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模擬戦

魔法大学校は都市部にある。ライトやエマが住んでいた田舎とは違うのだ。なぜそんな話を今するのかと言うと、練習場がとっても広いのだ。サッカーグラウンド6面は優に超えるほど大きい。先ほども説明したが、魔法大学校は都市部にあるのだ。どれだけお金がかかっているんだろう、と思ってしまう。昨夜は暗くてここまでの大きさとは思っていなかった。


そんな大きな練習場で、ライト達二学年生は模擬戦を始めようとしている。


ライトは格好の的だった。みんながコイツには勝てる。と、内心思っているようだった。


「何せ、両手盾だからな」

ライトが独り言を言う。


隣でタツノリが

「一番最初に戦うのは俺だからな」

と念押ししてきた。


「分かってるよ。代わりと言ってはなんだが、ボコボコにさせてもらう」

「上等だぜ。盾二つで何が出来るってんだ」


第一試合が始まる。今回は様子見が半数近くいるようだ。タツノリが片手剣で突いてきたが、シールドバッシュで受け流す。タツノリも左手に盾を装備しているので、盾同士の戦いになったが、ライトは利き手の盾で攻撃することが出来る。思い切り叩きつけてやると、盾を投げ出して宙を舞うタツノリの姿があった。ライトの勝利である。


周りの観客はポカンと口を開けていた。まさか盾使いが勝つとは思っていなかったんだろう。


「う、嘘だろ!?もう一回だ!」

自身の負けを認められないタツノリがもう一勝負と迫ってきたのだ。

「良いけど、勝っても負けても、次で終わりな」


第二試合。今度はタツノリは守備的に動いている。盾からの攻めはないと思っているんだろう。しかし残念ながらそんなことは通用しない。

「シールドバッシュ」

タツノリの盾を吹き飛ばしてやった。片手剣一つになったタツノリは、攻めることも守ることも出来ずに両手盾に敗北した。


「凄いな。あの盾使い。」

なんて褒め言葉も周囲から頂いた。


タツノリと二連戦したから、休憩っと。タツノリも休憩している。周囲で模擬戦をしている人達を眺めてみた。そうすると片手剣に盾というのがオーソドックスだと分かった。だが、モーニングスターを使う人もいたし、槍を使う人もいた。案外多様性があって安心した。それにレナ以外にも杖を使う人もいたので、レナは特訓を受けることが出来そうだ。


俺は次も見学にした。タツノリは誰かとバトルするようだ。せっかくなので見てみよう。両手盾に敗北したタツノリは周囲から舐められていた。しかし、試合が始まるとその評価は一変する。タツノリの鋭い突きで構えた盾が弾かれる。相手はお返しとばかりに横薙ぎに片手剣を振るうが、盾でガッチリとガードされてしまう。そこに首もとに片手剣を寸止めして、タツノリの勝利となった。


「どう?一回模擬戦しない?」

槍使いの女性に声をかけられた。


「勿論、オッケーですよ」

と、返事をしてから考える。槍使い相手にどう立ち回るか、どうすれば勝率を上げられるかをだ。無難に近距離戦を挑むことに決めたが、相手がどういう対策をとってくるか見物だ。


ライトにとっては第三試合。槍使いとの勝負だ。試合開始直後ダッシュとジャンプで距離を縮める。槍使いはバックステップで距離をとっていたが、ダッシュとジャンプには意表を突かれたようで、近距離用の攻撃を仕掛けてきた。槍の後ろの部分で何度も突きを入れてきたのだ。だが、俺はお構い無しに前に出る。その方が有利に事を運べるからだ。 そして

「シールドバッシュ」

で、槍を払うと顔面目掛けて盾を突き出す。寸止めして勝負あり、だ。


「うーん、思った以上に強かったな。ありがとうございました。」

「こちらこそありがとうございました」

「僕の名前はサクラ。君の名前は?」

「俺の名前はライトです。よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。もっとフレンドリーに話してくれると嬉しいな」

「そういうことなら、気軽に話すよ。槍を武器に選んだ理由は何?」


ここで次の試合が始まるので、一旦脇に退けてから話を再開する。


「そうだなぁ。僕は遠距離武器こそ最強だと思っていたんだ。それで槍を武器にした。今思えば、何で弓とかじゃなかったんだろうね。ライトこそどうして盾を選んだの?」

「俺は十年位FPSのゲームをやっててさ。そのFPSのゲームは銃をメインに使うんだけど、その中に盾が武器としてあったんだ。これだ!と思って盾でプレイするうちに銃相手に盾で勝てるようになっちゃたんだよね。その延長で今も盾を武器として使ってる」

「へえ、今じゃ銃はゴミ同然だけど、確かにゲームでは流行ってるもんね。十年も盾の経験があるからそんなに強いのか。なんか納得」

「サクラはダンジョンが出来てから槍を使い始めたの?やけに上手かったけど」

「ううん、家実家が道場なんだ。それも槍や杖といった棒術を教える道場。小さい頃から教わってたんだけど、途中でドロップアウトしちゃってさ。こんなことなら、続けておけば良かったよ。後の祭りなんだけどね」

「今、槍使いとして生きてるんだから遅れは十分取り戻せると思うぞ」

「ありがとう。そう言って貰えると気が楽になる」


その後も何人かと戦ったが、ライトは全勝してみせた。

「ライトって本当に凄いんだな」

と、タツノリに言って貰えて満更でもないらいとだった。


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