第38話 ノってきた!!!
「それでは――準決勝第一試合、いよいよ開幕です!」
私の声に、観客席が揺れたような気がした。
試合が進むにつれて、空気が変わってきてる。
ざわめきじゃない、これは“期待”だ。
「ここでぶつかるのは、第一試合で見事な連携を見せた――
防御と補助の鉄壁コンビ、カイ&セナ組!」
「対するは、第二試合の逆転劇を演じた――
細剣と風魔法の高速連携、ライル&アーシュ組!」
> 《このカードは熱い》
> 《決勝でもおかしくないやつ!》
> 《リオナの実況込みで見たい》
(うわ、始まる前からコメントすご……みんなもアツくなってるんだ)
どっちが勝ってもおかしくない実力。
なら私は、ただ実況するだけじゃなく――
「全員、準備完了……! 試合、開始ッ!」
――沸かせる!
魔導障壁が一瞬だけきらめいて、
四人の選手が一斉に動いた。
「開幕、まず動いたのはライル選手!
細剣の突進、これは“第一撃で流れを取る”戦術か――!」
> 《先手取る気満々》
> 《アーシュの風援護きた!》
> 《前の試合より連携速くない?》
「カイ選手、盾で正面から受けにいった!
セナ選手の補助魔法も発動――これは……なるほど、
“リズム封じ”だ!速攻のテンポそのものを崩しにいってる!」
(いいぞ……この駆け引き、言葉にしがいある……!)
空間がねじれるような風の奔流、
盾と刃がかち合う金属音、
魔法の光が会場を照らすたび、歓声が波のように押し寄せてくる。
でも、私は負けない。
「ライル選手、側面から再突入――これは“スイッチ突き”!
そしてアーシュの風魔法、まさかの“二段遮断”!?」
> 《今の風で回り込み止めた!》
> 《遮って誘導して、そこからってやつか!》
> 《実況なかったらわからんやつだコレ》
私の頭の中では、戦術の動きが線になって繋がっていく。
言葉が次から次へと浮かんでくる――
まるで、私の実況がこのバトルに追いついて、追い越そうとしてるみたいに。
「カイ選手、ここでカウンター!盾の“ノックアップ”でライルを浮かせた――
セナ選手、補助魔法からの――連携魔法、決まったッ!」
ステージ全体が眩しく光る。
観客席から、割れんばかりの歓声。
> 《キターーーー!!》
> 《鉄壁コンビ、ここで決めたか!?》
> 《ライルが落ちた、アーシュ孤立!》
> 《実況の声と一緒に鳥肌立ったわ》
「アーシュ選手、回避行動!だが、セナの魔法が先回りしていた――
……決まった、魔導障壁、光変化!
勝者、カイ&セナ組!」
叫びきった瞬間、私もほんの一瞬だけ息を止めていた。
でもすぐに、観客の拍手と熱がブースにまで押し寄せてくる。
(……これだ。この熱の中に、私もちゃんといる)
視聴者のコメントがまた流れる。
> 《テンポやばかったけど実況乗ってたな》
> 《この実況の人、もっといろんな大会で見たい》
> 《叫びがキマるとこマジ好き》
私はブースの椅子に背を預けて、小さく深呼吸。
でも、気持ちはまだ前に向いてる。
だって次は、準決勝第二試合。
決勝の相手を決める――もうひとつの“激突”。
「さあ、次の舞台へ!」
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