第30話 予想外なオファー、届きました
朝。目を覚ますと、魔導石に見慣れない通知が届いていた。
> 【新規オファー:実況依頼】
> 発信者:ギルド・フィーネ
「……ギルド、から?」
まだ寝ぼけた頭で確認する。
普段は街の紹介だったり、軽い依頼の通知しか来ない。
けれど今回は、タイトルからしてちょっと様子が違う。
内容を開いて、思わずまばたきを繰り返す。
> 【依頼内容】
> ノルディア闘技場にて開催される交流戦の実況配信
> 配信者:リオナ・アメシス(指名)
> 推薦者:リュミ・フォルシア
「……リュミ?」
思わず口に出た名前。
彼女の名前を見て、すぐに思い当たった。
たしかに以前、ギルドの仕事でリュミとコラボ配信をしたとき、
「リオナって実況向きだよね」って、そんなことを言われた気がする。
でも――まさか本当に推薦してくれてたなんて。
(いやいや、待って待って……闘技場の実況って、そんな大きな仕事でしょ!?)
軽いパニックになりながらも、通知の詳細に目を通す。
> 【収録時間】午後の2時間程度
> 【観客数】300名規模(現地観戦+配信視聴)
> 【報酬】150リル+歩合あり
> 【機材】会場設置の公式カメラおよびマイクを使用
「う、うわ……」
数字に圧倒されそうになった。
でも、同時に――少しだけ、胸の奥がふるえた。
(……私に、できるかな)
闘技場での配信なんてやったことない。
でも、街の紹介も最初は全部初めてだった。
それでも、やってこれた。だからきっと――
(やるしかないよね)
リオナ・アメシス。
この街の、駆け出しのストリーマー。
ギルドを通して、少しずつ“ストリーマーとしての仕事”が広がっている実感があった。
そして今――それが、“ステージの上”にまで届こうとしていた。
「よし、引き受けよう」
ベッドの上で拳を握り、送信ボタンを押した。
ほんの少し、手が震えていたけれど――
それはきっと、怖さじゃなくて、期待だった。
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