チャプター74
それぞれの距離
北条家の別荘にて清々しいクリスマスの朝を迎えているボク、夜中までずっと話し込んでいた者、さっさと寝てしまった者、それぞれだったが、朝食の時間になったのでみんな眠たい目を擦りながら起きだしてきた。
この中で唯一寝むそうにしていないのは竜と敦君くらいのものだろう。
「おはよう。みんなちゃんと寝たの?眼の下がクマだらけだよ。」
「おはよう。昨日は結局遅くまで話し込んじゃったから、あまり寝てないのよ。秋はきちんと寝たみたいね。」
「ボクもみんなとそれほど変わらないと思うよ。結局竜と一緒に遅くまで話していたからね。」
「その割には、上田君と坂本君は元気そうですわね。私なんてたしなみとしてこらえているものの、今にも欠伸が出そうだというのに・・・」
「二人は毎日の朝練で早起きには慣れてるからね。ボクも朝は強い方だとおもってたんだけど、流石にあんな遅くまで起きてたから少し辛いよ。」
「大丈夫か?秋の場合体調悪い時が一番危険なんやろ?朝ご飯の後もう一度寝て来るか?」
「もう、昨日寝かせてくれなかったのは竜でしょ。」
ボクはそう言って口をとがらせるが、全然怒っていない。そのことが伝わっているのだろう。竜も笑って流している。
と、そんなボクに何やら怪しい視線が降り注ぐ。
「ん?どうしたのみんな?」
「良く考えたら、部屋を抜け出したことはプレゼントが置いてあったことから解ったけど、その後の足取りを知らないのよね。秋と竜くんは私たちの部屋にプレゼントを置いた後どこに行ってたの?」
そう言って和美がボクにずいっと顔を寄せて来る。キスされそうになるまで近づいてきたので軽く顔を引いてボクは応える。
「しばらくはまた竜の部屋にいたんだけど、その後は優花と敦くんと一緒にいたわよ。ね?」
「うん。私とツン先生は“一緒の布団で夜を明かしたのよ。”うらやましいでしょ?」
「またそういうことを言う。優花がボクの膝の上で寝ちゃって離してくれなかったんでしょ。あの時狸寝入りしてたの解ってるんだぞ。」
「えへへ。だって、ツン先生がプレゼントをくれたし、色々嬉しいことがたくさんあったから、つい。」
「あんなぁ。つい、であんなことしてたら、俺らの立場はどうなるねん。なぁ敦?」
「そうだね。これ以上俺のところに災いを持ちこまないでくれないかな?特に嫉妬的な意味合いでの災いだらけだ。」
「たまにはこうして刺激を与えないと、マンネリしちゃうわよ。ねぇ~ツン先生?」
「いやいや、その話は昨日の夜に散々聞かされたから、もう満足よ。でも、確かにいつもと違うところに来ると、普段できなかったことができるようになったり、新鮮な気持ちになるのは本当かもね。」
「うんうん。」
優花と昨夜の話の続きで盛り上がっていると、和美たちから非難の声があがる。主に優花がボクのことを独占したことによる抗議の声が多いような気がするのは気のせいだろう。
「そうでしたの。私ももっと蟹津さんと話せると思っていたのに残念ですわ。今度いらしたときには是非私にも色々な話をお聞かせになってくださいね。蟹津さんの場合、私の想像しないような面白い出来事があったと長田さんから聞きましてよ。」
「ボクの秘密をバラしたの?もう・・・」
昨夜女の子たちの部屋での話題にボクの過去の話が上がっていた様子だが、和美が手を合わせてごめんなさいをしてきたので許してあげる。ボクの中で昨夜からミーちゃんも心友の仲間入りなのだ。
「そろそろ飯食べやん?お腹すいてもたわ。」
「そうですわね。せっかくのスープが冷めてもいけませんし、食事にしましょう。」
竜は食べ物にうるさい割にこうしてみんなが食べ始めるまではしを伸ばさない。食べる時も必ずいただきますを言うなど時々マナーが良いなと思う時がある。まぁそのおかげで司にお弁当をかすめ取られたことが何度もあるんだけどね。
朝食を取りながら昨夜渡したボクのプレゼントの話題になる。
ミーちゃんがミサンガをもらったことを言うと、全員の顔に何とも言えない安らいだ雰囲気が流れた。
ミーちゃんも昨夜のうちに和美や明実からそのミサンガの意味を聞いていたので、どこかほっとしたような恥ずかしそうな顔をしながら喜んでいた。
「あんなにライバルだって言ってたのに、どうしてミーちゃんにミサンガを渡す気になったんや?」
「ライバルって言っても、心友には変わりないからね。色々な好きがあっても良いと思うんだ。どんな形の好きでも、ボクにとっては掛け替えの無い宝物だから、そんな純粋な気持ちには応えて行きたいんだよ。ミーちゃんからの好きは特殊過ぎて気づくのに遅くなっちゃったけどね。」
「わ、私がい、いつ、蟹津さんのことをす、好きだなんて・・・」
「こんな風にミーちゃんが言う時はいつも照れてる時なんだよ。ライバルとして認めてるって証拠だとボクは思うんだ。だから、こんな形の好きも良いかなって。」
ボクはそう言ってバッチンとウィンクをミーちゃんに送る。そんなボクにみんなが呆れた様なやさしいような笑顔をくれて、ミーちゃんは慌てふためいていた。先ほどまで眠気に負けないで完璧だったマナーが微妙にくるってしまったらしく、喉に食べ物を詰まらせたみたいで、水に手を伸ばしている。
「そんなに動揺されるとは思ってなかったよ。最近では仲良くなってきてたし、今回だって別荘に呼んでくれたり、それなりに打ち解けてきてると思ってたんだけど・・・」
ボクがそう言って悲しそうな顔をすると、今度は違う意味でミーちゃんがあわてだす。ミーちゃんの目を少し上目遣いで見て最後の駄目押しをする。
「ボクの心友じゃ嫌?」
「そ、そんなこと、ありませんわ。私も蟹津さんとこれからも仲良くしたいと思ってましてよ。」
「わ~い。ありがとう。」
そう言って笑顔になる。先ほどの雰囲気が演技だったことに驚いているのか、ミーちゃんはボクの顔を見てボーっとしてしまっている。ん?なんだか、ミーちゃん以外もボーっとしてない?
