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再転の姫君  作者: 須磨彰
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チャプター75

「最近、アレが来ないの・・・」






冬休みの間心友たちと遊んだり、部活に行ったりと結構忙しく過ごしていた俺やったんやけど、三学期が始まって秋の様子がおかしいことに気がついたんや。元旦にみんなで初もうでに行った時は何も変わった様子なんてあらへんかっのに、どうも最近秋の様子がおかしい。何でもない時に俺の側によって来たり、優花ちゃんたちに何かを隠してとるみたいや。

「秋、今日は部活休むか?なんや最近様子へんやろ?体の調子でもおかしいんやないか?」

「そんなことないよ。ただ、ちょっと最近気になってることがあってね。竜には内緒つくらないって約束したし、後できちんと話すね。」

「ん?今やとまずい話ってことか?」

「う、うん。ちょっとね。」

そう言いながらも、秋は俺の側を離れようとはしいひんから、よっぽどの理由があるんやろう。今は朝練の時間やから、この後二人きりになるのはお昼の時間までまたないかん。今日は冬休みに描いた絵のことでミーちゃんが来とるから、先に教室にいくらしい。

秋のことばかり考えていせいか、朝の練習にはあまり力が入らへんかったけど、普段から頑張っとるから一日くらい身の入らない練習をしとっても誰からも怒られたりはしいひんかったけど、様子がおかしいのはバレとったらしい。

「上田、どうしたんだ?今日はやけにシュート外すな。」

「すみません。キャプテン、ちょっと考え事してました。」

「まぁ、上田だって人間だから、調子の悪い日くらいあるだろうけど、秋ちゃんが一緒に教室に行ってくれないくらいで調子を落としてたらいけないぞ。」

「ちゃいますって。秋のことで心配があるのは事実ですが、大したことやないんで心配線といてください。何かあったら先輩たちにも相談します。」

「なに?秋ちゃんに何かあったのか?」

「いえ、ほんまにたいしたことやないと思うんで心配せんといてください。最近は不幸も減ってきて、秋の周りの人も安心して接してるんでたぶんなんもないと思います。」

「そうか、一時期はどうなることかと気をもんだものだが、最近不幸が減ってきてるんだね。だったらなんでそんな顔をしてるんだ?お前がしっかりしてやらなきゃ秋ちゃんが不安がるぞ。」

この先輩は基本的に良い人だし、俺も尊敬しとるんやけど、言葉の端々に秋のことを狙ってるんが伝わってくるのが困る。今も俺を励ましてくれてるんは本心なんやろうけど、その立場に自分がいられへんのを歯がゆく思ってる節がある。

「大丈夫です。相談したいことがあるから、またあとでって言われてるだけなんで。」

「そ、そうか。まぁきちんと話を聞いてやるんだぞ。」

ほら、今もなんや残念そうや。前に俺と秋が別れたって噂が立った時に河野先輩と一緒になって一番に告白したことから、秋のことを狙っとるのが解る。まぁ、河野先輩とちゃって表にださへんだけ大人なんかもしれへんけどな。

「本当に大きなことで俺らの手にあまるようならまた相談させてもらいます。」

「ああ、俺たちは同じバスケ部の仲間なんだ。遠慮せずに相談して来い。上田は特に来シーズンからはレギュラーになるんだろうから、部活以外に心配ごとを増やして集中できない状況にならないように、きちんと悩みは解決するんだぞ。」

秋を狙う男やっていうのに、こんなに良い人だと嫌いになりきれへんから困るわ。秋を好きになる人ってどうしてこんなに良い人ばっかなんやろ。というか、どうしようもない奴で俺が間に入ったりして退けた奴以外、秋と接するうちにどんどん良い人になってるよな。こうして俺は秋を独占できんくなってくんや・・・

「大丈夫か?」

「はい。川本キャプテンがほんまに良い先輩やってのを再確認させてもろてました。」

「おだてても何もでないぞ。まぁ、上田には期待しているから、頑張ってくれ、体調が悪いなら今すぐに休めと言うところだが、放課後の部活までに解決しそうならきちんと参加するんだぞ?」

