表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/72

第7話 あの人と一緒だった子

 


翌朝、街は相変わらずにぎやかだった。


露店からはパンの焼ける匂いが漂って、

通りを歩く冒険者たちが陽気に笑っている。


私は人混みに紛れて、ひとり、魔導石をいじりながら歩いていた。


 


(昨日のコラボ配信……ほんとに、やったんだな)


 


魔導石には視聴履歴とリアクションデータが残っていた。

フォロワー数が「1」から「63」になっていた。

小さな数字だけど、私にとってはとてつもない変化だ。


 


> 《昨日の新人、なんかクセになるな》

> 《耳フリちゃんまた出ないかな》

> 《レオンのとこにいた子か》


 


(……やっぱ、レオンと一緒だったからだよね)


 


あの人はこの街で知らない人がいないレベルの人気者らしい。


昨日も歩いてるだけで二度見されたり、話しかけられてたし。

そんな人と一緒に配信してたってだけで、**“隣にいた新人”として注目された**んだ。


 


(……ありがたい話ではあるけど、ちゃんとしなきゃな)


 


いつか、自分の名前だけで見てもらえるようになりたい。

そう思うのは、ちょっと贅沢だろうか。


 


広場を通り抜けて、ギルド前に来ると――

掲示板の横に小さな案内が出ていた。


 


《ストリーマー登録者向け:今週のピックアップ紹介枠はこちら》

《注目新人:リオナ・アメシス(NEW!)》

《紹介者:レオン(上位ランカー)》


 


(うわ、載ってる……!)


 


ピックアップというより“レオンの推薦”枠みたいな扱いだったけど、

それでも街のギルド掲示板に名前が出てるって、普通にすごい。


 


「あれ? 昨日のコラボの子じゃない?」


「耳フリフリしてた新人?」


「おー、やっぱり本人だー!」


 


すれ違った冒険者たちの声が耳に入る。

ちょっと恥ずかしくて、魔導石で顔を隠してしまった。


 


でも――


(……これが、届いてるってことだよね)


 


ちゃんと“誰かが見てた”。

その誰かが、こうやって反応してくれる。

それだけで、十分すぎるくらい嬉しかった。


 


私は深呼吸して、ギルドの扉を押し開けた。


少しだけ足取りが、軽くなった気がした。


 

チャンネル登録ブクマと高評価(評価)で応援よろしくお願いします!次回配信も読みに来てください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