「みんなどうしたの?」
「「かわいぃいぃぃぃ!!」」
その場にいた女の子全員から声が上がり、隣に座っていた優花からは抱きしめられてしまった。背の高い優花に抱きしめられるとぬいぐるみの様に、ギュッと包み込まれてしまうので、ボクは苦しくなって抗議の声を上げる。
「ツン先生がそういうことをすると、本当に可愛くって仕方がないわ。どうしてそういう乙女心をくすぐるような行動を取るのかしら。」
「ボクは何もしてないよ。それより、ちょっと苦しいから。」
「う~ん。離してあげない。ツン先生があんなことをあんな顔で言うからいけないんだよ。」
中学校の時に、ボクの周りにいてくれた子たちはみんな、どちらかというとお姉さん的な立場だったが、高校に来てからはそれがどうやら逆転してしまっているようだ。唯一ミーちゃんは妹的な立場じゃないが、優花にしろ、明実にしろボクのことを頼りにしてくれているような感じがする。
ボクが中学の時よりも大人になったのかもしれないが、それだけではなく、個々人の関係の成り立ちや、立場の違いがそうさせるのだろう。こうして抱きしめられる時も、中学までならやさしく包み込まれるような感じだったのに比べて、懐かれている感がぬぐえない。
「優花。そろそろ離してあげないとつーちゃんが苦しそうだぞ?それにしても、つーちゃんは今すぐ舞台女優になっても売れる気がするね。」
「うんうん。ツン先生のあの目を見たら誰だって一コロよ。」
そう言って優花は離してくれた。ちょっと酸欠で顔が赤くなっているかもしれない。抗議の意味を込めて下からにらもうとしたのだが、目に少し涙が貯まっている状態ではあまり意味がないかもしれない。
「あ、あつし・・・これ以上私耐えきれないかもしれない。」
「う・・・我慢するんだ。隣で竜がすごい勢いで見てるから・・・」
「え?」
ボクは先ほどから優花に抱きしめられていたために優花の方ばかり見ていたので竜の様子は見ていなかった。
敦君に言われて竜の方を見ると、複雑そうな顔で見ていた。
「あ、えっと・・・ごめんね?」
「かまへんよ。それより、これからどうするん?昼くらいまで遊んでから帰る予定だったやんな?秋と優花ちゃんはお目当ての場所があるからええけど、俺や敦はなんもすることあらへんのとちゃう?」
「う~ん。そういえばそうだね。」
竜が言ったお目当ての場所というのは、昨日紹介してもらった部屋のことだろう。ボクや優花が行くとなれば女の子たちはみんな来るだろうから、そうなると竜と敦君にはやることがない。
どうしたものかと考えていると、それとは関係のないところで和美が声を上げた。
「ねね。そういえば、さっきから竜くんも敦くんもお互いのこと名前で呼んでるよね?今までは苗字だったのに、どういう心境の変化?」
「そういえば・・・」
ボクと優花は昨夜からずっと聞いていたにもかかわらず、余りに自然に使っていたので気付かなかった。二人もなんだか今更といった雰囲気があり、どう説明していいのかわからないようだ。
「それだけ打ち解けてきたってことじゃない?呼び方がちょっと変わったくらいでびっくりしすぎだよ。」
「まぁそれはそうなんだけど、敦くんって、普段は優花と一緒にいるから気がつかなかったけど、アレじゃない?」
「ん?アレ?」
「背も高くてバスケをしてるから体つきもがっちりしてるんだけど、顔が中性的っていうか、なんというか・・・」
明実のアレという発言も和美の言葉も良く解らなかった。どうやら、昨夜、女子の部屋で話されていた内容に関係があるらしく、そのあたりも含めてミーちゃんにきちんと話してもらう。
「その・・・上田君が余りにも蟹津さんになにもしませんので、男性に興味があるのではという話になり、それで相手はどなたかという・・・」
「「ぶはぁ!!」」
ちょうど水を手にしていた竜と敦君が同時に吐きだした。そして、ボクと優花はそれぞれの人物に疑いの目を向ける。
「「竜(敦)そうだったの・・・」」
「ちょま!!」
「ちが・・・」
ボクの方は竜がそんなことはないことを知っているのでからかって言っただけだったのだが、優花と敦君の方はそれだけでは収まりがつかなかった。濡れ衣であることを主張しよと言葉を発する前に、優花の右フックが敦君のわきばらに突き刺さり、それ以上の言葉をださせてはくれなかった。
