特別進級
夜、特別に進級した二人は二学年生の授業に参加していた。どうやらライトとタツノリの他に進級した者はいないようだった。
「どうやら進級したのは俺達二人だけみたいだな」
「ああ、気を引き締めていこうぜ」
ライトは自分にも、タツノリにも言うように大きい声で言った。
「紹介しよう。進級したライトとタツノリだ。みんな優しくしてあげてくれ」
イチカ先生の声で俺達は立ち上がり、軽く自己紹介した。
「盾使いのライトです。よろしくお願いします」
「片手剣使いのタツノリですよろしくお願いします」
盾使いと言ったのが気にかかるのか、少し周囲がざわつく。
「さて、自己紹介も終わったし、授業を始めるよ」
授業の内容は、10メートル離れた的に炎を当てることだった。球体の炎を作り、当てることに集中するクラスメート達。そんな中で、ドラゴンの形を模した炎で的を一発で射ぬいたのがライトだった。
「合格です、ライト。球体の炎でも当てることが出来ますか?」
イチカ先生の言葉に、今度は球体の炎で挑んでみる。見事に的に炎が着弾する。
「オーケー、問題ないようですね。ライトは自主練をしていて下さい」
ドラゴンの炎を使って遊んでいると、タツノリに声をかけられる。
「相変わらずすげーな 、お前。的に当てるのにコツとかあるの?」
「ドラゴン型の炎で当てる時は、ドラゴンの動きを妨げないようにしている。球体の炎はボール投げを意識して当ててるよ」
「もし成功したら、今のコツについて他のみんなにも教えて良いか?勿論ライトが教えてくれたことを公言するからさ」
「別に良いぞ」
「サンキュー」
そう言ってタツノリは去っていった。コツを教えて良かったのか、イチカ先生の手前迷ったが、もう言ってしまったので、どうにでもなれという気分だった。
両手からドラゴンの炎を出して、ツイストしているところにイチカ先生がやってきて
「今日の授業は終わりだ」
と告げた。
部屋の荷物をタツノリと一緒に、二学年生の寮に移してから、夕食を取った。夕食時は、学年ごとで他属性の寮とも一緒だった。するとそこにはエマがいた。
「おーいエマ。進級したのか?」
「ええ、貴方も?ライト」
「勿論だ」
「知り合いか、ライト?」
タツノリが会話に入ってきた。
「ああ、幼馴染みのエマだ」
「ライトと同室のタツノリです。よろしく」
「ライトと幼馴染みのエマです。よろしく」
と二人ともよそ行きの声で話している。
「まあまあ、そんな畏まらなくても」
「私もライトとタツノリさんに紹介したい人がいるの」
エマの後ろから出てきたのは小さな女の子だった。
「レナです。よろしく」
「レナは四属性使える、天才よ」
「エマちゃん、天才なんてことないから」
「いやぁ、天才ですよ。それは」
タツノリも天才だと認めている。
「とりあえず四人で夕食にしようぜ」
ライトの一言で夕食を食べる。