魔法大学校
朝目覚めると、体に違和感を覚えた。得体のしれない力が体の中で、溢れ返っている気がしたのだ。四大元素に目覚めたのだ、というのを暗に感じた。
そして管理センターへ行くと、すぐに魔法大学校に入学することが決まった。しかも、魔法大学校へ入学するのは俺だけではない。なんと、エマも入学することになっていたのだ。
魔法大学校にて、属性の適正を計測される。俺は火、エマは水に適正があるようだ。稀にだが、二属性、三属性、なんと四属性の適正がある人もいるようだ。
ということで、属性別に授業が行われるようだ。多数の属性に適正があるものは自由に所属する寮を決めて良いらしい。当然火の適正があるライトと水の適正があるエマはそれぞれ別の寮だ。
「火の属性か」
ライトの頭の中では、炎を纏うシールド姿の自分がいた。これは攻撃力上昇だなと感じた。
「ライト、頑張って」
「エマもな、授業は違ってもお互い頑張ろうぜ」
授業は指先から火を出すことから始まった。右手の人差し指から火を出すようだ。
「火を出すことをイメージして!」
火の属性の教授、イチカ先生からアドバイスが出る。目をつぶって火を出すことをイメージしていると、なぜだか周りがやかましい。
「ライト、火の勢いを弱めなさい」
イチカ先生の声に目を開けると、目の前が炎で一杯になっていた。慌てて、マッチで擦った程度の火に変えた。
「ライト合格だ。こっちに来なさい」
「はい、イチカ先生」
「凄い炎だったな。しかし加減を覚えないと使いこなすことは出来ないぞ。目を開けて火を出す訓練をしなさい」
「はい、分かりました」
イチカ先生は30代くらいだろうか?教授にしてはかなり若く見える。目を開けて火を出す訓練を行うと、あっさりと出来てしまった。他のみんなは火を出すことすら出来ていないものも多い。ここでライトは面白い遊びを思い付いた。今までは右手の人差し指しか使っていなかったが、今度は両手の指を使って火の訓練をするのだ。両手を広げて、指一本一本に集中しながら火を出す。やがて一本、二本と火を灯していき、十本全ての指から、火を出すことに成功した。それだけでなく、火の大きさを自在に操って見せたのだ。
「これは、なかなかだな」
イチカ先生が声をかけてくる。
「あっ、イチカ先生」
「ライトは進級だな。二学年生と一緒に学んでくれ。といっても二学年生を担当するのも私だから安心して良いぞ」
「分かりました。よろしくお願いします」
「では先に寮に戻って移動する準備をしていてくれ」
ライトは寮に戻って、移動の準備をする。まさかいきなり進級するとは思わなかった。次第に嬉しさが増してくる。
「やっほー、俺は特別に進級だー!」
同室の者が帰ってきたので、静かにする。すると、
「俺も進級したぜ!」
と話しかけてきた。
「えっ、マジで!?最高じゃん」
ハイタッチし合う二人。
「他にも進級した人いるの?っていうか自己紹介がまだだったな、ライトだ」
「いや、他に進級した人がいるのかは分からない。タツノリだ。よろしく」
結局その日は、誰が進級したのか分からずに終わった。