表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界から木を無くせ!  作者: 忘れ者
2/2

遅めの学級崩壊



 始業式の日から、飽きることも改心することもなく、鼻をかんだからゴミ箱にティッシュを捨てるような感覚で俺はいじめられた。


 そんなわけで無事に、悪口の録音、暴行の動画撮影をすることができた。

 できれば教室の隅にカメラを置いて、朝の登校時から下校時までをずっと動画撮影したい。動画サイトにアップした際、「これやらせでしょ」なんて声を一つでも減らしたい。

 

 だが、学校生活というのも意外と長いもので、大体8時間は朝から下校まで教室にいる。

 その時間を誰にもバレずに撮影するとなると、モバイルバッテリーや、偽装工作、朝一番に来てカメラの起動等、やるべきことが多くある。


 動画撮影は、追々考えるとしよう。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 二月に入る頃、動画撮影に成功した。

 難しく考えずに、移動教室の授業の時に「教室に教科書忘れてきました」で、動画撮影していたスマホをい回収すればいいことに気が付いた。

 「これやらせだろ」の声に対しては、「このレベルのいじめをやらせだったら、それはそれで問題ですよ」で対応完了だ。

 

 個人情報を集めるのは大変だったが、ヒロインに聞けば大抵教えてくれた。ヒロインが分かんなかった人も、翌日には教えてくれた。このため、いじめ主犯格5人の個人情報だけでなく、クラスメイトの半数の個人情報が手に入った。教師に関しては、新聞や検索で意外と集まった。担任と学年主任には「年賀状出すんで住所教えてください。」の一言で、住所を教えてもらった。


 チョロいもんである。少しも怪しむってことをしないヒロインは本当にアホなんじゃなかろうかと心配に思ったことすらあった。

 


 SNSへのアップ時期は三月に入ってからにして、卒業式の日に投身自殺でもすれば最高にメディアが盛り上がるだろうと不意に思いついたので、それを実行することにした。俺のいじめに関係ない1年と3年には悪いが、この高校の教員を恨んでほしい。

 卒業式の日は、三月七日だ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 三月一日の午前十二時から、主なSNSにそれぞれいじめ中の写真、音声、動画をアップした。

 どのアカウント名も「いじめられ中」にした。

 ツブヤイッタ―は、写真、音声、動画をそれぞれアップした。

 フェイスボードは、写真に詳しい解説をいれてアップした。

 チックトゥックには、映像を最大一分までアップできるようだったので、いじめられているシーンだけを一分アップを連続した。

 インスタントグラムには写真と映像をアップした。

 ユーパイプには、映像をノーカットでアップした。

 現時点では、写真、音声、映像それぞれに濃いめのモザイク処理をしてあるので、この時点でメディアに取り上げられても全くバレる心配はない。



 三月三日には、通知が鳴りやまなくなった。設定でオフにできるのでしたが。

 沢山の人から「これどうやったの?」「頑張って!」とかなんとか言われたり、「どうせかまちょだろ」とかなんとか、大体予想通りの反応だった。

 予想外だったのは、影響力が高い人にフォローされたり紹介されたりしたことだった。 


 学校でも話題には出たが、俺だと気付かれることは無かった。




 三月五日にはメディアに取り上げられるほどになった。 

 「このアカウントは、主要なSNSに全く同じアカウントで、全く同じ内容をアップしています。が、三月一日しかアップされていないので、ネット上では『話題作り』などの消極的な反応も見られています。」

 ……流行り廃りが本当に早い界隈なんだなと実感した。

 



 三月六日の、午後二十三時。

 モザイクを解除した写真、音声、動画をアップ。そして、学校情報、個人情報も包み隠さずアップした。

 最後にをアップし終わった時、高笑いが止まらなかった。 

 

 


 三月七日、つまりは今日。

 登校すると、地元の全テレビ局が既にいろんな生徒にインタビューをして回っていた。

 教室に入ったら、開幕がクラスメイトの怒号だった。

 「お前ぇええ!!!なんてことしてくれてんだぁあ!!!」だのなんだの言われながら殴る蹴るされる。

 他のクラスの奴から「お前らがいじめたせいで俺らまで風評被害喰らうんだぞ!分かってんのか!」というお叱りの声が入ると、途端に皆大人しくなった。


 なんか暴れ足りないだろうし、点火してやろうと思って、 

 「いやー、なんかごめんな?たまたま入学式の時に撮った、クラス全員と保護者の写真が見つかっちゃったから、今朝アップしちゃったんだよね。」

 と言ってみたら燃える燃える。


 すると他のクラスから、今度は怒号が入った。当然、皆大人しくなった。 

 

 その状況で、ヒロインが入ってきた。

 流石にヒロインも、状況を理解しているようでジト目で俺を見ながら席に着いた。

 きっと「巧になんで私の秘密喋っちゃったの!?裏切者!」とか言われたんだろうさ。

  

 

 そのまま誰も喋ることは無かった。

 ただただ、全員が俺の事を睨みつけていた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