い、いやーん……
アンナさんに忘れられてたエマヌエルと姉。アンナさんは2人を探しに何処かに行ってしまった。なので俺はどうしていいか途方に暮れる
「決まったものは仕方がない。これから宜しく頼むぞ」
呆然と立っていた俺の肩に手を付いてボルハは言う。
「良いのか? お前、男の間違えられてるぞ」
「実はな……私は難民でな。住民登録する時に何故か男として登録されてしまったんだ」
それは……見た目からですか?
しかし新事実が判明した。ボルハも実は男装女子だったらしい。いや、男に見えるけれども男装はしてないな……つまり、姉と同じ【男の娘】設定? いや……男の娘ではないな……
結論! 第7連隊の新人は俺以外まともな奴は居ない!
レイキとアナトリーは自身を男と偽り……一応、姉も男と偽っているし、ボルハは男に間違えられ……エマヌエルは女の格好して……俺は普通。俺も何かした方が良いのだろうか?
そんな事を考えながら荷解き(荷物は既に届いてた)し、服をベッドの下の収納庫に入れる。それが終われば食堂で夕食だ
食堂のメニューは毎日飽きない様にか、かなり豊富だった。俺は魚のハンバーグをつつきながら前で話しているレイキとアナトリーの様子を見る。
「よお! 新人」
俺の隣に見慣れない人が座った。その人はどうやら先輩らしく、俺達に此処のルールとやらを教えてくれた。
まず、第1に階級内は対等らしい。俺達と同様にチアナイトの先輩には敬語はいらないらしく、敬語を使うと怒られた。
第2に規則は基本緩いが罰はキツイらしい。他にも教えてくれたが一気に覚えられない為、他は後で覚える事にする
夕食を食べ終え、後は自由時間だ。何をしようか……廊下をブラブラと歩きながら考えていた俺は、自身の体がモンスターの唾液によりベタベタなのに気がついた。他にも土で汚れていたりと兎に角、小汚い
取り敢えず、部屋に戻ってシャワーを浴びる事に……
「兄さん。怪我してるし、医務室行った方が良いよ? 付いて行こうか?」
部屋に帰ると開口一番に怪我の事を言う。そういえば、俺は軽く怪我をしている事を思い出した。確かに医務室に行く必要が有るが、こんなにベタベタなのに手当てしてもらえるのだろうか?
「俺、体が唾液でベタベタなんだよ。シャワー浴びてからにするわ」
「なら入ると良い。私は今上がった」
俺の後ろのドアがシュンっと音を立てて開き、中から風呂上がり姿のボルハが出てきた。かなり露出の多い格好だ。赤く茹だった肌と相まって、とても逞しくみえるよ
「んじゃ、お言葉に甘えて……」
ボルハの横を通り、俺はシャワーに入る。
「し、滲みる……」
やっぱり、手当ての方が先の方が良かったかもしれない。手早くシャワーを済ませて出て脱衣所で体を拭いて服を着ようと手を伸ばした時ーー
「……」
シュンッと音がして脱衣所の扉が開き、不在だったアナトリーが入って来たが……全裸の俺を見て動きを止めた
「い、いやーん……」
他にも言える事が有ったと思うのだが……俺が出したのはそれだった。アナトリーは溜息を吐いた後、脱衣所を出て言った。何か言って欲しかったな……
脱衣所を出ると他3人は何やらテレビを観ていた。この近未来的、終末の世界では、何かの番組があるはずもないので、基本は一昔前に流行った番組や映画、ドラマが流れているらしい。要は再放送という事だろう。
その中の1つである、恋愛系の映画を3人は観ているらしい。
「んじゃ、医務室行ってくるな」
「行ってらっしゃい」
返事はレイキからしか返ってこなかった。アナトリーはコッチすら見ない……傷付いた……
医務室に着くと女医さんが出迎えてくれた
「見ない顔だね。新入りかな?」
女医さんは笑顔で尋ねてきたので答える
「はい。今日からです」
「聞いたよ。相当大変だったんだって? あ、はじめましてだね。私【クリスティーナ = リンデグレン】皆んなからはクリスって呼ばれてるから、そう呼んでね」
微笑みながら言うクリスさんは天使だった。手当てをされながら俺はクリスんと楽しくお喋り。クリスさんは中々の話上手で聞き上手の様で話が弾み無言になる時間はなかった
手当てを終へ俺は部屋に帰る前に娯楽室に寄ってみる事にした。娯楽室に入り中を覗くと……ビリヤード台で遊ぶ人やダーツをする人、ゲームする人などがいる。
ダーツする人の中に姉の姿が確認出来た。姉の他にも数名居る様でダーツを教わりながら、楽しくお喋りをしている。エマヌエルも居る。相変わらず溶け込むのが早い
姉に話しかけるのは諦めて、特にする事もないので部屋に戻る事にした
部屋に戻りベッドに横になると、流石に今日は疲れたのか急に眠気が襲って来た。俺は3人が見ている映画の音を遠くで聴きながら、その眠気に素直に従がい眠る事にする
今日は大変だったな……




