第28話 届けられた“想い”という名の投げ銭
「ということで今日はここまで! 見てくれてありがとーっ!」
配信を終えて、魔導石の映像がゆっくりフェードアウトしていく。
今日は雑談と、ちょっとした現地紹介を織り交ぜた、ゆるい日常配信だった。
(ふぅ……今日も無事終わり)
ここ最近、ありがたいことに――配信中にぽつぽつと投げ銭が入るようになってきていた。
金額はほんのわずか。でも、画面越しに誰かが「届けよう」と思ってくれたことが、嬉しかった。
「……よし、あとはコメントチェックして……ん?」
通知欄の中に、見慣れない表示があった。
> 【投げ銭が届きました】
> 送り主:シロ
> メッセージ:『街の紹介、すごくよかったです。また楽しみにしてます!』
> 金額:100リル
「……っ!」
目を見張った。
今までの投げ銭は、ほとんどが無言のワンクリック、あるいはシステム的なノリのものだった。
でもこれは――**名前とメッセージ付き**。
しかも、今までのどれよりも明確な意思を持って送られてきた、はじめての“言葉のある支援”だった。
「……え、なにこれ……ほんとに……?」
魔導石の画面に指を添えて、じっと見つめる。
『街の紹介、すごくよかったです。また楽しみにしてます!』
言葉にすると簡単な一文。
だけど、そこに込められた気持ちが、すごく、すごく大きく感じた。
> 《リオナちゃんおつー!》
> 《今日のも良かったよ!》
> 《紹介助かった~また行ってみる!》
「……うわ、うわ、うれしい、なんか、ほんと……」
言葉がうまく出てこない。
ただ、心の奥がじんわりとあたたかくなっていくのを、止められなかった。
---
夜。ベッドに入ってからも、私はずっとそのメッセージを思い返していた。
投げ銭をもらうこと自体は、ここ数日でもう“珍しくはない”出来事になっていた。
でも、それでも――**今回のそれは、全然違った**。
名前を出して、言葉を添えて、思いを届けてくれた人がいた。
それが、嬉しくて仕方なかった。
(……もっとちゃんと、やろう)
(もっと“伝える”ように、話そう)
少しだけ、気持ちが引き締まった。
誰かが“応援してくれる”って、こういうことなんだ――
そう思えた、そんな夜だった。
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