『絶滅危惧動作図鑑』――これ、年がばれるよね?
『絶滅危惧動作図鑑』
藪本晶子/著
詳伝社/発行 (2021.10出版)
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図鑑、とか、辞典とかタイトルにあると、とりあえず気になります。
パラパラ捲ってみてしまいます。
こちらの本もそうして手にした一冊です。
著者の藪本晶子さんは1994年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
巻末のみうらじゅんさんとの対談によると、学部時代の課題として作成されたものが元となっているそうです。そこにさらに新動作を足して収録されたのが本書。
既になくなってしまった動作、あるいは今まさになくなりそうな動作、さらにはこれからなくなるであろう動作を集めたものです。
その動作を行うときに必要なものは描かれず、まさに「動作」だけ抜き出して描写されたもの。
おそらく昭和から平成くらいによく行われた動作でしょう。若い著者が実際に見たことがないものも含まれています。いろいろなところを取材したり、年上の方にお話を聞いたのでしょうね。
レベル5~0に分けて、レベル5が失われた過去にあった動作、レベル0が現在はあるけれどいつかなくなるであろう動作、となっています。時代としてはだんだん新しくなる作り。
三十代以上の方は「懐かしい」と感じ、二十代以下の方は「知らないな~」と思うような動作たち。
本自体は三十分もあれば充分読み切れる分量ですが、個人で読まれるよりも、ぜひ上の世代の方とわいわい言いながら読まれると楽しいと思います。
私は還暦の上司と見ながら盛り上がりました。
余談ですが。この上司は田中美佐子似のスラッとした美人で、やりたいといって出した企画はほとんど「ダメ」とは言わない人で自由に仕事をさせてくれて、何かあったときには責任を取ってくれ、気さくに話しかけてくれていつも朗らか、という、「そんな人本当にいるの?」という絵に描いたような素敵上司です。とにかく本が好きな人で、何かと言えば私に「おすすめの本ない?」と尋ねてくれて、最近読んだ本の感想も教えてくれます。仕事も家庭も完璧なのに、いつ本読んでるんだ? と恐ろしくもなります。今年定年退職してしまい、役職から離れてしまうので来年度以降が大変気が重いのです。こんな素敵上司、滅多にいない。来年度からどうしたらいいの。助けて(余談終了)。
その上司と大変盛り上がりました。
やはり、昔の動作を実際に知っている人と話した方が面白いですね。
「チャンネルを回す」とか、「テレビをたたく」とか。
「ああ!」ってなった人。はい、年齢がばれますよー。気をつけて!
そっか、これ、もうないんだな、そういえば、という気づきにもなりますよ。
気づいたところでまあ、特に困ることもありませんが。
ちょっと懐かしくなったり、物寂しくなったりしますね。
こういう、細かくて変わったところに着目する人、好きです。
後世に特に役立たないかもしれませんが、関係ありません。今、楽しければそれで良くないですか?
親御さん、年上の上司など、最近話題がないなあ、とお困り気味の方へ。こんな本もありますよ、どうですか? という一冊でした。
もちろん、ひとりで楽しむのもありです!