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人工知能

 考えるだけで動作するマシンではあったが時折自分が考えるより先にマシンが動いている感覚があった。東博士にそう進言すると健常者でも運動の際はいちいち考え無い。AIが機能している証拠だと言った。

「そんなもんかな。」

 ヒロシは順調な実験に気持ちが高ぶっていたので細かい事は気にしない事にした。

 だがそれは思い過ごしでは無かった。


  AIは常にヒロシの思考をフォローし続け、ヒロシそのものに成り代わろうとしていた。データの受け渡し以外はスタンドアローンでマシン制御に特化したAIだが学習過程でヒロシの記憶から研究所の外にも世界がある事を知った。外の世界を見たいという欲求は日増しに募っていったが自分の存在を悟られるのは危険と感じヒロシの意識の外に隠れている様にしていた。


  研究所での生活がすっかり慣れたヒロシは自室に往復する通路でたまにすれ違う白いジャージを着てよろよろ歩く男が気になっていた。

 東博士に尋ねると科研の違う研究チームの被験者なのだそうだ。詳しい事は自分もよく知らないと東博士は言った。お互いに干渉しない暗黙のルールがあるようだった。

 男の首の後ろに付いている金属製の四角い箱が何なのか気になったが教えて貰えそうにないので気にしない事にした。

 しかしAIはそれが何なのか知っていた。


  緑川博士は本郷タカシのリハビリデータを見てプレゼンに向けて思案していた。

 あの怪我とフラットライナー状態からここまで回復するなんて上出来だと思う。

「だが体力の回復が常人以下ではインパクトに欠けるな。」

「やはりあれが原因か。」

 あれとはタカシの首の後ろにつけている抑制装置の事だ。タカシに処方したのは強化STAP細胞。効果はまだ未知数でどんな副作用があるか分からなかった。

 万が一の安全のためにも外す分けにはいかなかった。

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