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【YYY】かつて勇者だったモノ

コミカライズ3巻&小説4巻発売の記念エピソードになります。

番外編なので気軽に読んでください。

時系列的には遠い過去の話ですが、WEB版のストーリーとは分岐した書籍版の方での要素が強めです。

書籍版ルートで、今後に影響していくお話になります。


そう、なんと4巻の結末はWEB版と分岐するのです(`・ω・´)!!

分岐、するのです!!(二回目)


ご興味のある方はぜひ、書籍版の転生悪魔もお楽しみください( ・`д・´)




 この世界には古今東西、語り継がれる物語がある。


 ある時、竜人族の始祖とも言われた勇敢な男が居た。

 彼は当時の人類に比べてあまりにも強大な力を持つ、魔物という存在から人類を救った。

 魔法神オルデミルから授かった魔法を武器に土地を開墾し、国を興し、そして人類繁栄のいしずえとなったのだ。

 その人類最古の国のことを、昨今では魔法大国ルーランスと呼ぶ。


 そしてまたある時には疫病から人々を救う救世主が現れ、またある時には人の住めぬ大地に恵みをもたらす救世主が現れた。

 その時代の人類に窮地が訪れ、人の力ではどうにもならぬ災害に対して、まるで見計らったかのごとく救世主達は必ず現れたのだ。


 故に彼らは伝説となる。

 そしていつしか。


 人々は、そんな心優しき偉大な救世主達のことを、畏怖と敬意を込めて……。

 「勇者」、……と呼んだのであった。





 そうして人々を救い続けた勇者の時代が永らく続いた、ある時。

 とある下級悪魔に育てられた勇者アルスの生きた現代では、もっとも有名な偉人。


 カラミエラ教国の開祖にして、伝説的な偉業を成し遂げる大英雄。

 一千年前の時代を代表する当時最強の男。

 魔王討伐を成し遂げる大勇者が生まれたのであった。


 その時代は過酷であり、悲惨であり、あまりにもむごかった。

 なにせ魔界の魔王が人間大陸に軍を以て押し寄せ、世界を支配しようともくろむ闇の時代だったのだから。

 魔族は強く、人では到底太刀打ちできない。

 もっとも弱いとされる下級魔族一体に対し、人間の中でもエリートである戦士や魔法使いをパーティ単位で当てなければ勝負にならないほどの、大戦力であったからだ。


 当然、神々はこの状況を憂いた。

 このままでは人の文明が終わってしまうと。

 かつてない危機に対し、懸念を抱いたのだ。


 だからこの時も、世界は救世主・・・を望んだ。

 現れたのは、ご存じの通りこの状況を覆し得る最強の一手。

 そう、伝説の勇者「■■■」である。


 「■■■」は強かった。

 それはもう本当に強かった。


 魔族の大軍勢を相手に一歩も引かず、獅子奮迅。

 剣神からもたらされた神剣を振るえば、一騎当千。

 いつの間にか仲間もできて、万夫不当。

 その旅路は人々の心に希望を灯し、最後には魔王を討つ天下無敵の大英雄として世界を救ったのだ。


 「■■■」はやり遂げたと思った。

 艱難辛苦の末に世界には平和がもたらされたのだから。


 もう、人々が魔族に脅かされることもない。

 二度とこんな悲劇は起こらない。


 そう、思ったのだ────。


 ────この時は。


 現実は非情である。

 彼は確かに大英雄であり救世主ではあったが、決して全知全能ではなかった。

 だからだろうか。

 このような結末もまた起こり得るのだ。


 彼の死後一千年後に再び魔族の大侵攻が起きることも。

 平和を享受できたはずの一千年の間に、人々がかつての悲劇を忘れて腐り始めることも。

 そして何より、大勇者「■■■」の成した功績と尊厳が踏みにじられることになることも……。


 当然、起こり得てしまうのだ。


 故に、彼は呪った。

 世界を呪ったのだ。


 かつて勇者・・だった「■■■」の成れの果て。

 その歴史が、闇の中で僅かに蠢いた。



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【発売日】

3月25日

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【表紙】

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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