第3話
作者の自己満足シーンが続きそう。
「まあ、こっちの世界か現実世界のどっちかで死んだら全部パーだぜ」
老人は楽しそうに語る。
「この世界で過ごしていくんだから、今日からお前はウッドランド村の住人ってわけだ。俺が村長だから、なんとかなるさ。娘のセレンや息子のタックがいろいろ教えてくれるだろうしな」
「わかりました」胸の内に湧き起る興奮や戸惑いを一緒くたにして僕はそう答えた。
「とりあえずこの世界のルールを理解しとかないとな。ステータスやスキルは一番大事なものだから、教えてやる」
「はい」
セレンさんの父親がこのじいさんだっていうことには多少の反発的な気持ちが起きるが、これから先の楽しい世界を充分に楽しむために素直に従っておく。
「まずはステータスだけどな。頭の中でイメージしながら、ステータス!って感じでやれば出てくるから」
「うん?」はっきり言ってよくわからない。
「まあ、やってみ」
「はい・・・」
頭の中にステータスを思い浮かべながら「ステータス」と呟いた。
意外なことにピコッという電子音と共に目の前の空間に画面の様なものが簡単に現れた。
「これですか?」
「うん。そうそう。簡単でしょ?このままだとお前しか読めないから右上の共有のボタンをタッチしてくれ」
「あっここは物理的なんですね」老人に従って共有ボタンを押す。
そうすると、「誰に共有しますか?」という表示が現れた。
「たかひこってのがあなたですか?」
「そこを押してくれ。ひらがな表示なのが一番悔やまれるところなんだがな・・・」
思わずフフッと笑みがこぼれてしまう。
向こうもニヤニヤしているので、距離が狭まったってことでいいのかな?そう思いながらたかひこを選択する。
そうすると老人の目の前にも画面が現れた。
「どれどれ・・・名前はマサヤで・・・」
老人が読み進めていくので、僕も自分の画面を確認する。
「初期値はこんなものか。ポイントを割り振ればそこそこ強くなれるな」
そう言って老人は「割り振りの画面を開け。ここでお前の性能の基礎が決まるから」と続けた。
「割り振り・・・ですね」僕は画面をタブレット端末を操作するように扱い、すぐにその画面を開いた。
ステータス値やパラメータ、スキル等いろいろな情報が書き込まれている。
「戦闘型とか、サバイバル型、生産型とかいろいろあるが、お前には戦闘型を目指してほしいね」
「何故ですか?」
「いわゆる魔物ってのが村の近くをうろつきやがってよ。昔はそんなことはなかったんだが、今じゃかなり危険で、村の人々も俺も怯えちゃって」
そのジョークは完全無視して僕は「でも、強そうな人たちはいっぱいいましたけど」と真面目に答える。
「いや、それが大きな問題でさ」無視されたことには無頓着そうに老人は喋りだす。
「あれはステータスとかじゃなくて、本物の筋力っていうかね、難しいんだけどさ」
「というと?」
「腕相撲とか重い石を持ち上げるとかだったらあいつらは強いが、ゲーム的な部分では別なんだよ」
「ゲーム的ってこの世界全体がそうじゃないですか」
「そう言っちゃそうだが、いわゆる力持ちとゲーム的に強いやつは異なるんだ。簡単に説明するとだな・・・」
老人は右上を見つめながらしばらくの間考え、こう説明した。「ゲームとかやってるとさ、主人公って痩せた少年の場合が多いだろ?」
「そうですね、そういえば」
「でもさ、武器屋のおっさんとか人間なのか怪しいくらいマッチョだったりする」
「あるあるですね」
「だったらおっさんが魔物と戦えばいいのにって思うが、ガリガリ主人公の方がゲーム的には強いみたいな・・・そんな感じだ」
「めっちゃ理解できるんですけど」
続く