「はい。参加できるとおもいます。」

秋の話次第ではあるが、おそらく問題ないだろうと思い俺は参加する意思をつたえとく。

朝の練習が終わり、俺は敦と一緒に教室へ向かう。俺の教室は体育館からだと隣とはいえ秋のクラスよりも近いところだが、敦もいることだし、少しだけ秋の様子が気になったので覗いていく。

ガラガラ

「おはよ。」

敦は当然自分のクラスやからすんなり中に入ってくんやけど、俺は違うクラスやから中には入らへん。なんとなくやねんけど、隣とはいえ自分とは違うクラスに入るんは違和感がある。友達も何人かおるんやけど、教室とちゅうんはそのクラスのメンバーが集まる場所やから、よそ者である俺が入るんは場違いな気がする。

「え?最近アレが来ないの?」

「ちょ、優花、声が大きいよ。」

「でも、ツン先生・・・」

「秋も大人になったから、来ないんじゃない?」

「いやいや、大人になったら普通は来るんじゃない?それがこないってことは、何かあるんじゃ?」

「そっか、クーちゃんは大人になって、さらにその第一線を越えちゃったのか・・・」

俺は廊下で秋たちの話ているのを聞いて絶句した。おそらく秋が朝相談したいと言っていたのはあの会話のことなんだろう。俺は自分のクラスに帰ると、先ほどの会話の内容をもう一度考えなおした。

『女の子が大人になるときて、さらにもう一段階大人になると来ないもの・・・』

和美ちゃんと明実ちゃんの言葉が俺の胸に突きささる。ひょっとしてアレってアレだよな?中学に入る前に秋が言っていた。最初のうちは俺も良く解らなかったが、俺も高校生だ。今はきちんと意味が解っている。

「どうしたの竜くん?」

「いや、何でもねぇ。」

「そんな何でもないって顔じゃないわよ?」

「ええからほっといてくれる?今俺は考え事しとるんやから。」

教室に入って席に着くと、いつもの女の子から声をかけられる。こいつは俺が秋とつきあっとるんを良く思ってないらしい。何かある度に俺に付きまとって秋と別れろって言ってくるから俺はあんまり好きやない。

「またあの彼女のこと?」

「そうや。お前には関係あらへんから引っ込んどってくれるか?」

「そんな竜くんに心配ばかりかける彼女別れちゃえば良いのに。」

「ええかげん聞きあきたわ。俺と秋は別れへんから、次その言葉言ったら無視するって言うたよな?」

「解ったわよ。次からは言わないわよ。」

自分でも失言に気づいたらしく今回は引き下がったが、このやりとりももう何度目やという状況やからまた同じことが繰り返されるんやろう。面倒な奴が引き下がったことで、気心の知れた友人と話すチャンスが訪れたと思って周囲の席を見渡すやけど、友達に話しかける前にチャイムが鳴って先生が入ってきてまった。相談するのは次の休み時間にしよ。

秋の周りもたくさんの友達が集まるけど、俺の周りにだってそれなりに友人はできとる。秋みたいに不幸の問題が絡まってへん分浅く広くって感じなんはしゃあないけど、それでも高校に入ってそれなりに自分の胸の内を話せる友達もできた。今話してるんはそんな友達の一人や。

「どうおもう?やっぱ正月に酒飲んだ時やと俺はおもうんて。」

「お前が酒で記憶飛んでるってのが想像できないし、そん時の記憶ははっきりしてるんだろ?」

「ああ、寝る前まではあるんや。せやけど、さっきも言った通り寝て起きたらみんなで床で転がってた状態やで?しかも、隣には秋がおったからな。」

「うらやましいぜ。あの蟹津秋ちゃんだろ?噂のつんちゃんとそんな状況なってみたいぜ。」

「あほう。ちゃんと話聞いてたんか?二人ともきちんと服は着とったちゅうの。」

「だったら何も無かったんだろ?火の無いところに煙は立たぬ。うらやましすぎるぜ。」

「だぁかぁらぁ。何度も言うけど、俺は火も煙も立てた覚えはないっちゅうの。」

「だったらお前の聞き間違いか何かだろ。そんなもん本人に確かめるしかないやないか。」

「それはそうやねんけど・・・」

結局友達に相談してもなんの解決にもならなかった。こいつには秋の特殊な不幸体質のことは話していないので、というか勝手に話すこともできないので当然なのだが、噂程度の秋の情報ではなんの解決にもならないらしい。むしろ変な噂が立たないように今の話は無かったことにしてもらって、それで終わりそうやった。

