ダンジョン探索
そんなこんなでライトはダンジョンに稼ぎに来ていた。家から一番近いダンジョンだ。そこはスライムダンジョンと呼ばれていた。モンスターのほとんどがスライムだからだ。
出てくるモンスターのほとんどがスライムだと舐めきって、一気にお宝を取りに行こうとすると酷い目に合う。十階層を越えた所で罠とリザードマンのオンパレードだからだ。
そんな情報を知っていたライトは低階層でスライムを相手に戦っていた。スライムの動きは非常に単純で壁に着くまで、真っ直ぐ進むというものだった。そのため横から、盾で殴ってやれば攻撃をくらうことなく一撃で倒せる。もっともスライムにも種類があって、肥大化したものや、進化して薄い水色でないものは、一撃とはいかない場合もある。そういうレア個体を倒すのが楽しいのだ。
ここでスライムの進化個体グリーンスライムが現れた。グリーンと言いつつも、うす緑なのがなんともスライムらしい。
「セイッ」
と言いながら、グリーンスライムを一撃で葬る。スライムダンジョンを九回層まで下りていったが、グリーンスライム18匹、肥大化したスライム5匹、オレンジスライム4匹を倒したところで引き上げることにした。
獲得した金額は14.5シルバーだった。普通のスライムからはお金はドロップしない。ちなみにこの世界では、シルバー、ゴールド、プラチナの順で金額の単位が大きくなっていく。円やドル、ユーロといった単位は廃れつつあった。
50シルバーあれば、宿に泊まれるので、さっき獲得した金額は大した額ではない。しかし、安全面を考えると十分なダンジョンだと言える。
コツコツ貯めたお金で頭装備を買う。今回は鉄装備にしてみた。
「はいよ、200シルバーね」
鉄の頭装備、これで上からの攻撃は怖くない。前や後ろからの攻撃には、盾があるから大丈夫。使っている盾はラウンドシールドだ。体を守るために、少々大きく作られているが、取り回しは思った以上に良い。
明日はスライムダンジョンの深層へ行くつもりだ。こんな貧弱な装備でと思われるかもしれないが、安全靴も履いていくし、どうにかなるだろう。
帰り道に幼馴染みのエマに会う。
「調子はどう?」
「まあ、ぼちぼちかなー?ライトはどうなの?」
「明日スライムダンジョンの深層に潜ってみるつもりなんだ」
「へー、遂にかぁ。とりあえず事故らないようにおまじないしてあげる。事故りませんように!」
エマのおかげで、ぐっと気持ちが楽になる。
「んじゃ、またね」
「おう、またな」
明日に備えて、今日は早く寝ることにした。