぁ……子供達が居なくなって寂しがっているかと思えば、夫婦で楽しんでいたとは……」
数時間前の自分を殴りたい。何が「案外、寂しがってるかな……」っだ! 全然、寂しがってないし! 楽しんでるし!
「兎に角、産むからね!」
「この世界の子育ての勝手も分からないのに?」
「そんなのアンタ達育てたんだから、何とかなるわよ」
まぁ、兄弟が増えるのは嬉しいが……この世界ではちょっと……せめて、元の世界に戻ってからが良かったな……
「はい、この話は終わり! そうそう、渡す物が有るのよ!」
母は強引に話を変えて来た。渡すもの? また手榴弾だろうか?
「あ、そういえば手榴弾ありがとう! お陰で助かったよ!」
「そうそう、手榴弾が有ったから生き延びられた」
あの時は大変だったな……数ヶ月前の初陣を思い出し、ブルリと震える
「今回はコレ」
レイキには亀の甲羅みたいな可愛いデザインの帽子を、俺には何だかよく分からないキーホルダー、姉には赤とオレンジ、黄色の入った羽の様な物。
「麗亀はその名の通り亀の帽子、翔麒は名前の由来のキーホルダーで、凰姫は名前の由来をモチーフにした髪飾り」
成る程……そういう事か……
俺の名前【翔麒】の由来は四瑞の1つ【麒麟】から取っている。そのキーホルダーという事だ
【麗亀】の名前の由来は四瑞の1つ【霊亀】。
そして【凰姫】の由来は四瑞の1つ【鳳凰】。なので鳳凰にちなんだ髪飾りなのだろう
そこでハッとなった。
【麗亀】の由来は霊亀。即ち亀。レイキの力は水の結界で防御だ。亀の甲羅は盾……即ち防御
俺の【翔麒】の由来は【麒麟】。そして、一日で千里掛ける事が出来ると言われているのが【騏驎】
俺が【炎系魔法】【雷系魔法】が得意なのは【麒麟】の力で、尋常じゃないスピードで走れるのは【騏驎】の力? もしかして似たモノを掛け合わせているのだろうか?
ならば姉の鳳凰は?