「まぁ、お前の良い分も確かやな。きちんと話聞いてみるしかなさそうやな。この話は誰にも言わんといてな。そしたら、後できちんとどうなったか話たるからさ。」

「ああ、しかし、俺も彼女さえいなきゃファンクラブに入りたいくらいの美女を彼女にしてるのに、何もないなんてお前どうなってるんだ?」

「お前なぁ。お前に彼女おらんかったら、俺はここまで仲ようなってへんかったかもしれへんぞ?とにかく、俺と秋の関係は複雑やねんて、まぁ秋以外の女に興味もあらへんから、別れることもないんやけどな。」

「まぁあれだけの女は滅多にいないからな。巨乳でロリ顔で頭が良くてスポーツ万能で、性格も良いってどれだけ完璧なんだよ。」

「お前の彼女も結構良い女なんだろ?」

「まぁな。聞いてくれるか?この前な・・・」

こいつは秋のこと以上に自分の彼女にゾッコンだ。こうしてこいつの彼女自慢を聞くのも何度目かになるのだが、その旅に俺は最後まで聞かされる。こいついわく俺以外の人間に話すと妬まれたり僻まれたりするのだが、俺は秋がいるので最後まで聞いてくれる唯一の人間なのだとか。目新しい話はほんの少しであとは前にも聞いた話だったりするのだが、ここでこいつの話の腰を折るのは得策じゃないことを経験で知っている。秋の話をした時はトイレで誰もいないことを確認して話したのだが、このままこいつとこの話をしながら教室に戻れば周りはずっとこいつが惚気ていたのだと勝手に勘違いしてくれるので、こうして会話を続けるのが一番なのだ。

キーンコーン

「チャイムなってもたぞ。またあとで話きいたるから、席に戻れ、昼はまた体育館に行くから、また今度な。」

「了解。今度俺も一緒に体育館行っても良いか?」

「ああ、じゃあそこらへんのことは一緒に食べる敦たちと相談するけど、たぶん大丈夫やとおもうで。」

「あいよ。」

お昼を屋上や美術室で食べていることはこいつは知っている。あえて体育館と言ってくれているのは俺と秋の事情を少なからず理解してくれているからだ。秋の方はファンクラブがあるし、俺の方は朝声をかけてきた苦手な女を撒いていることを解ってくれているのだ。こいつは来年理系を選択すると言っていたし、来年も同じクラスになる確率が高いから、今年のうちに秋たちと仲良くなっておいても問題ないだろう。

午前中やはり秋のことが気になってあまり身が入っていない授業を受け終えると、俺は体育館へと移動を始める。休み時間のうちにメールで合流場所を聞いてあったので、問題なく屋上へとたどり着く。俺のクラスの友達も誰にも疑われることなく到着した様子で、自己紹介なんかしてる。

「遅くなったな。秋はまだか?」

「クーちゃんももうすぐ着くよ。今日は木登りするのが嫌だったから、ちょっと撒くのに時間がかかるみたい。」

木登りが嫌って、やっぱり朝のアレはアレだったのか?確かに木登りをするのは問題があるよな。

「そ、そうか。とにかく、もう自己紹介してたみたいやけど、俺のクラスのツレな。毎日そっちのクラスの人間ばっかやったし、こいつも一緒に飯食いたいって言うてたから今度からちょくちょく一緒に来るかもしれへんでよろしく。」

俺がそう言ってクラスの奴を紹介していると、ちょうどそこに秋が屋上に現れた。

「遅くなってごめんね。江崎直弘くんだよね。竜から話は聞いてるわ。よろしくね。」

「ああ、よろしくね。」

「秋、よろしくってあなた大丈夫なの?」

「大丈夫じゃなかったら竜が呼んだりしないよ。それに、前々から竜から話だけは聞いてるから、どんな子かだいたいだけど知ってるからね。一個下に可愛い彼女がいて、その子が来年T高受けるんでしょ?一緒に通えるようになるといいね。」

