魔人
「レイキ! ボルハ! アナトリー!」
戦っていたのは、やはり3人の様で相手はとても小人の様なヤツだった
「【プーリミオ】か⁉︎」
「どうやら巣穴見たいねぇ」
【プーリミオ】とは、その名の通り小人っという意味で廃墟などを根城にしているモンスターの事。小人の名に相応しく、俺の下半身程の身長に短い手足、顔も小さい生き物だ。
しかし、小さいからといって侮っていると痛い目に遭う。この生き物、随分ズル賢いのだ。闇討ち上等、漁夫の利上等、集団で生活している為、数で押してくる事も……稀に、大きなモンスターを飼ってみたり、お零れを貰ったりしている
「お待たせ!」
「待たせた」
俺とアンナさんは対プーリミオ戦に参戦。プーリミオが飛んで跳ねて攻撃して来るのを避け、剣と魔法で攻撃。
最近気が付いたのだが俺は【炎系魔法】と【雷系魔法】が得意らしく、この辺りの魔法ならなんでも出来たりする
「お兄ちゃん!」
「来るのが遅い!」
「うむ……」
プーリミオは、数は多いがそこまで強くはない為、苦戦する程ではない。なので俺とアンナさんの参戦で直ぐに片がついた。
「はぁ……数多すぎ」
アナトリーが額に流れている汗だか池の水だかを拭いながら言う
「で、どうやって帰ります?」
ボルハがアンナさんに尋ねると、アンナさんは元来た道を指差しながらボルハ、レイキ、アナトリーに説明する
「私達、階段を降りて下まで付いたから階段を登れば上に上がれるわ」
俺はアンナさんの話を聞きならがら巣穴の奥に視線を向ける。何だか胸が騒つく……何だろうか?
「お兄ちゃん……何だか変……」
妹も何かを感じているらしく、巣穴の奥を見ている
「どうしたの? 2人共」
様子の可笑しい俺達に気付いたアンナさんがこちらに寄ってくる
「何だか胸が騒つくんです……」
「ゾワソワするっと言うか……」
レイキと俺が説明するが上手く伝わらない。こう……胸騒ぎ的な何かなんだけどな……
「取り敢えず、外に出ましょう。話は……」
『グルゥォォォオオオオ!!!!』
「「「「「……⁉︎」」」」」」
巣穴の奥から耳を劈く様な咆哮と異様な気配がした。何だかとても嫌な感じだ
「【魔人】か……」
「……え?」
軍の学校に通っていた時に習った【魔人】。それは、人を大地に住めなくした張本人。この世界には多数の魔人が居り、人々の生活を脅かしているのだ
【魔人】は人と同じ言葉を使い地上を支配する存在。《地上の支配者》。人の血を好んで飲み、人を奴隷として扱い、また人を玩具の様に殺す。とんでもない存在なのだ。コイツらが遊び半分で人間を狩った為、人は少なくなり、地上での生活を手放したのだ
今、地上に居る人間は魔人の奴隷として扱われている者か、家畜として扱われている者か、怯え隠れて身を潜めている者かだけだ
「ホント、異世界に来た時、軍の人に拾われて良かったよ……」
俺は心の底から思う。もし、あの状態で見つかったのが軍の人達ではなく魔人だったなら……考えるだけでも恐ろしい
「逃げましょう⁉︎」
「無理よ。奴は気付いてる」
ここのプーリミオ達は奥に居る魔人に服従させられているのだろう。さっきから岩の陰に隠れているプーリミオ達はガタガタと震えている。恐怖政治の様だ
「来るぞ」
ボルハの言葉に俺の視線は巣穴の奥に向く。奥からドシドシと重量感の有る足音が聞こえて来る。
頭の片隅で姉が「きっと来る〜♪ きっと来るよー」っと言っているが無視だ!
『人間の匂いがするな……迷いこんだか?』
奥から出てきたのは、到底人には見えないモノ……
赤黒い肌に黒い刺青、大きな角に鋭い牙、尖った爪に大きな拳、太く頑丈そうな足に筋骨累々の肉体。それは魔人と言うに相応しい姿だった
「黒い刺青が魔人の印……完璧に魔人ね……」
全員が奴を見ている。否、視線を反らせない。
ーーあまりの恐怖に体が動く事を止めたーー
『……。俺は人間の血も好きだがな……まぁ、プーリミオの血で良いか……取り敢えず、消えろ』
魔人は俺達を消し炭にするつもりなのか、手を上に掲げ黒い大きな塊を作り出した。
ーーアレを食らえば死ぬーー
理解した。アレはダメだ。しかし、何処にも逃げ場は無い。頼みの防御魔法もアレの前では紙も同然だ。どうする?
考えても答えは出ない。何も出来ないーー
『じゃあな』
それは無慈悲に放たれたーー




