第2話
書き方が雑です。
あしからず。
ウッドランド村の中へ入ると、美味しそうな匂いが僕の鼻をくすぐった。
その様子を察したのか彼女は「どうせ何も食べてないんでしょ」と微笑みながら言う。
そう言われて空腹を感じ始めた僕は「そうだね」と答えながら村の中を見渡した。
「珍しそうに見回してどうしたの?普通の村なのに。ますます素性が知れないね、君って」
女の子から君と言われればドキドキするのが当然だが、僕の心は別のもので支配されていた。
「人がたくさんいるね」
「当たり前でしょ?」
登場人物が次々と増えていくこの世界には心が踊らされる。
窯でパンを焼く人や衣服を作っている女性たちの中を屈強な男たちが通り抜けて行く。
正にゲームの中の村って感じで僕はワクワクする。
すると、男たちの中から一人の男がこちらに顔を向けた。
「おーいセレン!お前も帰ってきてたか!」
彼らの中でも体格が最も大きい男がこっちへやって来た。
「どうだ?収穫は」
「そっちの方は大丈夫だけど・・・この人が・・・」
「ん?どうした?」
男が僕の方に目をやる。
180㎝を超えているであろう屈強な男に見つめられ、僕は少なからず畏縮した。
「行き倒れでも助けてきたのか?」
「いや、なんてゆうか・・・魔物に襲われそうになってたのを助けたんだけどね。ここがどこだかもわからないみたいでさ、一応連れてきたの」
「ふーん。まあ、親父のところへ連れて行けよ」
いや、もっと驚けよ。とは思ったが、なにぶん相手の威圧感が凄いので僕は黙って会話を聞いてい
た。
「うん。そうする」
そう答えた彼女(セレンって言ってたっけ?)と僕は村の奥にある一際大きな家屋へ歩みを進める。
そう大きくはない村なので1分ほどで家の前に着いた。
まあ、家というよりは小屋って感じだけど。
中へ入ると意外と広かった。
「こっち来て」
そういう彼女に僕は黙ってついていく。
戸を開けると中には老人が座って本を読んでいる。
「ねえ、お父さん」
あっお爺ちゃんじゃないんだと思いつつも僕は黙り続ける。
「んー?何だー?」
彼女のお父さんはなかなか顔を上げようとしない。
「ねえってば!」
「んーんー」
独特な返答をしながら彼女のお父さんはようやく顔を上げた。
「んん?どしたの」
「この人がさ・・・森の中で魔物に襲われてたんだけどさ。ここがどこかわからないって言っててね。一応連れてきたんだけど」
「ん?本当か」
「妙なこと疑わないでよ。本当に森の中で会ったんだってば」
「そうか・・・君、ちょっとステータスを見せてくれないか」
そのフレーズを聞いて僕の中でまたもやワクワクが湧き上がってきた。
ステータスといえばゲームの世界だろ?やっぱ異世界転生かぁー!そうやって自分の世界でウットリしていると彼女が「ねえ、ステータス見せてだって」と僕に注意を与える。
「ああ、えっとステータスていうのは・・・?」
僕は彼女のお父さんに尋ねる。
そうすると老人は「うーん」と唸ってから一言「セレン、席をはずしなさい」と重苦しく言った。
「えっ?何で?」
不思議そうに答える彼女に向かってその父は「いいから、出なさい」と言った。
「う、うん」
彼女は戸を開け、部屋を出ていく。
彼女が部屋を出ると、老人は今までの重苦しい雰囲気から一転してにこやかな表情を見せた。
「あれだろ、お前も夢見てるんだろ」
老人はニヤニヤしながら意味不明なことを言った。
「どういうことですか?」
頼りの彼女もいなくなり、謎の老人と対面して話すのは心がヒリヒリする。
「いやさぁ、お前も寝てる間にこの世界に来たんだろ?わかるよ、俺もそうだから」
「はい???」
衝撃的な一言だった。
寝てる間にこの世界?俺もそうだから?
「えっ、ていうことはこの世界って・・・」
「夢だよ」
んんん?やっぱ夢なの?
「じゃあ目が覚めたらどうなるんですか?」と夢の住人に真剣な質問をしてみる。
「また寝ればいいのさ」
「え?え?」
寝てる間だけこの世界に転生するってことか?混乱が混乱を呼ぶのでまた質問する。
「寝てる間だけこの世界に転生して、起きたら現実世界に戻ると?」
「そう。で、俺も今寝てるとこでさ。目が覚めたら現実世界に戻るわけ」
「この世界って複数人の夢を共有してるんすか?」
現実世界のおっさんと知り、おもわず敬語が雑になる。
「うん。たぶん現実の人間はけっこういると思うよ。俺なんかこの世界に来て30年だよ。子供までできちゃったし、ハハハ」
うーん・・・面白くなってきたぞ・・・
続く