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リツ×リツ  作者: 槙島 れゐのう


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2話「お母さん」

【横浜律】

「ごめん律、来る時ばったり会って律の家行くこと言ったら俺も行くって聞かなくて…」彩芽が気まずそうに言った。

私は声が出なかった。彩芽しか家に入れたことないのにましてや嫌いな男子なんて…

船橋が落ち着いた声で言う「急に来て悪かった。俺にもできることないかなって思って着いてきた。」

船橋は悪いやつじゃない。そんなこと分かってる。でも彩芽以外のクラスメイトが家にいるのは正直居心地が悪い。


「帰って」


気づいたら私の口はそう言っていた。

船橋の目がわずかに見開かれたのに気づいた。

「でも船橋は悪いやつじゃないよ!席も隣なんだしちょっとは頼ってもいいんじゃない?」彩芽が船橋を庇うように言う。

そんなのわかるよ。でも自分の家のことを知られるのすら嫌なのに、家まで来て頼ってって言われてもしんどい。

とっさに「もういいから2人共帰ってよ!」と言ってしまった。

すると彩芽が「律ごめんね。律がそんな嫌とは知らなかった。でも船橋は律が嫌なことしないよ?」彩芽が泣きそうな声で言った。

私は最低だ。自分の気持ちを抑えられなくて、親友すら悲しませた。

その後船橋が「いいよ金沢、俺が悪いから。今日は帰ろう。横浜ごめん、もう勝手に家きたりしないから。明日学校でな。」と言う。

なんで優しくすんのよ。あなたはなにもしてないのに。そう思いながら私は床に座り込んだ。


少しして湊が帰ってきた。「お姉ちゃん大丈夫?」と湊が心配そうに言う。

さっきの話聞かれてたのかなぁと心配しながら

「いつ帰ってきたの?」と疲れた表情で私が言う。

「さっきだよ。彩芽お姉ちゃんと知らない男の人がうちから出てきてたけど何があったの?」と湊が言った。

話は聞かれてなかったようで安心した。

「彩芽は急用ができたみたいで帰っちゃった。男の人はクラスメイトで私の忘れ物届けてくれたの。」と適当な嘘をつく。

私が船橋を拒絶して2人とも帰ったなんて言えるわけない。

「そっか。じゃあ僕お手伝いするよ!なにかすることある?」と湊が元気に言った。

湊の純粋な笑顔に胸が締め付けられる。

最近小学校に上がった湊は家事を手伝ってくれるようになった。

「じゃあ机の上片付けておいて」と言って私は夕飯の準備をした。


夕飯も終わり、私はお風呂と歯磨きを済ませ机に向かう。

いつもならこの時間あれば5ページは終わってるのに、1ページも終わってない。全く集中できない。

彩芽から何件かLINEが来ているが、未読のまま放置してしまっている。

「どうしよう…」明日の学校が憂鬱で勉強どころではない。よりにもよって2人とも近くの席…そう悩んでるうちに時計は2時を回っていた。

全然勉強できなかったが、諦めて布団に入った。


朝、目覚ましが鳴ったが私はスルーした。そのまま時間は過ぎ、学校で言えば一限が終わるころに目が覚めた。初めて学校をサボった。罪悪感を感じながらも全てを忘れるためにまた眠りにつく。


目が覚めると、バイトの20分前になっていた。やっばと思い急いで支度をしてバイトに行った。

バックヤードに入ると店長が面接をしていた。そういえば人手が足りてないって言ってたな。と思いながら準備をしていると

「あれ?横浜?」と面接中の男の人に声をかけられた。

あまり気にしていなかったが、よく見ると面接を受けていたのは能代だった。

私の頭は真っ白になる。

「やっぱ横浜じゃん!バイトしに来てるってことは学校はサボり?」と相変わらずぐいぐいと来る。

どんな偶然だよ…最悪…と思いながら

「えっと…ちょっと朝具合悪くて、よくなったから来たんだけど…」と気まずそうに答える。

すると店長が「2人知り合い?てか横浜さん学校行ってないの?バイトより学校がんばんなきゃー」と無神経に言う。

何も知らない人にそんなこと言われたくない。

すると「いやでも多分横浜が学校休んだの初めてっすよ。真面目な子なんで」と能代が庇ってくれた…のか?

