第49話 “ノルディア代表”って、すごい肩書だ
翌朝、ギルドの端末に正式な出場登録の通知が届いた。
> 【ノルディア代表選抜ストリーマー】
> リオナ・アメシス 出場決定
> 登録ステータス:有効
> チーム:未確定(後日編成)
> 本大会参加国数:5ヶ国
> 主催代表:レオン=クロイツ
> 協賛団体:魔導配信連盟・各国配信者協議会・ギルド連盟
(……魔導配信連盟……配信者協議会……ギルド連盟……)
(なにこの名前の圧。やっぱり、レオンさんってすごい人なんだ)
ドキドキする気持ちと、
“何も始まってないくせに緊張してる”自分がちょっと可笑しい。
「よう、リオナちゃん。登録、確認したよ」
ギルドの応接席に現れたのはレオンだった。
いつも通り軽い口調だけど、手元の端末には膨大なメモと資料が並んでる。
「これ、今の時点での出場予定者リスト。まだ一部だけど、見てみる?」
「えっ、いいんですか?」
「ノルディア代表にしか見せないやつだからね。特別特別」
端末に映し出されたのは、各国の出場者名とプロフ。
そして、その横に貼られた“切り抜き画像”や“配信ハイライト”のような資料。
> 【リオス王国代表】
> ・エスティア=グランツ(高貴系ドSお姉さんストリーマー)
> →過激ツッコミ系解説で常に高視聴率をキープ。バトル中の毒舌が人気。
> 【ファレノ国代表】
> ・マール=シェリ(動物と歌う癒し系配信者)
> →バトル中でも即興ソング。魔物を寝かしつけた実績あり。
> 【ゼミル連邦代表】
> ・ヴァルト=イクス(無言系戦闘配信者)
> →配信中はほぼ喋らず、代わりに字幕とリアクションエフェクトのみ。異常に人気。
「なにこれ、みんな強烈すぎません!?」
「うん、だいたいどこも“クセ強め”なの集まってるよ。
まぁ……それがストリーマーってもんさ」
「てか、みんなバトル系なんですね。
……あれ? 冒険者兼ストリーマーって、やっぱり普通なんですか?」
「そうそう、それが主流のスタイルなんだよ。
冒険者ギルドに所属して、魔物討伐しながら配信する――っていうのが基本形。
リオナちゃんみたいに“バトルあんまりやらずに実況や街レポ中心”ってタイプは、かなり少ないね」
「……そうなんですね」
配信してるときは、自分のスタイルが普通だと思ってた。
でも、気づかないうちに“少数派”だったんだ――
そんな感覚が、少しだけ胸に引っかかった。
「“ノルディア代表”って、肩書き……思ってたより重いかもしれないです」
「そうだね。でも、それだけ“君が今いる場所”が大きくなってるってことでもある」
レオンは、端末を閉じながら言った。
「この大会、ただのお祭りじゃない。
本気で“配信の未来”を変えようって連中ばっかりだからさ」
私の中で、もう一段階ギアが入った気がした。
これはただの出演じゃない。
次に進むための、でっかい一歩なんだ。
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