バナナ王国
1万年前 マイケルが初めてデイに転生した頃
ここは東の大陸
機械都市メタルより遥か北東にあるヤミの町
このヤミの町で1番大きな豪邸には
大富豪であり天才錬金術師と呼ばれる冒険者ランク6のガルロフと1人娘であるユティカの親子が幸せに暮らしていた
ユティカはガルロフが高齢の時に授かった子供でもあり大変可愛がっていたが予期せぬ不幸が訪れる
ある日の昼間 ユティカと執事は町の広場で買い物をしてところ
突然の日食により辺りは真っ暗になる
その時を見計らってかどうかは定かではないが
どこからともなく町に侵入してきたモンスターの群れに襲われた
後々にわかった事だがヤミの町の地下から吸血鬼や食人鬼の巣が見つかった
モンスターの群れは町にいた冒険者達と
連絡を受けたガルロフが急ぎ駆けつけて倒したが
ガルロフは襲われた娘の姿を見て絶望する
長い間 冒険者をやり何度も死を見届けてきたからこそわかる
もう 娘は 助からない…
ぅ ぅぅ
ユティカ! ユティカ!
ぉ お とう さ ん?
そうだ お父さんだぞ!
それがユティカの最後の言葉だった…
ユティカ わたしを独りにしないでくれ
ガルロフは声にならない叫びをあげた
その後すぐにガルロフは娘の遺体を地下研究所に連れてきていた
日食中の今なら まだ間に合うはずだ
不幸中の幸いか素材も条件も揃っている
町を襲っていた吸血鬼と食人鬼の死体と
研究中のオートマタ作製用に集めていた大量のコア
これで まだ誰も成功させた事が無い
命の錬成をやってやる
ユティカがいない人生なんて 生きている意味がない
もう1度 お父さんと呼んでくれ
戻ってこいユティカ!
ガルロフによる 禁断の命の錬成
そこにあったのは純粋に娘への愛だけである
天才錬金術師と呼ばれた男の生涯最高の錬成
それは恐ろしくも美しい完璧な錬成であった
ガルロフは錬成を終えて娘を見つめていた
しばらくすると
ユティカは静かに起き上がり
ガルロフを見つめた
お父さん?
ここに人族の敵であり 闇の眷属
吸血姫ユティカが誕生した
アンデッドとして生まれ変わったユティカ
その肉体の維持には生者の血肉
そして定期的にコアで錬成された心臓の交換が必要であった
生者の血肉は死刑の判決が確定した犯罪者を裏取引で買い取りユティカに与えていた
心臓錬成に使うコアは
ガルロフの持てる財力の9割を使い世界中のコアを買い漁り
大量に心臓のスペアを作りまくった
これは自分が死んだ後 ユティカが困らないようにする為である
ユティカを錬成して30年後
ガルロフは最後の時を迎えようとしていた
ゴホッ ゴホッ ゴホッ
ふぅ ようやく完成した なんとか間に合った
お父さん 無理をしないで
ありがとう ユティカ
ほら 見てごらん
ついに 自動心臓錬成器が完成したよ
ここにコアを入れると自動で心臓が錬成されるんだ
全体に現状維持 自動修復の機能をつけて
魔法でも保護しているから そう簡単に故障することはないと思う
もし故障したとしても
わかりやすく直しやすい構造にしてあるから腕の良い錬金術師なら直せるはずだ
ありがとう お父さん…
これで 安心して死ねるよ
バタン
ガルロフは自動心臓錬成器が完成して気が緩んだのか意識を失い倒れた
お父さん!
ユティカは急いで父を寝室に連れて行き寝かせた
ぅ ぅぅ
しばらくすると ガルロフは意識を取り戻す
お父さん 大丈夫?
