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俺速い……

 その【ストロケル】というタコモドキは触手を伸ばして……「シュン」という風を切る様な音の後に「ザシュ」っという何かを突き刺した様な音が俺の耳に届いた


「……」


 俺の頬から血がタラーリ。どうやら触手が俺の真横を通り、俺の後ろに居たキャンディーを突き刺したらしい。触手はゆっくりとタコモドキの元に戻り、キャンディを大きな口の中にポイした


 それを見た俺は、真横に居たキャンディーと目を合わせる。キャンディーとの初めてのアイコンタクトである。そして俺達は同時にその場から駆け出し、元の道を必死で走る。俺の前には他のキャンディーとレイキやアンナさん達が居る。俺が最後尾だ


「これダメなヤツだ⁉︎」


 俺は絶叫しながら走る。後ろでは「ザシュザシュ」と地面に何かが刺さる音が聞こえている。もしかしなくても、俺を刺そうとして刺せなくて地面を刺してる感じ?


 無心になり只管走っていると、いつの間にかキャンディーと他の皆んなを追い抜かしていた。俺速い……


 暫く走り続け、ゲート付近に来た辺りで俺は足を止める。少し遅れて皆んなとキャンディーが追いつき、此処で休憩がてらストロケルの動向を探る。何故か一緒にキャンディーも足を止めた


 どうやら【ストロケル】は追って来ていないらしい。なんとか逃げられた様だ


「ゼェ……ゼェ……」


 荒い息を整える為、地べたに座り込む。辺りを見渡すと、他の皆も座り込んで息を整えていた。

 キャンディーの群は、そんな俺達をジッと見つめた後、何処かに走って消えて行った


「アレ……ハァ……何?」


 俺はアンナさんに問うてみる


「ハァ……アレは【ストロケル】ルネナイトでも苦戦する相手よ」

「マジか……」


 まずバッタリ会ってはイケナイ相手だな……


「キャンディーの討伐はどうします?」


 アナトリーがアンナさんに聞く。そういえば、今回受注した任務はキャンディーの討伐だった


「……一応、1匹死んだし……ヨシとしましょう」


 そういえば、1匹ストロケルに食べられていたな。アレで任務達成した事になるのか……なんだか複雑である


「っというか、ストロケルは触手と牙、棘に毒が有るのだけど……貴方、大丈夫?」

「……えっ?」


 忘れていたが、俺は掌に棘が貫通している。とても痛い。そして頬は触手が擦り、パックリとキレているのだ。これも痛い


「……」


 バタンッ


「お兄ちゃん⁉︎」

「ちょっ⁉︎ ショウキ⁉︎」

「あちゃー……」

「私が運ぼう」





 近くで姉の声とクリスさんの声が聞こえる。俺はゆっくりと瞼を開けて辺りを見回す。そういえば俺は何をして居ただろか?


「今度、お茶しません? 私良い所知ってますよ」

「機会が有ればね」


 俺が寝ているベッドの横で姉がクリスさんに迫っているのを見て、意識が急激に覚醒した


「おい、何してるんだ」


 俺は自分でもビックリするくらいのドスの効いた声で姉に問い掛ける。すると姉は持っていた服を振り回しながら


「おぉー!おはよう! お目覚めはどうかな? 眠り姫! 結構酷い怪我したねェ。名誉の負傷ってヤツかな? あ、何しているかというと、クラスティーさんをナンパしてた」


 確か、クリスさんの本名はクリスティーナさんの筈。相変わらず、渾名を付けるのが好きな姉である。姉は基本的に人を渾名で呼ぶ。


「オウキ……そろそろ、良いかい」


 医務室の奥からエマヌエルの声が聞こえて来た。


「あ、服渡に来たの忘れてた……テヘッ」


 姉は持って居た服をエマヌエルに渡たしに、この場を離れる


「エマヌエルは怪我でもしたのか?」

「うん、結構酷い怪我を負ってね」


 俺の問いにクリスさんがゴミ箱の中にある服の残骸を取り出して見せてくれた。その服の残骸には血がこれでもかっもいうくらい付いている。


「エマヌエルは大丈夫なのか?」

「オウキが急いで【回復魔法(クーラー)】を掛けたから何とかなったらしいよ」


 姉は回復魔法が使えるらしい。アレは結構難しく使える人は少ないのだが……


「あら? ショウキ起きてたの?」

「随分速い目覚めだな」

「良かった……」

「随分とタフな奴ね」


 アンナさん、ボルハ、レイキ、アナトリーが医務室に入って来た。どうやら皆、俺を心配して来てくれたらしい


「クリスティーさん!」

「え⁉︎ お姉ちゃん⁉︎」


 医務室の奥から姉が飛んで来たて、またもクリスさんに迫る


「私と……グフッ⁉︎」


 何が起きたかというと、着替えて出てきたエヌマエルが姉にラリアットを食らわせた。会心の一撃!! 姉は地面に蹲り悶絶、呻く。

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