赤ワインの詩〜シリアスを添えて〜
口つけて
ゴクリ
ゴクリ
溢れあふれて
顎を伝って
首筋までも
赤く染めてく
空の瓶を
投げ捨てて
次の瓶に手を伸ばす
酒瓶煽って
なみなみ
口に運ぶだけ
フルーティで
飲みやすい
コレじゃない
拭った腕も
赤く染められ
次の瓶に
手を伸ばす
香りは近いが
何か足りない
コレじゃない
次は何?
芳醇な香り
纏っているが
燻され 樽が
スモーキー
これだ
彼がくれた
赤ワイン
涙を流し
縋りつく
遥か前に
店で飲んで
ぶっきらぼうで
受け取って
彼が居なくなって
蓋を開けるとは
「美味しかったわ」の
ひと言に
「また飲もう」
と言ったのに
この嘘吐きと
罵り言葉を
赤いワインと
呑み込んだ
「一緒に」
とは言われなかった
何て酷い男だろう
それでも
嫌いになれない
我が身を呪う
来世で逢ったら
次は私が
お返しに
フルボディで
美味しいのでも
買ってあげるわ
ひとりやけ酒
煽った酒瓶
空になって
後に残るは
砕け飛び散り
キラキラ光る
増えるばかりの
ガラスと涙
彼が一緒だから
美味しく感じた
もう何も感じない
次の酒瓶 手を伸ばし
浴びる様に
飲み続けては
傷だらけで
溺れて行った
※フルボディのワイン
芳醇で濃厚でずしりとした『重い』ワイン。
メモ:皐月