噂の真相は?
アレから暫く経ち、砦勤務も後僅かとなった。俺は毎日を悶々とした気持ちで過ごしている。何故なら、姉の噂で周りはかなり持ちきりだからだ。
なんでも、「連隊長が迫っていた」だとか「連隊長の部屋でオウキがシャワーを浴びていた」だとか……
「弟としては複雑だ……」
姉を見かける機会はいくらか有ったのだが、別段気にした様子もなく日々を過ごしている様だった。あんなに噂されてるのにな……
「はぁ……っと⁉︎ すみません!」
考え事をしながら歩いていると、前方不注意で人とぶつかってしまった。慌てて謝るが、相手は笑って手を振り
「良いって良いって! 気を付けなよ」
っと言って許してくれた。改めて俺がぶつかった人を見ると、なんと姉と同室の銀髪の色黒イケメンであった
「あー、お前はオウ吉の弟だな。アイツから良く聞いてるよ」
「……オウ吉」
なんて渾名を付けられてるんだ、姉よ
「俺は【カティル】。知ってると思うがオウ吉と同室の者だ」
「あ、俺はショウキです……」
「敬語なんて良いって! 気楽にやろうぜ!」
軽い先輩だった。カティルは俺達より2つ上の先輩でチアナイトだという。前に姉と組手を組んでるのを見た事が有ったが本当にチアナイトか? っと思うくらいの強さであった。
だって、あの姉が地べたに這い蹲ってたもの……
「あ、カティルさ……カティルは噂の事知ってるのか?」
俺は噂の真実を知りたいが本人に聞く勇気が出なかったので、同室の人に聞いてみる事にした。もし彼が知らなければエマヌエルにでも聞いてみるか……
「噂? あぁ。アレね。お前さんはどう思う?」
逆に聞かれた。俺は困った様な顔を彼に向け
「俺、連隊長と話した事無くて……だから、どういう人かよく分からなくて。判断しかねるっというか……」
「成る程ね」
カティルは俺の返しに納得した様な顔をして話してくれた
「付き合ってはないぜ? あの2人は、そんな甘い関係じゃない」
俺は少しホッとした。しかし、次の言葉で俺は余計悩まされる事になる
「まぁ、どっちかっていうと、もっとバイオレンスな感じで……エグい関係だな。枕営業的な? いや、枕営業じゃないな。なんというか……うーん。まぁ、服はお互い脱いでないから大丈夫だろ! うん? オウキは脱いでるのか?」
「えっー⁉︎」
余計、心配要素出てきた。枕営業? 服脱ぐ? 何で⁉︎
「まぁ、心配しなくても大丈夫だって。ただ、ちょっと? かなり? バイオレンスな感じでエグいだけだから」
「いや、余計に心配するんですが⁉︎」
バイオレンスでエグい感じって何⁉︎
「ま、俺からはここまでだ! じゃ、俺を待ってる奴がいるから行くな!」
気になる事を言うだけ言って何処かに行ったカティル。姉よ……お前は何してるんだ?
部屋に戻る途中でエマヌエルと出会う。エマヌエルにも姉の事を、それとなく聞いてみたが答えはカティルと同じだった。そして最後に更に気になる発言をしてエマヌエルは去って行った。
その発言とは……
「何もオウキは連隊長とだけ、あんなグロい関係を持ってる訳じゃないよ?」
姉よ……お前、本当に何してるの⁉︎ 連隊長とだけじゃないのも気になるが、エマヌエルはグロいっと言ったぞ? グロい事してるの?
俺は若干引きながら部屋への道を進む。その途中で姉を発見! 近くに寄ると隊服が赤く染まっている事に気がついた。血だ。しかも結構な量である。姉のだろうか?
バイオレンスで、エグくて、グロいってこういう事だろうか?
姉は俺に気付かず、そそくさと何処かに行ってしまった……
俺は余計に悶々と悩みながら部屋に戻る。そして悶々と考えながら荷造りをする。明日には砦を出て街に戻る予定なのだ。
街に戻ると休暇が待っている。その休暇で俺は姉と妹と共に家に帰る約束をしているので、その時に姉に問い詰めるとしよう。最早、他の人に聞くという選択肢は無い!
「兄さん、明日のお母さんへのお土産どうする?」
ぼんやりとしていると妹が母達へのお土産を何にするか聞いて来た
「こういうのは姉に聞いた方がいいんじゃないか? 姉、そういうの得意だろ?」
母の好みが分からない俺は姉に丸投げする。
「お姉ちゃんは明日、帰れないって……何でも用事が出来たとか……」
「なん……だと……」