それに今年に入ってからも1.2回は風邪で休んでるし陽キャには私はいてもいなくても気づかない存在なんだろう。そのことはあえて言わなかった。

「そうなんだ。横浜さんは真面目でえらいね。知り合いがいるなら心強いし能代くん採用するから横浜さん能代くんの教育係よろしくね」と店長がニコニコしながら言う。

最悪だ…放課後にもクラスメイトと会わなきゃ行けない場所ができてしまった…と私は絶望した。

その横で能代は受かったことが嬉しいのかガッツポーズをしていた。


私が商品陳列をしていると

「横浜さ、もうちょっと愛想良くした方がいいんじゃね?今日船橋が横浜に嫌われたーってずっと萎えてたぞ」と面接が終わって帰ったはずの能代が話しかけてきた。

船橋はなんでそんなに私に気にかけるんだろう。そう思いながら

「あんたには関係ないじゃん…ってかなんでまだいんのよ」と冷たい声で言う。

「ほらそれ!なんでそんな人の事ゴミを見るような目で見るかなぁ…てか船橋はまだしも金沢なんかやばかったんだぞ。『律からLINE帰ってこないー』って朝から晩まで泣きわめいてて」と能代が流暢な口調で言う。

彩芽がそんなに気にかけてくれてるとは思わなかった。

あんなこと言ったのにちゃんと心配してくれてるんだと思い、すごく嬉しかった。

「晩まで学校にいないでしょ。明日は学校行くから、能代もさっさと帰りなよ。」私は彼を追い払うように言った。

すると能代が「まじ!船橋に伝えとくわ!じゃあ教育係さんまたあした!」と明るく言って帰っていった。

やっぱいくのやめようかな。と思いながら陳列を続けた。


家に帰ると珍しくお母さんが早く帰ってきていた。

「お母さん!」と私が言うと

「律おかえり。今日学校無断欠席したって長岡先生から電話来てたけどどうしたの?」と暖かい声で言う。

友達と喧嘩して行きずらかったなんて言えなかった。

「ちょっと具合悪くて…明日はちゃんと行くから!」と適当に誤魔化す。

お母さんが「律、負担かけさせてごめんね。しんどかったらバイトもやめていいのよ。お母さんがお仕事増やすから。」と優しく言う。

私は「お母さんに頼ってばっかじゃ嫌だよ。それに私、賢いからバイトと勉強両立できてるし!」と誇らしげに言う。

負担をかけてるのはこっちの方だお母さんがいつ寝てるのかすらも分からない。

「そう、しんどかったらすぐ言うのよ。今日はご飯作ってあるから、早く食べて寝なさい。」とお母さんが言う。

「ありがとう」と言って私はご飯を食べた。

なぜ今日こんなに早く帰ってきたのかを聞こうと思ったが、お母さんは疲れてるのかすぐに寝室に入ってしまった。

バイトも頑張りながら勉強して、いい大学に入って有名企業に就職して、お母さんを楽させるのが両親が離婚した頃からの夢だ。

もろもろのことを済ませ、私もベッドに入った。


朝起きると、既にお母さんは家を出ていた。食卓には朝食が並んでいた。

お母さんはほんとに超人だ。あれだけ疲れて帰ってくるのに朝食を作るのは欠かさない。

私は湊を起こして身支度をしたあと、ご飯を食べて家を出た。

昨日のバイト先でのことを思い出して憂鬱になりながらも足取りは思ったより軽かった。

二日連続更新です!2話は1話より長くなってしまいましたが、どうだったでしょうか。大人になってから青春小説を見てると戻りてーってなります。とは言っても作者自身が律以上に人と関わるのが苦手だったので戻ったところでって感じはしますが…そんな話は置いといて!3話も今週中に更新出来ると思うので、次回もよろしくお願いします!

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