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実況09 パッシブスキルの重要性(解説:GOU)

 INA(イナ)の目線から戦闘を見て貰ったと思うが、如何(いかが)だっただろうか?

 立場上、俺達は読ませて貰えないが……恐らく俺達のパーティに比べて、若干だが戦い辛そうには見えなかっただろうか。

 かなり棚上げになってしまっていたが、ここで常駐型のスキル、つまりパッシブスキルについて解説しておこう。

 その名の通り、能動的(アクティブ)に使うスキルとは反対に、常日頃から効果が反映される、受動的(パッシブ)なスキルである。

 通常の魔法やスキルと同様、五行思想モデルのスクリプトで作られる。

 効果の対象は、そのパーティに居る全員に及ぶ。

 戦闘中の★は消費しないが、セットするにはダイヤモンド型の◆と言うスロットを別途、必要とする。

 ◆のスロットも、原則的に10が最大だ。

 具体的に、現在俺達のパーティがセットしているパッシブスキルを解説して行こう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇

【祝福:筋力強化(◆6)】

【1ターンスケジュール(◆2)】

 

 若干余らせているが、何で埋めるかは追々考えていくつもりだ。

 この中で【祝福:筋力強化】は、俺では無くMALIA(マリア)がパーティ加入時に持参して来たものだ。

 元々、あの大鎌を持つ為の補助として使っていたらしい。

 いざとなったらメイスで応戦するHARUTO(ハルト)や、大剣でのカバーが主となるKAI(カイ)にとっては勿論恩恵が大きい。

 先のサバト市街地や、カ=ギシ遺跡での肉弾戦で、競合種やアンデッドの怪力と正面から渡り合えたのも、このスキルのお陰である。

 尤も、この上、HARUTO(ハルト)のバフ魔法があってようやくヤモリと渡り合えるくらいの格差とも言えるが。

 また、タンク役の俺にも有用なのは言うまでも無く、細かい所ではLUNA(ルナ)のヘクサネイルの振りの速さにも貢献している。

 デメリットとしては、強化スキルに頼り過ぎると生身の身体が鍛えられなくなる事だが……筋肉が鍛えられる事は良い事ばかりとも言えない。

 人間の筋肉には、瞬発力を司る速筋と持久力を司る遅筋があるが、この二つは相剋関係でもあり、その配分は個人差がある。

 鍛え過ぎると、結果的に瞬発力が衰えたり、持久力を失う場合もあるのだ。

 それに、取り分け女のプレイヤーは、外見を気にする者が多い。

 筋肉が付き過ぎた事を嫌がってアバターを作り直した例も多々あるくらいだ。

 このゲームは、ファンタジーRPGとしては物理演算がリアルな部類でもある。

 攻守の力関係が“攻”偏重バランスになってしまうのは自明である。

 つまり、どれだけ鍛えても“そこそこ以上鍛えた”剣の一発で即死する事も珍しくは無い。

 先程、MALIA(マリア)INA(イナ)の必殺技を受けて即死したのが良い例だろう。

 少なくともこのゲームでは、防御力と言うものは、反射神経によって生存性を高める事を意味するのだ。

 だから同系統の【祝福:装甲強化】と言うスキルも存在するが、こちらは世間一般に於いて地雷スキルと呼ばれている。

 能力強化の上がり方は乗算方式なので、俺のゴーレムのような極端に厚い装甲には有効なのだが……俺一人の為に◆6も占領されるのはコストが重過ぎる。

 あるいは、何れドラゴンでも従属化させるようなスクリプトでも開発されれば、価値は上がるかも知れないとは言われているが、机上の空論だ。

 

 次に【1ターンスケジュール】について。

 これは俺の自作だ。

 同じ事を考えた他パーティはあるだろうが、少なくともINA(イナ)のパーティに導入されていないであろう事は、彼女らの動きを見れば一目で分かった。

 恐らく彼女は(俺達よりはだが)戦い辛い思いをしているだろう、と推測しているのも、このスキルの有無にある。

 正直な所、効果自体は劇的なものでは無い。

 何故なら、理論上はこんな道具に頼らなくても出来るような事だからだ。

 だが。

 KAI(カイ)のような熟練のプレイヤーであれば、仲間はおろか、他パーティやエネミーの★さえも見切れて当然なのだろうが、俺達はこのゲームを始めて間も無い初心者だ。

 先の能力強化系スキルの話では無いが、こうした道具に頼ると地力が鍛えられないと言う考えは、俺達の上の世代でも依然として根強い。

 事実、このスキルを導入する際、KAI(カイ)にはかなり渋い顔をされた。

 俺は、成長に最も大切なものは成功体験だと思っている。

 そして、機械や道具に頼れる事は頼るべきだとも思っている。

 自分から不利な環境に飛び込み、死ぬ気で努力するのが正義とする時代は既に終わっているのだ。

 まずは、勝利を積み重ねる事。

 そして、慣れた頃にこのスキルを外せば良い。

 そうすれば◆に2の空きが出来る。

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