表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/163

【124】最高の助っ人



 ドゴン、という音と共に空から降ってきた巨漢の戦士。

 勇者の師匠にして心の支えでもある男。


 その名は────。


「ガ、ガイウ……」

「あ~! ガイウスなのよね~~!」


 超戦士ガイウス、だったんだけど……。

 おいちょっとチビスケ、空気読め。


 そこはアルスが言う台詞だろうが。

 せっかく用意した感動のシーンが台無しじゃないか、まったく。


 と、いうわけでどうも~、カキューさんです。

 いやはや、はじまりましたね、熱い王道展開!


 よくよく空を見上げればガイウスを乗せて来た火竜ボールスが旋回しているが、かなり上空から俺が放り投げたので皇都の人々から属性竜であるとは認識されていないようだった。


 ちなみに、ちゃんと重力魔法で落下速度を調整しつつ放り投げたからガイウスのやつは無傷。

 いくらなんでもこんな上空から落下したらタダでは済まんからな、そこらへんはしっかり対策済みだ。


 それはそれとして、なぜこのタイミングで旅に出たガイウスをスカウトしてきたかについてだが、それには深いようでいて結構浅いワケがある。

 まあつまり、なんだ。

 暗黒騎士ジョウキューの事情を知るあいつをゲストとして新メンバーに沿えることで、アルスとその仲間達が俺や魔王の用意したイベントをちゃんと攻略してくれることを期待したのだ。


 案内人がいないと、怒りに狂ったアルスはなにをするかわかったものじゃないからな。

 我が息子ながら、今は未熟でもその潜在能力は俺すらも超え得るものを秘めている。

 そんな成長の天才が怒りに任せて暴れ回れば、よからぬ悲劇を起こしかねない。


 よって、アマンダさんと旅に出ていたガイウスを何とか説得し、こうして手伝いに回ってもらった次第である。


「ど、どうしてガイウスがここに……」

「なぁに、ちょっとばかしご主人に声をかけられてな。ま、気にすんな」


 気にすんなとは言っているが、正直な話、俺としてもガイウスには感謝をしている。

 なにせこいつは旅立ったあとアマンダさんと南大陸のとある都市に一軒家を建て、彼女との間に子供までこさえているのだ。


 つまり夫婦になったわけだ。


 まだアマンダさんは妊娠初期の段階ではあるが、旅を続けるには支障がでるということで安静にしているらしい。

 俺はそんな新婚アツアツ夫婦の大事な時間を使ってもらってまで協力してもらっているのである。


 ガイウスがいくら元部下だったとはいえ、これで感謝しないはずがない。


 もっとも、アルスには子供が生まれるまで内緒にしておいて欲しいと頼まれているので、他言は無用だ。

 もう一つ条件として、ガイウスが留守にする間は俺の分身であるミニカキューが陰ながら護衛している。


 これも当然だ。

 女性がもっともデリケートになる時期にこの男の力を借りるのだ。

 この俺が責任を持って、傷一つ負わさずに守り切ることを誓っている。


 もしなにかトラブルがあり、アマンダさんを傷つけるような某かが近づこうものならば、魔族だろうが貴族だろうがなんだろうがあの世行きにさせてもらう。

 これは約束けいやくを交わした悪魔としての信用も含まれているしな。

 絶対に違えることはない。


 余談ではあるが、エルザと俺の間に子供はまだできていない。

 俺から毎日のように搾り取っているエルザは不思議そうにしていたが、まあ、人間じゃないからこれはしょうがないな。


 エルザがどうしてもと望むのであれば不可能ではないが、それもこれもアルスをちゃんと育て上げてからだろう。

 俺も彼女もアルスのことを本当の息子だと思っているし、これからもそうだ。


 無責任なことはしたくない。


 それに長命種であるダークエルフと、寿命が存在しない悪魔のことだ。

 時間なら今後いくらでもあるだろう。


「ガイウスさんお久しぶりです。しかし、今回はまたすごい場所から登場しましたね。本来ならばこの国の近衛騎士として、お嬢様の私室に無断で立ち入ったあなたを拘束しなければならないところですが……」

「お? やるか剣聖。最近は強敵とも戦えずに体がなまってるんだ。少し手ほどきしてやろうか」


 おっ?

 おっ?

 やるのか?


 ……いや、違うな。

 上空からデビルアイで心の動きを覗いてみたが、エイン君に闘志も殺意も感じられない。

 おそらくガイウスを見逃すために、詭弁でも講じるつもりだろう。


「……いえ、やめておきますよ。なにせ今は非常事態。暗黒騎士の出現に備えなければならないときに、これ以上の消耗は避けたいところです。副団長の権限を以て、あなたをたったいまここで招待した、ということに致しましょう」


 と、いうことらしい。

 いやあ、男前だね。

 さすが息子の親友、そうこなくてはな。


 イーシャちゃんもエイン君の意見に不服は無いようで、しきりに頷いている。

 理解のある子供達でよかったよ。

 五歳年上のエイン君はともかく、イーシャちゃんなんてまだ十四歳だ。


 よくこの歳で道理をわきまえているな。

 聖女の資質を持っているとはいえ、あっぱれである。


「あたちは最初から援軍が来るとおもっていたの。このまま勇者が突撃したら、きっと全滅していたような気がするもの。これで流れが変わったって、エリートな直感が告げているのよね~」


 ほめてもいいのよ?

 っぽい雰囲気を出してガイウスに頭を突き出すチビスケ。


 こ、こいつ、誰に媚びを売ったらなでなでしてもらえるか理解してやがる!

 相変わらず凄まじい直感だ。

 ある意味でチビスケがこの中で一番厄介まである。


 主に、俺と魔王のおっさんグループで計算しているイベントのルートに、不確定要素を持ち込んでしまうのではないか、という点においてだが。


 案の定ガイウスは気前よくチビスケの頭を撫でているし、完全にメルメルの思うつぼだし、やるなあ……。


 あっ!

 あいついま誰も見ていない隙を狙って、作戦通り、みたいな顔で笑いやがった!

 したたか過ぎるだろう!


 チビスケ、恐ろしいやつ!




転生悪魔1巻発売まで、あと5日!


そしてついに、特設サイトが公開されたよ!

【特設サイトURL】

https://over-lap.co.jp/narou/824001887/


ちなみに、各予約サイトによってもらえる特典が変わります。

今回用意した予約特典のSSは6本。


★OVERLAP STORE

・A4書き下ろしSSペーパー

・「二人の関係」


★全国の特約店様

・A4書き下ろしSSペーパー

・「商人の過去」


★アニメイト様

・B6書き下ろしSS付き4Pリーフレット

・「思い出の一枚」


★とらのあな様

・はがきサイズ書き下ろしSS付きイラストカード

・「ボールスの野性」


★メロンブックス様

・文庫サイズ書き下ろし4Pリーフレット

・「アルスのカルチャーショク」


★ゲーマーズ様

・A4書き下ろしSSペーパー

・「エルザの日記」



【予約情報を紹介しているURL】

http://blog.over-lap.co.jp/tokuten_tenseiakuma1/



となっております!!

お見逃しなく!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >もしなにかトラブルがあり、アマンダさんを傷つけるような某かが〜 『某か』は主に金銭に関して使う漢字です。主になので間違いとは言いませんが人に使うなら無難に『何者か』がいいかと思いま…
[一言] メルメルはある意味最強なのでは?実際人脈は化物みたいになってるし
[一言] 幸せの絶頂期と言っても良い時期に ガイウス優しいな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