第42話 決勝戦、始まる!
(さあ――ここからが本当の勝負)
魔導結界が完全に張り直され、
観客席には整然とした静寂と、すぐ爆発しそうな熱気が充満していた。
「それでは――決勝戦、始まります!」
私の声が場内に響く。
次の瞬間、スタジアムの中央に二組の選手が現れた。
一方は、鉄壁の連携で勝ち上がってきた防御と補助のカイ&セナ組。
もう一方は、翻弄と奇襲の戦術を磨き抜いたファルド&ニーニャ組。
どちらも、この闘技大会を象徴するような個性の塊。
「前に出て守る者、支える者。
そして、陽動してかき乱し、刺し込む者――
相反するスタイルの真っ向勝負、まさに夢の決勝カードです!」
> 《ついにきた!》
> 《この組み合わせ見たかったやつ!》
> 《こっちまで緊張してきた》
「では――選手、準備完了。
ノルディア交流戦、決勝戦――開始ッ!!」
魔導障壁が再び輝き、四人が同時に動き出す。
「カイ、前に出る!ファルドの一撃を盾で受け止め――!?
……いや、かわした!? 側面から回り込むカウンターだ!」
> 《カイがかわした!?》
> 《今までと動き違う!》
> 《セナが詠唱短くしてるっぽい!?》
「セナ、補助魔法を“流しながら”移動!?
ファルドの動きを先読みして、攻撃を切らせる狙いか……!?」
(みんな、進化してる。
予選の時より速く、鋭く、連携もズレがない……)
「ニーニャ、煙幕展開――これは前と同じ“幻霧の網”……
……かと思いきや! 中心に詠唱陣!? 陽動と見せかけて、ここで火術だ!!」
魔法の光が一斉に走り、観客席がどよめきとともに湧き上がる。
> 《うおおお!?》
> 《こんなん避けられるか!?》
> 《カイセナどうする!?》
(言葉が追いつかない――でも、追いついてみせる)
「これは……読み合いだ。
単なる力比べじゃない、
ここに立つために、全員が“相手を知ろうとしてきた”んだ――!」
私の声が震える。
でもそれは、怖さじゃない。
この場に立ち会えている興奮、
それを“伝えられている”という実感。
「カイ、セナ、同時詠唱――!
補助魔法と防御の融合――これは、新戦術!?
“反転障壁”発動!!」
観客席から、悲鳴のような歓声が上がる。
ステージの魔導光が一瞬だけ弾け、
全てが、まるでスローモーションになったように感じた。
決勝戦は――まだ始まったばかり。
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