第39話 実況でも魅せてやる!
「準決勝、第二試合――選手、入場!」
場内の空気が一段とざわつく。
さっきの試合が凄すぎたせいで、観客もコメントも完全に温まってる。
(今の流れ、私も維持しなきゃ……!)
ステージに現れたのは、両手槌を担いだゴツい男・ガロンと、
広範囲火術を使う魔導士ビネッタのペア。
いかにも“押し潰す系”。
対するのは、前に出て翻弄する軽装の男・ファルドと、
攪乱支援の小柄な魔導士・ニーニャ。
「正面突破の重量ペアVS陽動と攪乱のトリックスター!
さあ、真っ向からぶつかるか、翻弄するか――構えた!」
> 《この組み合わせ、相性悪そうで面白い》
> 《機動力vs火力ゴリラって感じ》
> 《実況の例えが相変わらず助かる》
(よし、入ってきてる。ノせるぞ……!)
魔導障壁の発光とともに試合開始。
「ガロン選手、開幕から突撃!超重量の両手槌、
あれ当たったらマジで即終了! ニーニャ選手、後方へ退避――!」
> 《砲撃ポジのニーニャ守らないと無理ゲー》
> 《この構成、時間稼げばワンチャンある》
「ファルド、横から差し込む!足払い――からの“陽動斬り”!?
これは幻影か!? いや本体、ガロンの視線を誘導してる!」
見えた。相手の動きをどう崩すか、どこでズラすか。
そしてそれを、どう“伝えるか”。
「後衛ビネッタの詠唱、遅れてる――ニーニャの煙幕魔法!
これは視界遮断と攪乱を兼ねた“幻霧の網”!」
> 《でた、ニーニャの得意パターン!》
> 《火術止まった!》
> 《実況が上手くて全部見えてくるのすげえ》
(やっぱりこのステージは、ただのバトルじゃない)
(観る人がいて、言葉を届ける誰かがいて、
そして、私と一緒に戦ってる人がいる――)
「ガロン、焦れた!煙幕ごと踏み抜く……が、そこにファルドの“陽動刺突”!
これは決まったか!? おっと、最後の火術一閃――しかし間に合わない!」
魔導障壁が大きく反応する。
「勝者――ファルド&ニーニャ組!」
> 《完全に術式潰してたな》
> 《火力チーム倒したのデカい》
> 《これで決勝は……!》
> 《実況が熱すぎて集中切れん》
試合後、控室へと戻る通路を歩きながら、私はそっと呟く。
「試合のたびに、少しずつ“私の居場所”になっていく気がする...!」
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