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エピローグ

 目を開けると、私は神楽坂の小さな路地に立っていた。

 周囲には、あの「共鳴堂」も、洋館もない。

 ただ、夕暮れの街並みがいつも通りの姿で広がっているだけ。


 掌の中の懐中時計が、静かに時を刻んでいる。

 チク、タク、チク、タク——

 その音は、どこかでまた誰かと誰かを繋ぐ予感を孕んでいた。



---


 あれから、私は時々、時計の蓋を開ける。

 すると、不意に人の声や笑い声、雨音や風の匂いが心の奥に流れ込んでくる。

 それは私が知らないはずの景色で、けれど確かに誰かの大切な瞬間だった。


 「共鳴」は終わった——そう思っていた。

 けれど、本当は何も終わっていないのかもしれない。

 物が人を繋ぎ、人が物に記憶を宿す限り、それはずっと続いていく。



---


 時計の針が、午後七時を指す。

 私はコートを羽織り、夜の街へ歩き出した。

 新しい出会いが、きっとこの先で待っている。


 そして、あの音は今も静かに、私の胸の奥で響き続けている。


 ——チク、タク、チク、タク。

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