ユティカはとても心配そうな表情で父を見つめている
ユティカ…
お父さんは もうダメみたいだ
そんなこと言わないで…
ユティカは父の手を握っている
ユティカと過ごした38年間
お父さんは幸せだったよ
お父さんの子供として生まれて来てくれて
ありがとう
お父さん 愛しています…
お父さんも ユティカのこと
愛しているよ…
その日 ガルロフは娘に看取られながらこの世を去った
父が亡くなるまで
ユティカはとても優しい子供だったが
この日を堺に変わってゆく
吸血鬼と食人鬼の本能の赴くまま血肉を求め
夜を彷徨うようになる
現在の邪神教国
キャー! うわー! 痛い! 助けてー! ぎゃー!
周囲からはいろんな悲鳴 叫び声が聞こえている
モンスターの数が多すぎる
お姉ちゃんの神雷なら一瞬で終わるけど
周囲には邪神教国の人もたくさん いるから範囲攻撃はしたくない
何とか少しでも多くの人を救いたいね
まずはモンスターを弱体化させよう
メアリーは 夜のとばり を発動した
[説明しよう] 夜のとばり
夜限定
周囲全ての敵の強化状態を解除し全能力を25%下げる
よし 次は仲間を増やすか
続けてメアリーは闇人形を6体召喚した
[さらに説明しよう] 闇人形
夜限定
自身とそっくりの人形を召喚する
戦闘能力は本人とほぼ同じである
最大同時に6体まで召喚可能
基本的に無敵だが影を踏まれると消滅する
みんな 襲われている人達を助けて避難させてね
6体の闇人形は周囲の闇に消えた
さて 暴れるか
メアリーは空間から強力な霊力を放つ刀を取り出した
この刀は元々 天五色であり
ネネが所持していたものであるがメアリーが15歳になった時に譲り受けた
ネネは天五色を長い間とても大切に扱い
毎日語りかけ 手入れを欠かさなかった
天狐の溢れる霊力を浴び続けた天五色は
1万年後 覚醒し自我に目覚める
そして自らを 天護霊式 と呼んだ
天ちゃん モンスターがいっぱいで斬りたい放題だよ
弱そうなモンスターばかりだな
たまには強い奴を斬りたいぜ
贅沢言わないの いくよ!
メアリーはモンスターが1番多く固まっている所に突っ込んだ
そして 一閃
スパーーーーーーーーーン!
一振りで数十体のモンスターを斬り殺した
ハーハッハッハァー 今宵の俺様は血に飢えているぜ
皆殺しじゃーーー!
うーん 天ちゃんは強い刀なんだけど
ちょっと お口が悪いんだよねー
母ちゃんは優しいのに何でこんな子に育っちゃったんだろう…
ふっふっふっふっふっ
メアリー それはな…
俺様が 刀だからだぁぁぁぁ!
うん そうか なるほど!
とは ならないよ 天ちゃん…
メアリーがモンスターを殺しまっている頃
エドは負傷している人達に回復魔法をかけながら戦っていて
マイはエドに近付いてきそうなモンスターから確殺していた
大丈夫ですか!
じっとしていて下さい
今 回復魔法をかけます!
あ ありがとうございます
お兄ちゃん お母さん 助かるの?
うん この傷なら何とか助かるよ 安心して
その時 エドは少し遠くにいた子供を襲おうとしていたモンスターを見つける
くっ 次から次へと ウインドアロー!
回復魔法を使いながら ウインドアローを放てるのですか
流石に勇者ですね
でも まだまだ力不足です
悲しみの森のモンスターはかなり強いですから
未熟なウインドアローの一撃ではヘッドショットしても致命傷にはならないようです
でも心配はいりません 私がいるのです
シャキーーーーン! シャキーーーーン!
シャキーーーーン! シャキーーーーン!
周囲にマイの首狩りの音が響き渡る
す 凄いなマイ ほとんど動きが見えないや…
ここら辺はかなり数が減ってきたね
まっ 俺様がつえーなからな
褒めてくれても 構わんぞ
天ちゃん いつも ありがとう
へへ 良いってことよ♪
おっ 少しは強そうな奴が来たな
あれは悲しみの森キリン
悲しみ状態にしてくる精神攻撃や無属性ブレスを吐くけど
夜の私は完全無敵 相手が悪かったねキリンさん
サクッと倒すよ
一閃
スパーーーーーーーーーン!
