バケモンかよ……
「そんなに力入れてないよ」
「エマよ……you、結構ゴリラなんだぞ? いや【ドンゴ】なんだぞ……ミーより遥かに」
この世界にゴリラは居ない。ゴリラだけでなく犬や猫なんかも居ないのだ。勿論、猪も居ない。
因みに【ドンゴ】はゴリラに似たモンスターの名前である
「酷いな……か弱い僕を捕まえてドンゴだなんて……」
「か弱い⁉︎ か弱いって意味知ってる⁉︎ you、ちゃんと理解してる⁉︎」
姉は蹲りながら騒ぎ立てる。
「アレ、これ僕の服じゃなくない?」
「えっ⁉︎ 無視? あ、それ不良の。エルの部屋に入る時に『何かドキドキする。良い匂いするかな? ベッドにダイブしてもいいかな?』って言ったらドン引いた顔されて、渡させた」
「……後でヌンツィオに御礼言っとこ」
姉の部屋はなかなか面白い事になっているらしい。俺の部屋は女子ばかりで、なかなか気が休まらないし、口で負けるし……正直羨ましい
「私は? 持ってきたのミーよ!! ……ッグェ⁉︎ ちょ……締まってる! マジで締まってる!!」
「ハイハイ。お邪魔しましたー」
「エル……そこ……ジまる……マジで……私、死んじゃ……」
エマヌエルは五月蝿い姉の首根っこを掴み引き摺って部屋から退出。プシュっという音と共に扉が閉まった。
何だかエマヌエルと姉の力関係を見た気がする。
「で、ショウキくん。具合はどう?」
姉が居なくなり五月蝿い奴が消えたので、クリスさんは俺の診察に入る
「大丈夫です」
「そう……ストロケルの毒は速効性なのだけれど、よく走れたわね」
ストロケルの毒は即効性らしく、普通なら刺さった瞬間に倒れていても可笑しくないらしい。なのに俺は食らっても走れた。
「毒が体に回っていたのだけど……死に至るまで行かなくて良かったわ」
ストロケルの毒は下手をすると死ぬらしい。そんな毒を食らって平気な俺は中々凄いのではないだろうか? それこそ、崖から落ちて無傷だった姉の様に……
「あははっ。流石兄弟だね」
医務室の奥からキマリエルの時に助けてもらった【アルトゥール】さんが出てきた。この人も居たのか……
「流石ですか?」
「うん。良く似てるよ」
アルトゥールさんが笑いながら姉がやらかした出来事を話してくれた
「君のお姉さん……お兄さんって言ったら方が良い? あの子も、この前ストロケルとバッタリ会っちゃって……」
〜〜〜〜〜〜
「何かヤバイ奴来たーー! これダメなヤツだ! レベル上げてから戦わないとイケナイヤツだ! カムバック経験値! 違う、カムバックじゃない! ウェルカムだ!! welcome 経験値ィィイイ!!!」
「オウキ、五月蝿いよ」
「だってエル! 棘、刺さったもん。血がエグいもん。タコみたいなヤツもエグいもん」
「……ストロケルの棘って毒が有るんだよ? しかも、即効性で下手したら死ぬのに凄いね」
「毒⁉︎ 毒有るの⁉︎ 何ほのぼのと言ってるの⁉︎ 何なの? 死ぬの? そうだよ、死ぬよ! 死ぬ! 私死んじゃう! 私、終了のお知らせ!」
「五月蝿い!!」
〜〜〜〜〜〜
「って事があってね。因みに最後の『五月蝿い』はラルのだよ」
姉よ……騒ぎ過ぎである。そんなに騒いでどうする。しかも、確か【ラル】ってラルトゥール連隊長じゃなかったか? 何シレッと混ざってるんだ⁉︎
「でも、あの子……ストロケルに刺されたって理由で医務室来た事無いわよ?」
「あー、次の日に聞いたら『医務室行くの忘れてた!』って言ってたよ」
「あいつ何してるの⁉︎」
ビックリだよ。医務室行くの忘れるヤツいる⁉︎ ここにいる全員が凄い顔をしている。
「まぁ、あの子は自分の傷治すの得意だからね。だから傷が無くなって、毒の存在忘れてたのかもよ?」
結局、姉は無事だったらしい。もしかして、俺達は毒が効きにくい体質なのだろうか?
「兄弟って似るんだな……」
「君の姉の場所、一切効いてなかったけどね」
「バケモンかよ……」
崖から落ちて無傷だったり、毒食らって何ともなかったり、アイツ可笑しいだろ
「所でアルトゥールさん何故こちらに?」
アンナさんが1番気になる事を聞いてくれた
「怪我したんだよ。それも結構酷いヤツね。何だったかな? 確か……オウキが【イノシシ】とか言ってた様な……」
「「……⁉︎」」
猪に会ったのか⁉︎
「詳しい事はお姉さんに聞いてみると良い。じゃ、僕は行くね」
それだけ言うとアルトゥールさんは医務室を出て行ってしまった。仕方がない、後で姉に聞くとしよう
「はい、もう大丈夫。帰っていいよ」
「はい」
クリスさんの診察が終わり帰ってもいいと言われたので部屋に戻る事に
「そういえば、俺は誰が運んだんだ?」
意識が無くなる前にボルハが「私が運ぶ」とか言っていた様な気がするが……
「運んだぞ」
やっぱりボルハだった
「お兄ちゃん、お姫様抱っこで運ばれてたよ」
「……」
俺……お姫様抱っこされたの始めてだよ
「ありがとうございました……」
かなり複雑な気持ちで俺は医務室を後にし、部屋に戻って休憩する事にした




