第66話 最初の一人は・・・
「じゃ、改めてルールの確認からいこうか!」
レオンの声が、空間に響いた。
浮かび上がる魔導ビジョンには、彼の姿と共に“ストリーマーカップ”のロゴが映っている。
ここは、特設スタジオ。
出場者や関係者たちが集まり、その様子は配信でも同時に流されていた。
いわば大会の“オープニング配信”だ。
「ラウンド1のテーマは、“雑談配信バトル”!」
「演出も、BGMも、エフェクトも、戦闘も、ぜーんぶ禁止!」
「あるのは、“あなたの声”だけ!」
魔導ビジョンには、シンプルなルール概要が表示される。
【ラウンド1:雑談配信バトル(3時間)】
【トークのみで勝負】
【禁止事項:戦闘、BGM、演出、小道具、編集、共演者】
「全員、順番に三時間ずつの雑談配信を行ってもらう」
「事前に抽選で配信順は決めてあるから、あとは……全力で喋るだけだ!」
コメント欄がにぎわい始める。
> 《三時間とか地獄w》
> 《何話せばいいんだよw》
> 《戦闘禁止!? マジか!?》
「そして今回は、採点方法も少し特殊です」
「評価は三つの軸から――それぞれに配点がある」
レオンが指を三本立てると、それに応じて魔導ビジョンが切り替わった。
【採点方法】
・視聴者コメント欄の盛り上がり(レオン独断)……配点20%
・審査員2名による内容評価…………………………配点50%
・配信中でない出場者による採点……………………配点30%
「つまり、ただ人気があるだけじゃダメ」
「内容が評価されないと、勝てない仕組みだ」
「審査員の二人は――この人たち!」
画面に切り替わるのは、既に紹介済みのセレスティアとカーティス。
セレスティアはいつもの優雅な笑みを浮かべ、手を軽く振る。
カーティスは腕を組んで無言のまま、ただ静かに画面を見つめていた。
「そして、今回は特別に! 配信中ではない出場者たちにも審査員として評価してもらいます!」
「トークだけの配信を、一番よく理解しているのは配信者自身だからね」
コメントがさらに盛り上がる。
> 《ガチの配信バトルやん》
> 《レオンの点数だけ妙に軽く感じるの草》
> 《他のストリーマーが審査とか地味にプレッシャー》
レオンは笑みを浮かべながらも、きゅっと表情を引き締めた。
「じゃあ……そろそろいこうか」
「ラウンド1、トップバッターの発表です!」
空中の魔導ビジョンがきらめき、抽選で決まった配信順の先頭が映し出される。
【ラウンド1・1人目:エリザ=グランノア】
「やったーっ! アタシからだーっ!」
ぱあっと明るい声が響いた。
ゼミル連邦代表のエリザが、元気よく手を挙げて立ち上がる。
「いっちばん最初って、めちゃくちゃ美味しいじゃん!」
「ぜったい楽しませるから、覚悟しててねー!」
> 《テンション高っw》
> 《朝から元気すぎて眩しい》
> 《初手がこの子なの正解な気がする》
「準備はいい?」
「もちろんっ! フルスロットルでいくよっ!」
レオンが笑いながら頷き、手を前に差し出した。
「それじゃあ、記念すべき一本目!」
「エリザ=グランノアの“雑談配信バトル”、スタートです!」
こういう無形のモノを採点する感じ、M-1グランプリとか参考にしたけど未開の地すぎてめちゃくちゃ手探り。
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