「そうなんだよ。やっぱり君と竜みたいに一緒にラブラブ登校したいじゃないか。でも、T高は結構レベルの高い学校だからね。彼女は他は良いんだけど、勉強はあまりできないから、どうなるか心配なんだよ。」

「でも、とってもガンバリ屋さんなんでしょ?きっと合格するわよ。信じてあげなきゃ。」

「その通りだね。正月に一緒に合格祈願のお守りも買いに行ったし、きっと合格すると信じてるよ。」

「あのぉ。お二人さん?江崎くんの彼女さんがとってもガンバリ屋さんで江崎くんがその子のことをすっごく大好きなのは解ったんだけど、そろそろお弁当を開いてあげないとマテをしてるワンコたちがかわいそうだよ。」

「ワンコって俺のことか?」

「あらそうよ?敦と竜くん以外の誰がいるのよ。さ、食べましょ。」

優花ちゃんにワンコ扱いされたが、お腹が空いてきたのは確かやから、止めてもろて助かった。直弘の彼女自慢は際限があらへんから、どこかでとめなお昼休みなんてあっという間に終わってまう。俺たちはお弁当を開くと、それぞれいただきますを言って食べ始める。

「そうそう。それで、朝話してたんなんやったん?ひょっとして直弘おると話せん内容?」

俺はご飯を食べ終えると、気になっていた朝の話を訪ねる。そういった意味では今日直弘を呼んだのは失敗だったかもしれへん。

「う~ん。でも竜がせっかく呼んでくれた友達だし、少しくらいならボクの秘密話しても良いと思うんだ。」

「まぁ、色々な事情があるって程度には教えてるから、それなりに話したって。」

「うん。簡単に言うなら、最近、アレが来ないの・・・」

「ぶ・・・アレって、アレ?」

「ん?うん。」

「そ、そうか・・・解った。秋はとにかくできる限り俺の側におりな。他の奴も秋のこと守ったってな。家族には俺の方からきちんと話しするわ。」

「え?あ、うん。確かにそれは嬉しいんだけど・・・」

俺は秋のことをしっかりと守ると約束した。幼い時にしたたわいもない約束だったかもしれないが、今もその気持ちには変わりはない。

その後しばらくその話題には触れずに休み時間を過ごすと、俺たちはそれぞれのクラスへと帰っていく。

「そっか、竜がパパになるんだな。がんばれよ。」

「まだ高校生やってのに、向こうの親にはド叱られするやろな。特に秋のお父さんってかなり古風な人やから、何発か殴られるんは覚悟しなかんわ。」

「うわぁ・・・どうすんの?高校辞めて働く?」

「それも考えないかんな。まぁとりあえずまずは両親に挨拶に行ってからやな。」

俺はこの時アレの意味を完全に履き違えているなんてことは解らずにただこれからのことについて真剣に考えていた。

「すみません。本当に申し訳ないのですが、諸事情により今日は早く帰らせてください。秋とちょっと二人で用事があるんです。」

「え?朝言っていた問題ってそんなに重大なことだったのか?」

「はい。申し訳ありません。」

俺は授業が終わるとまっすぐ体育館に来て川本部長にそういうと、秋を連れて帰ろうとした。そして、教室で何か用事をしていたらしく俺よりも少し遅れて体育館に来た秋を連れて帰ろうとする。

「秋、今日は帰るぞ。」

「え?どうしたの急に?」

「ええから、今日は秋の両親にも話があるから、帰ろ。」

「ん?まぁ、竜がそういうなら。すみません突然。」

「いやいや、いつも二人が一生懸命してるのは知ってるから気にしないで、大事な用事があるんだろ?」

「はい、そうみたいです。本当にごめんなさい。」

秋はなんだか煮え切らない様子だ。確かにあのお父さんにこのことを話したらどうなるか解らないから先延ばしにしたいという気持ちも俺にはあるが、こういうことは早めに済ました方がいいと思う。秋が帰る準備を終えるのを待って二人で自転車置き場へと向かう。

「ひょっとして今日話した内容そんなに心配してくれてるの?」

「心配するにきまっとるやろ?」

「で、でもさ。やっぱり来ないにこしたことはないんだから、そんな心配するようなことでも無い気がするんだ。」

「来ないってのは大問題やろ?」

「え・・・そ、そこまで言わなくても・・・確かにボクは来るのが当たり前だったけど、よくよく考えたら来る方がおかしいんだし、優花たちもそう言って励ましてくれたのに・・・」

