何コレ、ドッキリ?
街に行って話を聞く事になった為、軍人さん達に車の様な物に乗せられ揺れる事数十分、海に辿り着く。そして、あろう事か、その車のまま海にダイブ!
「えぇ⁉︎」
驚いたが車が変形し潜水艦の様になった。最早、言葉も出ない。暫く潜水艦が航行すると岩場が有った。そこを下に下にと降っていくと海の中に建物の様な物が見えて来た。アレが街?
「ようこそ! 此処が人類最後の砦、【オマージュ】だ!」
そこは色々な建物が存在する摩訶不思議な街であった。ガラス張りの通路が所狭しと有り、建物と建物を繋いでいる。建物は随分と下の方まで有るようで暗い中に明かりがポツポツ見える。
その街は周りを岩で覆われており、その岩の中にも建物があるのか岩の間から光が溢れていた。街の範囲はかなり広く、もはや小規模の国レベルだ
「おぉ! 凄い!」
「止めろよ。田舎者みたいだぞ。恥ずかしい」
「お姉ちゃん……」
姉が横で騒ぐので一喝しておく。そうこうしている内に、潜水艦はなにやら大きな建物に着く。
潜水艦が建物の中に入ると何人かが出迎えてくれ、(無傷の姉以外)傷の手当てをしてもらえる事になった。待っている間は暇なので周りを見渡し観察してみる。
ふと、世界地図の様なものが目に入った。その世界地図は何と俺の見慣れた世界地図と似ても似つかない。そして、言葉は俺達と同じなのにも関わらず字が違った。
何コレ、ドッキリ?
ボケーっと口を開けて座っている姉に言ってみると
「世界的な何かの力で言葉は分かるけど、文字が読めないとかじゃね? 異世界へみたいな。あ、コレじゃあ、ラーメン屋に行けないね」
っと返された。何故かイラついたので頭にチョップを食らわせておいた。
「痛いっ⁉︎」
「ラーメン屋どころじゃないだろう⁉︎ 何でそこの心配なんだ⁉︎」
全く訳が分からないよ……
「ラーメンは私の好物だぞ!」
取り敢えず、もう一発チョップした
グダグダと姉と言い合っていると母と父、妹の手当てが終わり俺の番が回って来た。なんか魔法見たいなのを使われた。だって一瞬で傷が治ったもの!
「さて、いくつかお聴きしても?」
「どうぞ。分かる範囲でお願いします」
手当てが終わり、部屋に通される。そして質問が始まってしまった。そこからは基本、母が答える。母は頭の回転が速いので、こう言う面倒な事は大体は母に頼むのが1番良い。
母がそれとなく情報を引き出しながら話している。母が話をして分かった事は、この世界では此処の街以外に人が住める何処は殆ど無いらしい。地上は何十年も前にモンスターや魔人に占拠され人が暮らせるのは、この海の中だけだそうだ。
その海の中も安全では無いが地上よりかはマシらしい
因みに車の燃料は魔石というモノらしく、石油等は無い模様。他は魔法が使える、モンスターが出る等以外は一緒だと思う。電気も通っているし、機械もある。強いて言うなら、技術がかなり進んでいる所ぐらいだろう。
ーーつまり、此処は近未来的、終末の世界っという事だーー
話を聞き確信する。やっぱり異世界へ来ていた……凄いな、猪に突撃されて異世界へ! なんて……俺達は帰れるのだろうか?
話し合いの結論から言うと、母は「集落が有ったのだが、とうとう集落がモンスターに見つかり住んでいた者達は散り散りに逃げたのだ」という設定を、でっち上げた(何でも、その無茶な設定が通ったのは、未だに何処かしらに集落が有り、住んでいる人がいるかららしい)
それを信じ、哀れに思った軍の人は難民申請をしてくれ、無事に難民となった。母やるな……
難民の貸し住居を借り、今日は休む事に。さて、どうなる事やら……
貸し住居で今後の事を話す俺達。
「どうする?」
「どうするって……」
やはり皆、帰る一択であった為、例の猪を探さねばっとなった。しかし、猪を探すにはこの危険極まりない地上を徘徊しなければならない。それに、外には軍人しか行けない。
「というか……猪は大丈夫なの? 外ってモンスターまみれなんでしょ? 生きてるの? 食べられてない?」
「元も子もない事いうなよ!」
姉が結構現実的な事を口にする。
「それは言うな! 俺も思ったけど、口にはするな! 俺達の最期の希望なんだ」
「でも、結構怪我してたし……」
そうだ。車と激突した時か、はたまた崖から転がり落ちた時に負ったのか、猪はかなり怪我を負っていた。そんな状態で生きていけるとは考えにくい……
「仕方ないでしょ。それしか手掛かり無いんだから。つべこべ言わず探しなさい!」
母に一喝され、この猪の話は終わった。
「取り敢えず、外に出ないと始まらないよな……」
「じゃあ、軍に入隊する?」
確かにそれが一番だろう。ならば、俺と父、姉辺りが妥当だろうか?