エマとレナと夕食
夕食を食べながら、四人は話をした。進級したこと、ライトがドラゴンの炎を作り出したこと。エマが氷魔法をいきなり扱ったこと、レナが四属性全てで進級したと見なされたこと。
「レナは凄いな。四属性全てを扱えるんだろう。敵無しじゃないか」
そうライトが言うと、
「まだまだ始まったばかりだから・・・」
と謙虚に振る舞うレナ。
「ドラゴンの炎を作り出すなんて、発想が男子のソレだよね。素晴らしいけど」
素直じゃないエマに
「いきなり氷魔法を使うのは、凄いと思うぞ」
と素直に答えるライト。
両者は素直かどうかは別としてお互いを誉めあっていた。
みんなで年齢を教えあうと、一番若いのが、レナだった。レナは16歳、タツノリが20歳、エマとライトが21歳だった。せっかく進級した仲間なのだから、敬語は無しでフラットに話そうということになった。
「レナは若いし、将来有望だな」
「ちょっと、それどういう意味?」
レナを誉めたら、エマに睨まれてしまった。
「そのままの意味だよ。それにエマも俺も十分若いじゃないか」
「そうね、それなら良いわ」
女性の年齢については気をつけようと思ったライトだった。
夕食も終わり、エマとレナと別れた、ライトとタツノリだった。
「魔法の訓練をするのは良いけどさ、通常武器の練習はしないんだろうか?」
「各自やっておけってことじゃね。だからこそ授業に合間時間があるんだと思うぞ」
「それもそうか。じゃあ寝るまで時間があるから、両手盾の練習でもしてくる」
「今、ライトお前、両手盾って言ったか」
「ああ、そう言ったけど」
「両手盾なんて聞いたことないぞ。防御はともかくとして攻撃はどうするのさ」
タツノリが腹を抱えて笑っている。悔しくなったライトはこういってやった。
「企業秘密だ」
ライトは、両手に盾を持って外に練習に来ていた。するとそこにはエマがいた。
「俺は両手盾の練習に来たんだけど、エマも練習かい?」
「ええ、双剣の練習に来たわ」
「考えることは一緒か、とりあえず練習しよう」
そう言って盾を振るうライト。こんな特殊な装備で練習しているところを、あまり人に見せたくない。理由は一つ。小馬鹿にされるからだ。
「ダブルシールドバッシュ」
両手を前に突き出す格好で、盾を使う。これならハンマーなどの攻撃力の高い、かつ重い一撃も撥ね飛ばすことが出来るだろう。次に練習するのは盾を一つ地面に突き立てて、その後相手の背後に回り込んで、盾で殴るというものだった。これは実践練習が必要だと感じたが、そうそう使うようなものではないだろう、とこの時は考えていた。なぜなら、盾を一時的にしろ一つ手放すことになるからだ。
こうして自主練を終えたライトは、エマのところへ向かった。
「練習の調子はどう?」
「まずまずかな」
エマはやっぱり話しやすい幼馴染みだからというのもあるだろうが、彼女のスッキリとした物言いにも、惹かれていると感じる。