疲れた中年男性
青い鳥は、ローレルの木に停まってしばらく昼休憩をしていると、すぐ近くに芝生の上に寝転んでいる男を見つけたので、今度はその男のお腹に移動しました。
「おじさんこんにちは!」
「やあ青い鳥さん、こんにちは~」
「おじさんはどうしてここで寝転んでいるの?」
「いや~、色々と疲れてしまってね~。仕事中だってのに、ぼ~っと空を眺めている始末だよ~」
「そうだったんだ……。空は青いね」
「そうだね~。どうして空は青いんだろう」
「……。青色は命の色なんだって。だから青い空は、太陽からの、命の贈り物なのかもしれないよ」
「命の贈り物か~。だから癒されるのかもしれないな~」
「きっとそうだよ! ところでおじさん、一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「もちろんいいよ~。答えられる範囲でならね~」
「ありがとう! 早速話に入るけど、僕は昨日の夜、夜空に青い星を見つけたんだ。だけど、それからなんだかその青い星のことがすごく気になってて……。その答えが命というか心の中にあるってところまではわかったんだけど、その心が一体どういうものなのかがわからなくて……。心って、どんなだと思う?」
「青い星を見つけたのか~。そんなの昔話の中にしかないものだと思ってたよ~。それで、心か~」
「なかなかわからないんだよね」
「確かにわからないな~。でも逆に、わからないものこそ心なんじゃないかな~」
「なるほど! 逆転の発想だ!」
「世間ではわかりやすいものだけを良しとする風潮があるんだけど、そこで長く生きてきて、そのわかりやすいものの世界に心はないことだけはわかったよ~」
「そうだったんだ。わかりやすいものの世界にはない……」
「だから、はじめは手探りでも向き合わないといけないだろうな~」
「わからないものの世界と……。そしてその先に答えがある……」
「そうだといいな~。どうやら僕が答えられるのはここまでみたいだよ~」
「答えがあるって信じよう! おじさん、疲れているのに教えてくれてありがとう!」
「いえいえ~。少しでも力になれて、こっちもリフレッシュできたよ~」
「それは良かった! これからはあんまり無理しないでね!」
「ありがと~、青い鳥さん」
「ではまた!」
そう言うと、疲れた男のお腹に一枚の葉っぱを置いて、その場を後にしました。