表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/72

第6話 配信って、やっぱり面白いかもしれない

 


「――というわけで、本日のお供はリオナ・アメシスちゃんでした!」


 


レオンの軽妙なトークが響くなか、私は何度も頷いていた。

気づけば、もう1時間近くしゃべっていたことになる。


緊張していた最初の数分が、もはや懐かしい。


 


> 《耳ぴく芸また出たw》

> 《今の表情かわいすぎたんだけど!?》

> 《レオンにツッコめる新人は貴重》

> 《思ったよりしっかりしゃべれてるなこの子》


 


コメント欄もいい感じに盛り上がっていた。


最初はただのノリや冷やかしだったのが、

徐々に“ちゃんと見てる”雰囲気に変わってきてるのが分かる。


 


(……こんな感じ、久しぶりかも)


 


前世でも配信はしてた。

でも、ずっと一人だった。


コメントはあっても、壁越しの会話みたいで。

誰かと一緒に笑ったり、流れでボケたりツッコんだりするのは――


ほんとに、久々だった。


 


「なあリオナ、スライム実況以外の芸ってある?」


「芸って言うな!」


 


思わず叫んで、そして自分でも笑った。


その流れに、レオンがニヤリと笑って被せてくる。


 


「じゃあさ、この配信の締めに“スライム遭遇時の再現実況”とかどう?」


「やめろーー!!」


 


> 《やってほしいww》

> 《期待》

> 《需要しかない》

> 《やるしかない空気》


 


(うわぁ……ノリが加速してる……)


 


「……じゃあ、ちょっとだけだよ?」


「まじでやるんかい!」


「この流れで断ったら、逆に空気読めてない人でしょ!!」


 


そう言って、立ち上がり、深呼吸。


一応、雰囲気だけでも寄せていく。


 


「えー、こちらリオナです! 本日は現場からお送りします!

 魔物スライムに襲われておりまして、現在私、全力で逃走中です!!

 誰か助けてーーー!! このままじゃまたコメント欄にネタにされるぅぅぅ!!」


 


> 《うまいww》

> 《さすが元V》

> 《リアリティすごいな》

> 《コメント欄も逃走中》


 


配信ブースが拍手と笑いに包まれた。


そして――


 


「……よし、今日はここまでだな」


レオンが合図を出す。

それに合わせて、魔導石のUIが淡く光り、コメント欄がゆっくりフェードアウトしていった。


 


「おつかれ」


「……おつかれさま」


 


配信が終わった瞬間、緊張が一気に抜けた。

足がちょっとガクッとしたけど、なんとか耐えた。


 


「どうだった?」


「……楽しかった。びっくりするぐらい」


「そっか」


 


レオンは、それだけ言って笑った。


それ以上、何も言わないのがありがたかった。


 


私は魔導石を見つめながら、

その中に残った“視聴履歴”の数字をぼんやりと見つめていた。


そこには確かに、**“誰かが見てくれた”証拠**が残っていた。


 


(配信って……やっぱり、面白いかもしれない)


 

チャンネル登録ブクマと高評価(評価)で応援よろしくお願いします!次回配信も読みに来てください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