第70話 続いての出番は、ノルディア!
「落ち着いた口調なのに、話題はめっちゃ攻めてたな……」
レオンの声が、会場全体にふわりと響いた。
ストリーマーカップ第1ラウンド、2人目・カリナの配信が終わった直後。
控え室には、ピリッとした空気と、わずかな静寂が漂っていた。
「彼女の配信、いつもながら情報の精度がすごいですね」
セレスティアが静かに言葉を添える。
口調は穏やかだが、その目には鋭い評価の光が宿っていた。
「無駄がない。刺すところだけ、きっちり狙ってくる」
カーティスも短く評し、腕を組んだまま頷く。
それらのコメントを、控え室のモニター越しに聞きながら――
リオナは、ごく小さく息をついた。
(カリナさん……やっぱり、すごい)
(あの距離感と、言葉選び。場の空気を支配するって、こういうことなんだ)
周囲の出場者たちも、どこか真剣な面持ちでモニターを見つめていた。
エスティアは無言で目を閉じて何かを反芻している様子。
マールは「おお〜……」と、ほわっとした表情のまま首をかしげている。
そして――
「お、次はオレっぽいな」
ザンが片耳に付けたイヤモニを軽くトントンと叩きながら、肩を軽く回した。
「いっちょ、バッチリ決めてくるか」
そう言って笑うその姿は、いつも通り――陽気で、リズムに乗っている。
リオナはつい、その横顔に目を奪われた。
(……かっこいい)
(いや、そうじゃなくて! 見習うところ、って意味で)
そんな自分に小さくツッコミを入れたところで、モニターが切り替わる。
《出演準備完了》
《次の出場者を紹介します》
レオンの声が再び、落ち着いたトーンで響いた。
「それじゃあ――続いての配信者を紹介しよう」
「ノルディア代表、ザン=サラウィア!」
控え室の空気が、再び少しだけ動いた。
そのリズムは、音楽のように――次なる舞台へ、繋がっていく。
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