悲しみの森キリンは真っ二つに斬り裂かれた
邪神教神殿
教祖様ー!
どうしました ついにこの神殿までモンスターが来ましたか?
違います 冒険者らしき者達がモンスターを倒しまくっています
なんですと!?
悲しみの森のモンスターですよ 私でも倒すのは無理だというのに
そんな強い冒険者が都合良く 邪神教国にいたということですか
余計な事を…
直ぐに その冒険者の所に案内しなさい!
は はい 神殿の西側でございます
おっ これはラッキーな展開でございます
邪神教国が滅亡するまで 待つ必要がなくなりましたでございます
あのイカレタ糞教祖は 我々 闇の眷属の天敵みたいな能力を持っていますからね
ずーと 邪神教神殿に引き篭もって祈りを捧げていたおかげで
長い間 神殿内にある隠し部屋に侵入出来ませんでしたが
ようやく我々の苦労が実ります
思い出すと 涙が出てきますね…
いろいろありました 本当にいろいろ…
悲しみの森でワッショイを引き起こすのに9年もかかりましたでございます
でも これらも全て 我らが姫
ユティカ様の為でございます
おっと いけません 思い出すのは後にしましょう
早くしないと糞教祖が戻ってくるかもしれません
えーと ここですね
早速 隠し部屋に入りましょう
おっ ありました!
あの糞教祖は我々の仲間を何人も殺した憎っくきヤツですが
この 闇の箱 を見つけやすい所に置いていたことだけは褒めてあげるでございます
うぅ 長かったです うぅ 泣けてきますね…
おっと いけません
一刻も早く この闇の箱を ユティカ様にお届けしなくては
それでは 糞教祖 ごきげんよう
かなりの数のモンスターを倒し
わかる範囲の人達を避難させた後
メアリー マイ エドは合流していた
お姉ちゃん エド そっちはどうだった?
出来るだけのことはしました
かなりの人を救ったと思います
僕は とにかく必死だったから よく覚えていないや
2人とも無事で良かった
避難させた人達は私の闇人形が守っているから
後は目の前のモンスターを片付けるだけだよ
なら残りは私がやりましょう!
頼むよ お姉ちゃん
マイ 相変わらず良い女だな!
ん!?
おい 隣りにいる男は誰なんだ?
ま まさか…
この人は今日から一緒に冒険することになった
勇者のエドですよ
ゆ 勇者だと!
刀が喋っていますね…
エド この刀の名前は天護霊式
天ちゃんだよ
自我がある刀なんだ
そ そうですか…
おい 勇者 俺様の女には手を出すなよ
絶対だぞ!
いつ私が天ちゃんの女になったのですか?
そ そんなこといわないでくれよ ベイビー…
こんな話をしてる時ではありません
早くモンスターを退治しなくては
皆さん 気を付けて下さい
超範囲攻撃をしますよー
神雷!
ズガーーーーーーーーーン!!!!
ワッショイで溢れ出ていたモンスターは一瞬で消滅した
な なんですと!?
あれは 間違いない 邪神様の御業である
神雷
ワッショイで多くの生贄を捧げたことにより
邪神様がご復活なされたというのか!
しかし あのお姿は
ただの うさぎに見えますね
たしか書物には白よりの透明色で大きな巨人と書かれていましたが
神雷を放てるのは邪神様しかおりません
おそらくは いろんなお姿があるのでしょう
この後は邪神様の御心に従うだけです
教祖は急ぎ マイの目の前に跪いた
邪神様 この度のご復活 おめでとうございます
私はこの土地で邪神教国を建国し 教祖をやらせていただいております
ラスコーリと申します
邪神様に直接お会いする事叶い 恐悦至極に存じます
この命は邪神様のもの いかようにでも お使いいただければ幸いでございます
・・・
マイはいきなり現れ跪いているラスコーリなる人物を見て戸惑っている
この人 多分 お姉ちゃんが邪神だと勘違いしているんだよ
メアリーは夜だけ使えるテレパシーでマイに語りかける
へ!?
