第20話 街の推しスポットバトル!
「魔導通信、コラボモード起動――リオナ・アメシスです!」
「こっちも繋がってるよー! フィーネ・リュミエール、通称リュミでーす!」
配信画面が二分割され、私とリュミの映像が並ぶ。
今日の企画は“街の推しスポット紹介対決”。
それぞれのおすすめの場所を紹介して、
視聴者のコメントやリアクションで“どっちが魅力伝えられたか”を競う。
「まずは私からいきますね。こちら、街外れの丘にある“風見の見晴らし台”です!」
カメラを回しながら、私は風にそよぐ草の丘を登る。
少し息が上がるけど、後ろに広がる街並みを背景に、魔導石が美しいパノラマを映し出す。
「ここ、時間によって空の色がすごく綺麗で、
しかも風車が回ってる音がなんか癒されるんですよね……」
> 《いいとこ見つけてんな〜》
> 《この景色エモい》
> 《音もいいな、癒やし》
「というわけで、風と空を感じたい方は、ぜひ“風見の見晴らし台”へ!」
場面が切り替わって、リュミの配信画面へ。
「じゃじゃーん! 私の推しスポットは“星の路地裏カフェ”です!」
細い裏道の先にある小さなカフェ。
天井から星型の灯りがぶら下がっていて、まるで夜空の中にいるみたい。
「ここのシフォンケーキがふわふわでさ〜!
配信者割引もあるし、ストリーマーには優しいお店なんだよ!」
> 《絶対うまいわこれ》
> 《雰囲気おしゃれすぎ》
> 《リュミのテンションでさらに楽しそうに見える》
「お互いの推しスポット、伝わったかな?」
「視聴者のみなさん、ぜひどっちが良かったかコメントで教えてください!」
コメント欄は盛り上がっていて、どちらにも肯定的な反応が多い。
いい勝負になりそう。
――そのとき、画面が一瞬だけ光った。
《通知:視聴者からのギフトが届きました》
「……あっ!」
初めての投げ銭通知。しかも、2件同時。
《視聴者Aから10リル:“ケーキでも買って!”》
《視聴者Bから8リル:“景色代。癒やされた。”》
「す、すご……!」
「わあっ、ありがとう〜〜っ!!」
画面の端に、小さく分配アイコンが表示される。
《投げ銭自動分割モード:5リル/5リル → リオナ/リュミ》
(……本当に、見てる誰かが、お金をくれたんだ)
心臓がちょっとだけ跳ねる。
数字で表示される額面以上に、“気持ち”が嬉しかった。
「ということで、皆さんからの応援でケーキも景色も満喫させてもらいます!」
「ありがとね〜! 配信続けててよかった〜!」
> 《初ギフトおめでとう!》
> 《これは推せる》
> 《分配もちゃんとされるのすごいな》
「さて、今日はここまで! 次回は、ギルドの屋上から夜景配信とかもアリかもですね」
「やろやろ! ということで、次回もよろしく〜!」
魔導石をタップして配信終了。
画面がふっと暗くなるその瞬間まで、
コメント欄はずっと明るくて、あたたかかった。
(ありがとう――また、見てくれるといいな)
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