後ろから姉の悲鳴が聞こえて来るが、俺は何も聞いていない!
「きゃー。助けてー」
超棒読みのエマヌエルを見た姉が
「エマヌエル? 落ち着こうね? そう、リラークス」
何故か慌てていた。
「姉よ。エマヌエルは弱いのか?」
何故か慌ててエマヌエルを宥める姉に疑問が湧く。しかも珍しく正式な名前で呼んでるし。
辺りに人が集まり固唾を呑んで可憐なエマヌエルを見守っている。
「その逆。かなり強いの。下手こいたら変態さん殺しちゃう!」
「心配してるのそっち⁉︎」
まさか事実だ。正直、俺はエマヌエルとそこまで親しくはない。基本、姉経由で話す程度だ。それに、同じ隊に入ってからも、同じ任務に就いたのは本当に最初だけ。なのでエマヌエルがどれ程強いのかは知らないのだ
因みに姉は俺やレイキとは別行動を取って居た為、俺達と絡んでいたボルハやアナトリーとは、そこまで親しくはない。俺とエマヌエル同様、俺経由で話す程度だ
「へぇ……お姉ちゃん、綺麗じゃないか。怖がっちゃってさぁ。可愛いねぇ。おじさんと、ちょっと良い事しないか?」
変態はナイフを持ってる手とは逆の手でエマヌエルの体を撫で回す。おい⁉︎ あまり撫でさせると本当の性別がバレるぞ!
「今、エルの事可愛いって言ったよ。エルが可愛いんだってさ。確かに見た目は可愛いし綺麗けど中身知ってる? ヤバイよ? 笑顔でエグい事しだすし……」
「オウキ後で覚えておいて」
「ガッデム!!」
今のは姉が悪い……
「それにしても……お姉ちゃん、ちと堅くないか?」
体を撫で回していた変態がエヌマエルの耳に唇を寄せながら言った。
「そりゃ、僕は男だからね」
「……はぁ⁉︎」
驚いた変態がナイフを首から少し離してしまった隙にエヌマエルは肘を変態の鳩尾に叩き込み、その衝撃でよろけた相手に足払いをかけて転倒させる。そして、倒れた相手の顔面を蹴り上げ、グッタリとしている変態の頭を鷲掴み片手で自身の目線の高さまで上げる。
今までの一連の動作をエヌマエルは笑顔でこなした
「良い夢見れたかい? 僕の体に触れたんだ。それなりの対価は欲しいかな……そうだね。歯全部で良いよ」
「ヒィ⁉︎」
変態が悲鳴をあげる。俺も情けない事に悲鳴を上げそうになった
「まっ、エマ⁉︎ 餅つけ! 違う、落ちちゅけ!! いや、まずは私が落ち着け! はい、ヒヒッフー。良し! you、ちょっと待とうか! 触られて気持ち悪かったかも知れないけど、youそれはやり過ぎとちゃいます? 過剰防衛で君が負けるから!」
エマヌエルを止め様と頑張る姉と笑顔で変態の頭を締め上げているエマヌエル。確かに姉の言った通りエマヌエルの性格はヤバイらしい。まぁ、綺麗な花には棘が有ると言うし……
「ほら、youよ。エマよ。軍の人が来てくれたから引き渡そう。そして楽しいショッピングの続きと洒落込うぜ! なんなら、さっき欲しがってたゲームの景品取ってあげるから!」
物で釣ろうとする姉。それで釣られるのはお前だけだよ
騒ぎを聞きつけた軍の人が駆けつけてくれ、渋々変態を離したエマヌエル。無事にエマヌエルから解放された変態は軍の人に引き摺られて行った
「オウキ……僕怖かったよ……」
姉に抱きつくエマヌエル。
「え、どの口が言ってるの? 君に怖いって感情有ったの? 不気味というか……あ、ちょっと⁉︎ ギブギブ苦しい……出るっ! マジで……胃的な物が……」
姉に抱きついたエマヌエルは、かなり力を入れて姉を締め上げている様で、姉の足が宙に浮き、呻きながら足をバタつかせている。
そんな姉達から俺はユックリと離れ、その場を後にした。後ろから姉の悲鳴が聞こえて来るが、俺は何も聞いていない!
思わぬエマヌエルの本性を垣間見た俺とボルハは無言でショッピングに戻って行った。談笑しながらショッピングを楽しみ、一時の平穏を楽しむ。昨日死にかけたのが嘘の様だ。
時間が経つにつれ先程の出来事が夢に思えて来たので、そのまま夢と思い込む事にする
「さぁて、買ったし帰るか!」
「そうだな」
買い出しが終わった俺とボルハは晩御飯を有名なレストランで済ませる事に。そこがなかなか洒落ていて良かった。
レストランで夕食を取った後、自室に戻る事に。部屋に戻り各個室の前に頼まれた物を置いておき、お使いは終了。
「ボルハ、今日はありがとう。なかなか楽しかった」
「あぁ、こちらこそ」
今日は本当に楽しかった。姉に会った事以外は……