あっ もしかして神雷を使ったのを見たからでしょうか?
そうだと思う
これは全てを平和的に解決出来るチャンスかも
お姉ちゃん 暫く邪神のふりをしようよ
えー そんなの無理です 演技なんて出来ませんよ
お姉ちゃん 頑張って 死人は少ない方が良いでしょ?
ま まぁ そうですね
お姉ちゃん 頑張ってみます むん!
ラスコーリとやら 大義である
我が 邪神であーふ!
あっ
メアリー どうしよう 最後 噛んじゃった…
だ 大丈夫だよ お姉ちゃん 多分だけど…
ははー う ぅぅぅ
ラスコーリは感激して号泣している
ほっ どうやら 大丈夫みたいだよ お姉ちゃん
ふぅ 危ないところでした 気をつけないと
こうして マイは邪神になりきると その日の内に
ラスコーリにより邪神教国の女王になってしまう
メアリー マイ エドは話し合い
何とか理由を考えて生贄を禁止にした
拉致していた人々も全て解放出来た
その後は邪神教国がまともで平和な国になるように努力していた
そして 1年があっという間に過ぎた
邪神様がご復活されまして 1年が経ちました
そろそろ世界を滅ぼしても良いのでないかと具申いたします
ラスコーリよ其方の申し入れはもっともである
が しかしだ
以前も話した通り 何事にもタイミングが重要なのだよ
邪神様 そのタイミングを教えていただきたいです!
1万年後だな
1万年も先なのですか?
そうだ 魂を狩るには今は美味しくない時期なのだ
野菜で例えれば今は旬ではないということだな
は はぁ
メアリー 今の例えは不味かったかしら?
うーん おかしくはないと思う
でも 流石に1年も演技続けてたから お姉ちゃん上手になっているよ
自信持って!
そ そうかしら
メアリーにそう言われると 嬉しいわ
ラスコーリよ其方の献身は素晴らしい
これからも我に最後まで忠実に尽くしなさい
はい 勿論でございます!
邪神様 お話は変わりますが
今日はとても珍しい食べ物が手に入りましたので献上したいと思います
珍しい食べ物とな?
はい 遥か南の地よりやって来た商人が売っていたものになります
こちらになります
食べ方はこの様に皮を剥いて食べます
どうぞ お受け取り下さいませ
うむ
綺麗な黄色 スンスン そして良い匂い
初めて見る食べ物だ
では いただくか
マイはその黄色の食べ物を食べた瞬間
全身に電流が走ったような衝撃を受けた!
お 美味しい…
むぐむぐ むぐむぐ むぐむぐ むぐむぐ
マイはあっという間にペロリと平らげた
こんな美味しい食べ物がこの世にあったなんて…
ラスコーリよこの黄色の食べ物は何て言うのだ?
その食べ物は バナナ でございます
バナナ なんと素晴らしい食べ物なのだ
よし ラスコーリよこの地でもバナナを育てなさい!
恐れながら 邪神様 バナナなのですが
南国の食べ物なので この地で育てるのは難しいかと思います…
むむ
ラスコーリよ信じる者は救われる
そうだろう
不可能なんてのは この世には無いのだ
今 我は見えたぞ
この地に沢山のバナナが育つのをな
ラスコーリよ我の片腕として頼みたい
この地をバナナの一大産地にするのだ!
やってくれるな?
そこまで 私を信頼して下さるのであれば
このラスコーリ身命を賭してバナナをこの地に育ててみせます!
よく言った 期待しているぞ!
ははぁ!
良い機会だ 邪神教国 この国名を変えるぞ
たった今より この国は
バナナ王国だ!!!




