何故か俺がリーダーになった……
朝、目を覚まし着替え、身だしなみを整えた後、同室の4人揃って朝食を取りに食堂に行く。食堂で姉を見かけたが、姉は姉で他の人と食べている様なので話しかけるのは止めておく。
「ねぇ、ショウキ。あの人凄くない?」
俺の前に座っているアナトリーが俺に小声で話してくる(彼女の機嫌は朝起きると治っていた)。俺は食事の手を止めて彼女が指差す先を見て……驚いた
「あぁ。確かに凄い」
その人は赤いモヒカン頭に、口ピ、女の軍服……女装男子だろうか。その人物は朝食の乗ったトレーを持ち、何故か姉の方に行き近くに座り、姉に話し掛け始める。
「姉と知り合いみたいだ」
「お姉ちゃん凄いね」
姉は思ったより顔が広いらしく姉の周りにはワラワラと人が集まっている。一体、何をしたらああなるのだろうか。是非聞いてみたい
俺は、そんな姉を尻目に食事を再開する
朝食を食べて皆んな揃ってロビーに行くと、アンナさんがロビーのソファーに腰掛けて携帯端末を弄っているのが見えたので声をかける
「おはようございます」
「えぇ、おはよう。よく眠れた?」
「はい。もうグッスリと」
俺の言葉にアンナさんが微笑んだ後、顔をキリッとさせて話に入る
「今日もメンダシウム・ラビットの討伐よ」
今日もメンダシウム・ラビットを……あの巨大なウサギモドキと対決する事になるらしい。それより、気になる事があるのでアンナさんに聞いてみる
「あ……兄とエマヌエルが見当たらないんですが……」
そう、この場に姉が居ない。遅刻だろうか?
「あぁ。あの子達は昨日十分すぎるくらい動けてたから今日から私無しで任務を受けてもらう事になったの」
「マジで⁉︎」
姉凄いな。ならば当面、猪探しは姉に任せる事となるだろう。俺の分まで頑張ってくれ
「さぁ、この班のリーダーは貴方とするから、任務を受注して来て!」
何故か俺がリーダーになった……
出撃ゲートに向かいながら昨日の事を話す
「しかし……流石ね。手榴弾持ってるなんて」
「あれは母が……」
「もう、無いですけどね」
母が手榴弾をくれた話をアンナさん達にする。そういえば、姉のあのヌイグルミはなんだったのだろうか? 只の飾り?
「心配して渡してくれたんです」
「じゃあ、オウキも持ってるの?」
「いえ……あの兄はヌイグルミ貰ってました」
「ヌイグルミ?」
俺が考え事をしている間にレイキが話をしてくれていた。
「しかし……流石よね、アンタ達のお母さん。先の先まで見通して成功させてるんだから」
アナトリーの言う通り、母は短時間で事業を成功させてみたり、俺達に手榴弾を持たせて危機を救ってみたりと、割と凄い
「それに美人だし」
「知ってるのか?」
「そりゃ、有名よ」
母は有名だったらしい。
「お前達も有名だぞ?」
「そうなのか?」
「あぁ、黒髪黒目なんてお前達くらいなものだからな……」
そうなのだ。ここの世界の住人に黒髪黒目は居ない為、俺達はかなり浮いている。今、目の前に居るアンナさんは金髪青目だし、アナトリーは赤髪で緑の目、ボルハは銀髪青目だ。皆、カラフルで確かに俺達の黒髪黒目が更に浮く。
「誘拐されない様にね」
アンナさんの言葉に俺とレイキの背筋がピーンと伸びた
ゲートを潜り、大地に降り立つ。海の中で生活している為、久々に浴びる太陽の光がとても心地よく感じる
「さぁ、はじめるわよ!」
全身で太陽の温もりを感じていた俺を放って、アンナさんは討伐を始めてしまった。もう少し、大地の有り難みを感じさせて欲しかった
「ぎゃー! 何でこんなに沢山寄ってくるの⁉︎」
アナトリーの絶叫が木霊したり……
「ふんっ!!」
ボルハの何かを破壊する音が響きたり
「てい! あれ? こうかな?」
妹の可愛い掛け声が聞こえて来たりしたが、皆何とか倒せているらしい
「ほら、魔法も使って!」
俺は言われた通り魔法を使い戦う
魔法は【炎系魔法】【水系魔法】【雷系魔法】【風系魔法】【土系魔法】【光系魔法】【闇系魔法】【力系魔法】が存在する。細かく分けると、もっと有るが今はこれくらいにしておく。
魔法は撃つまでに時間がかかるし、接近されたり、遠距離から攻撃された場合は防ぐ事が難しい為、基本は前衛に人がいる場合か、もしくは魔法を放つまでの時間を自身で凌ぐ事が出来る場合に使う。
俺の前には今、ボルハが居り時間を稼いでくれている為、【炎系魔法】で攻撃してみるが威力はイマイチ。倒す程の物ではない。
逆にボルハが後ろに行き、俺が前になりボルハに魔法を撃たせたが不発に終わる。
(別に目指してないが)最強への道のりは遠いらしい。




