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本当に姉はロクな事しないな……

 

「……っ」


 死んだ……


 俺は目を瞑り襲い来るであろう衝撃を待ったが……何時まで経っても衝撃は来なかった。恐る恐る目を開けると……


「ぐっ!」

「レイキ?」


 レイキが俺達の前に立ち、俺の知らない防御魔法を展開して魔人の攻撃を防いでいた


「これって?」

防御魔法(ウォープロ)じゃないわ」


 状況を逸早く理解したアンナさんが俺の隣に来て言う。その魔法は、まるで水の壁の様な……周囲に波紋が出来、まるで絵の様になっている


「凄い……」

「あぁ」


 アナトリーとボルハも俺の横にやって来て言う。


「でも、何時までも篭ってられない。逃げられないなら反撃しないと」


 俺達の問題はこの後だ。この攻撃はレイキが防いでくれているが、この後からは頼っていられない。何とかして逃げるか、どうにかして勝つか


魔人(ゲートル)は一変の慈悲も無く、人も気にいらないモンスターも殺す……基本、ルネナイトなら一騎打ちが可能だけど私はアンナイトだし……君達、本当に引きが良いね」


 アンナさんの言う通り、俺達は悪い意味で本当に引きが良い。初日に【キマリエル】昨日は【ストロケル】今日は【魔人(ゲートル)

 全部、ルネナイト級の人しか相手に出来ない奴らばっかだ。基本的に俺達の任務は危なくない様に管理されている。なので対象以外のモンスターに遭遇する方が珍しいのだが、俺達は何度も別のモンスターに遭遇しまくりだ。

 何か運命的なモノが働いているのだろうか……


「はぁ……はぁ……」


 魔人の攻撃が終わり、レイキが肩で息をしながら辺りを覆っていた水の結界みたいなヤツを解く。それを魔人は興味無さげに見ていた


『楽に死なせてやろうと思ったのだがな……まぁいい。嬲ってやろう』


 あの一撃は、この魔人の優しさだったらしい。そんな優しさ要らないから逃がしてくれよ


「皆んな、逃げられないのなら戦うしかない。覚悟は良い?」

「大丈夫です」

「えぇ」

「……はぁ……ハイ」

「行けます」


 アンナさんの問いに上から俺、ボルハ、レイキ、アナトリーの順に答える


「じゃあ、私が正面でボルハとアナトリーが左右、ショウキが背後。レイキは後ろから援護を」

「了解」


 剣を抜き考える。あの魔人の真後ろ取れるのだろうか? 背後とか取れ無さそう……


「行くわよ!」

「「「「ハイ」」」」


 まずはアンナさんが正面から突っ込み斬りかかるが、あっさりと剣を左手で掴まれて身動き不可に。魔人が大きな拳をアンナさんに振り下ろす為、右手を大きく掲げた瞬間に空いた脇にボルハの拳が入ったが……


『効かんわ!』

「ボルハ⁉︎」


 ボルハの攻撃は効かず、アンナさんに振り下ろす予定だった拳を振り払う様な動きでボルハを吹き飛ばした。その瞬間に左側からアナトリーが斬りかかったが分厚い筋肉に覆われた魔人には傷1つ付ける事が出来ずボルハと同様、吹き飛ばされて終わる。アンナさんも蹴りをくらい後方に吹き飛ばされた


「……っ!」


 俺は無我夢中で走る。気がつくと何故か俺は敵の背後に滑り込んで居た。魔人の驚いた顔が見えたが構ってられない。俺は背後を剣で斬りつけだが……アナトリー同様、素晴らしい筋肉に成すすべなかった


「ッヅ⁉︎ ガハッ!」

「お兄ちゃん⁉︎」


 魔人は俺を掴み凄い力で地面に叩きつけた。その衝撃で体の内側がミシミシと音を立てた。何本か骨をやったらしい


『後ろに回ったまでは良かったが、ヌルいわ!!』

「ぐっぅう!」


 俺の腹を踏み付け潰そうとしてくる。俺は呻きながらヤツの足を掴んだが、奴の足はビクともしない。だんだんと意識が遠くなり始めて、走馬灯が見え始めた



 〜〜〜〜〜


 あれは姉が、何故か自転車でドリフトかまして遊んでいた時に起きた事故。事故では無いな……転けてズル剥けになり、第5中足骨の基部辺りを骨折した時のこと……


「その辺りは弱いんだから、気を付けなさい。ちょっと打っただけで骨折するんだから」


 母が呆れた様な口調で姉に言い聞かせる


「いや……ちょっと所じゃないだろうし、気を付けるも何もドリフトで、どう気を付けるんだよ。そもそも自転車でドリフトするなよ」


 俺は母の言葉に真顔でツッコミを入れた覚えがあった。姉はドヤ顔であの坂でドリフトしただとか、あそこで転けただとか、聞いてもいない事をベラベラ話し出す。反省はゼロである


 〜〜〜〜〜〜



 その姉のアホな出来事を思い出すと何故だか笑えて来た。本当に姉はロクな事しないな……


 そのおかげか、俺の意識がハッキリきてきた。なので俺はヤツの踝部を掴み、持っていた剣の柄で姉が昔やった箇所を思いっきり叩いた


『ぐぉっ⁉︎』


 効いてるか分からないが、俺の反撃に驚いたのかヤツは足を少し浮かせた。その隙に足の下から抜け、ヤツの弁慶の泣き所に蹴りをお見舞いして妹が居る場所まで下がった


「お兄ちゃん……良かった」


 妹の泣きそうな顔を見ると何故か姉に感謝した。いや、感謝しちゃいけないんだけども……

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