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象 対 蟻

 

「お兄ちゃん。私がお兄ちゃんをサポートするから」


 レイキは言った。その言葉を信じて俺はヤツの元まで駆け抜けた

 俺を殴ろうとする拳は妹が全て防いでくれ、俺は思うがままにヤツの周りを凄いスピードでチョロチョロと駆け回る。

 俺、本当に速い。ヤツが俺を見失いかけるくらいに


 何度も斬りつけるが刃を全く通さない。それでも俺は走っては攻撃、走っては攻撃を繰り返す。繰り返している内に少しずつだが傷が出来て来た。どうやらヤツの硬さに慣れてきたらしい


「っ⁉︎ やっぱり硬い」


 ヤツの動きにも慣れ俺1人で攻撃を避けられる様になるとレイキも参戦してきて2対1になる。レイキはヤツから来る攻撃は全て結界で防ぎ、攻撃に転じている。


『小賢しいわーー!!』


 俺のチョロチョロした動きを鬱陶しく感じたのか、怒った魔人は力を解放した


「うわぁ、周りに赤黒いオーラが……」


 ビックリするくらいの禍々しいオーラがヤツの体から放出され、初めに食らった黒い球体の攻撃を放とうと構えてて来たが、ヤツの背後からボルハが頬を殴りつけた為、攻撃は中断。ヤツは吹っ飛んだ


「ぼ、ボルハ……凄いな」


 お前も吹っ飛ばせたんだな……ちょっと引いた


 ボルハは、そのまま追撃を仕掛けだが、また吹っ飛ばされる。俺も一瞬でヤツとの距離を縮め、体制が整う前に斬りつけだが振り払われ吹っ飛ぶ。暫く転がり体制を立て直した時にはもう遅く、目の前に魔人が拳を振り下ろす寸前だった。


「隙ありよ」


 戻って来たアンナさんは俺の背後から、左手を振り上げて隙が出来たヤツの心臓付近目掛けて剣を突き刺す


「クソッ」


 ……が、アンナさんの力では刃が心臓まで到達出来ず止まる。魔人の心臓付近に剣は突き刺さったままだ。

 ヤツの拳が振り下ろされる寸前で、何か紐みたいなヤツ(鞭かも)を魔人の左手に絡ませて引っ張り、それを止めるアナトリー。その隙にボルハがヤツの頭部に回し蹴りを入れると、流石の魔人も頭部への蹴りはキツかったらしくふらつく。

 魔人は俺達から距離を置く為、足に力を入れ飛ぼうとしたが、レイキが右足に剣を突き刺しそれを阻止。


「これで!!」


 俺は力の限り地を蹴り、胸に突き刺さったままの剣の柄を、勢いを殺しさずに蹴り付け奥に押し込む。


『ぐぁぁあああああ!!!!』


 魔人の悲鳴が辺りに轟く。しかし、魔人は倒れない。心臓やってもダメとか、どうしたら勝てるんだ……


『おのれ……』


 地を這う様な唸り声を出した魔人は覇気だけで俺達を吹き飛ばした。そして、胸に深々と突き刺さった剣を抜き、俺に投げて来た。


「ぐふっ⁉︎」


 投げられた剣は俺の腹部に突き刺さる。あまりの痛みに崩れ落ちた俺にゆっくりと近づいて来る魔人。


「ここまでか……」


 結構、頑張ったのだがダメだった様だ。元の世界に帰る前に死ぬとは……俺とレイキはダメなら姉と母、父だけでも……まぁ、姉は大丈夫か

 薄れて行く意識の中で、


『ギャッギャッギャ』


 何処からか何かの鳴き声が聞こえてきた。その声で意識が少しクリアになった

 少し先に居た魔人に無数の矢が降り注ぐ。それを受けた魔人は動きを止めた


「何だ?」

「アレは⁉︎」

「プーリミオ?」


 プーリミオ達が魔人の支配から逃れる為、参戦してくれた。種族の違いはあるが敵は同じという事で手を貸してくれるらしい。ちょっと感動した……


 プーリミオ達は剣を取り、一斉に魔人に向かって行く。しかし、象 対 蟻。蹴散らさせるプーリミオ達。


「使え!」


 ボルハが注射型の鎮痛剤をくれたので打つと、痛みはだいぶマシになった。これなら行ける!


 プーリミオ達に俺達も続く。


 左右をアナトリーとレイキで攻め、前をアンナさん、後ろからは俺、頭上からはボルハで攻める。俺達が吹き飛ばされた後は、プーリミオ達が剣を掲げて果敢に挑戦。

 そうしている内に魔人は俺達が鬱陶しくなったのか……


『もういい。面倒だ』


 手を掲げ、初めに食らった黒い球を出して来る。魔人は此処に居る全て者を屠る為、無慈悲に放つ。それを、またもレイキが止める。レイキは広範に先程の波紋の結界を放ちプーリミオと俺達、全てを守る。


「ごめんなさい……お兄ちゃん。流石に無理……」


 全ての者を守りきった妹は力尽きて倒れる。どうやら意識が無くなった様だ


「十分だ……」

『何⁉︎』


 レイキが黒い球体の攻撃を防ぎきった後、俺は自身の持てる最大のスピードを出して魔人の背後に回る。そのスピードに反応しきれなかった魔人の背後を取ると事が出来た俺は……


 ーーヤツの首を斬り落としたーー

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