「ん?来る方がおかしい?」

「ちょっと待って、竜何か勘違いしてない?」

ここまで話が進んで俺は秋が言っていたアレの意味を理解してしまった。

「ああ、そうみたいやわ。ずっとアレってしか聞いてへんかったけど、ひょっとしてアレって不幸のこと?」

「う、うん。」

「なるほどな。確かに最近来てへんな。ほんでもって大人になると増えてたな。」

「大人になると?」

「実はな・・・」

ここで俺は朝教室に行って秋たちの会話を拾い聞いていたことを伝える。そして、そのことが完全な勘違いだったことに二人で笑ってしまう。

「あははっは。どんな勘違いをしてるんだよ。まさかそんな風に伝わってるなんてボクも思わなかったよ。」

「俺かてあんな言葉だけじゃわからへんつの。第一、全部聞いてた優花ちゃんたちは絶対勘違いに気づいてたやろ?」

「う~ん。確かにそうかもしれないね。でも、だからこそ黙ってたのかもね。」

「ん?なんでや?」

「だって、優花にはもう一つ相談したんだもん。」

「もう一つ?不幸が減ったことはええことやろ?何を相談するんや?」

「確かに不幸が減ったこと自体は良いことだよ。でも、それで嫌になることもあるの。」

「不幸が減ったと思ったらしわ寄せで大きな不幸が起こるとか思ってへんか?そんなことあらへんやろ。まぁあったとしても俺らがついとるんやから切り抜けられるって、安心しとき。」

「違うんだ。確かにそれもあるかもって考えたんだけど、もっと単純なことで悩んでたんだよ。」

「ん?もっと単純なこと?」

「竜はボクを不幸から守ってくれるって約束してくれたよね?」

「当たり前やろ?」

「でも、不幸がなくなったら、竜がボクの側にいてくれる理由がなくなるんじゃないかなって・・・」

俺は秋の心配してる理由が全く解らなかったらしい。こんなことで秋が悩むなんて考えてもみなかったんや。

「馬鹿やな。俺は秋が不幸やから守ったるんやないで?秋が好きやから不幸でも守ったるんや。俺は秋と違って嫌いな人まで守ってやろうなんてやさしさはもっとらへんからな。俺の側におり、秋が不幸でも幸せでも、ずっとおったらええねん。」

「ちょ・・・」

秋は俺の言葉に真赤になってしまった。今は体育館に寄って着た分少し、下校する生徒たちの集団から外れているとはいえ、いつもよりもそれに近い時間なわけで、当然周りにはかなりの生徒たちがいるわけで、今の場所はそんな生徒たちが通る自転車置き場と電車へ向かうための曲がり角だったりして、簡単に言うならすっごく目立ってしまっている。

「秋、とりあえず、この場所は離れようか。ちょっとばかり人が多すぎるわ。」

「う、うん。」

秋もそのことに気づいたらしく、俺に促されて移動を始める。今更部活に出る気も起らなかった俺たちは今日は勘違いから生まれたとはいえそのことは後日先輩たちに謝れば済むということで、久しぶりにデートに出かけてきちんと俺が秋のことを大切にしていることを証明することになった。



クリスマスからいきなり一月に飛ぶのかよと思った皆様申し訳ありません。

正月などイベント事があったにも関わらずそれより重要なイベントがあるので一月まで進めてしまいました。

今回のテーマは~勘違い~です。アレってなんだよと思った皆様、本当にありがとうございます。アレについていち早く気づいた皆様、素敵でございます。竜のセリフなどにさりげなく隠してみたのですが、AKIの文章に慣れている人だと、ひょっとしたら一瞬で見抜けたかもしれません。

それにしても、アレって本当に大変ですよね。一か月遅れたりしたらもう・・・ちょっとしたストレスなんかで遅れていてもひょっとしたら?なんて考えてしまうものです。竜が勘違いしたアレについて解らない人は解らないままもうしばらく大人になるのを待ちましょう。

ちょっとR15タグ付けた方が良いかもと後悔しているAKIでおおくりいたしました。


それでは、ここまでお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。



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