「まぁ、竜はこれでもプレイボーイだから、そんなことはないよね。敦君、男の子が好きでも竜は駄目だよ。」
「いや、だから、俺は違うって、勝手に言われて俺が本当にそうかどうかも確認しないで殴るなよ。」
「良いの。敦は私以外の男の子も女の子も好きになっちゃだめなんだから。」
「そしたら、優花はつーちゃんのこと大好きだろ?それは良いのか?」
「それはいいの。」
そこから優花と敦君の言いあいがまた始まった。
とはいっても、優花も最初の一撃が悪かったと自覚しているようなので、今回は敦君に謝って終わってしまいそうだ。
「ああ、今日は結果帳部屋に置いてきちゃったわ。」
「後でつけたら大丈夫よ。たしか、敦くんが9勝で優花が75勝よ。敦くんが年末までに二桁勝利を飾れそうね。」
和美と明実がそんなことを言っている。ケンカに夢中な二人は気づいていないが、和美と明実の中で二人のケンカは日常となっており、二学期の始めくらいから勝ち数を数えており、どちらが勝つかでお菓子をかけているのだとか、ついでに敦君が勝つことが少ないことを把握したあたりで、敦君に賭けて勝った時は大穴でかなりのボーナスがあるんだとか、今回は和美が先に言いだして笑顔になったことからも、敦君に賭けていたのだろう。
そんな風に脱線しながらも、クリスマスを北条の別宅で過ごすことはすでに決まっており、今後どうしようか悩んでいたところに、一通のメールが到着する。
(昨日の晩は楽しめた?私たちもささやかだけど、パーティしたんだよ。来年はメグも一緒にクリスマス過ごしたいね。)
文字だけ拾うとだいたいこんな感じだが、最近の鈴からのメールは絵文字がたくさんあって読みにくい。
ボクはメールよりもできるだけ直接会いたいタイプの人間なので、あまり凝ったメールをしないが、鈴も麻美も最近ではケータイの機能を存分に発揮したメールをくれる。
「ん?ひょっとして鈴ちゃんか、麻美あたりからメール?」
「うん。良くわかったね。」
「司か浩太だったらそんな顔しいひんからな。そういえば、昨日の晩の話、司達にも教えておくぞ?」
「ええ?だって、あんなのおかしくない?竜がそういうならちょっとあたってるかもしれないけど、流石に現実離れしすぎてるよ。」
「そうか?まぁ解らんからこそ相談しといたほうがええと思うし、司たちには俺の方から言っとくわ。」
竜がこう言ってくれるのは良くあることだ。高校に入ってから、ボクにとって不安定な日々が続いた時、竜は自分なりにボクのことを守るためにどうしたら良いのかを考えてくれ、その結果として、中学の時に大切だった仲間たちと何度も相談をしていたようだ。
今は高校が違うから、中学までのようにいつも一緒というわけにはいかないが、それでも心の支えになってくれている頼れる心友なのだ。
「なぁ、俺と敦はテニスでもしとるから、みんなは秋と一緒にあの部屋行っててくれてええぞ?俺らは体動かせれば別にかまへんからな。」
「それなら、私達も、外にいきませんこと?蟹津さんたちの邪魔をするのも悪いのではなくって?」
「いや、ミーちゃんはツン先生と一緒にいた方がいいと思うよ。私とツン先生だけだと解らないことがたくさんありそうだしね。」
優花はそう言ってくれたが、それ以上にボクがミーちゃんと竜が一緒にいるのを嫌がっているのを理解しての言葉だろう。
優花にはなんだかんだ言って全てのことを伝えてしまっているかもしれない。
優花にせがまれるとなんでも許してしまうのは先生としてはいけないかもしれないが、優花は見た目に反して人懐っこい性格なので、どうしても色々と世話を焼きたくなり、そうしているうちに色々と聞きだされているのだ。
「それもそうですわね。私もせっかくですし、蟹津さんが絵を描いているところを見てみたいですわ。」
ミーちゃんは最近ボクのことを敵視しなくなってきた。純粋にすごいと思うことに関しては褒めてくれる。ただし、テストや体育の時間などはやはりまだボクとの対戦を願うような態度が目立つので、その時は正々堂々と戦っている。
「私たちはどうするの?」
「明実も和美も一緒においでよ。せっかく美術部に入ったんだから、絵が描けるようになった方がうれしいでしょ?和美はテニスって言われてちょっと久しぶりにやりたくなっちゃった?」
明実は優花と一緒にできることもあって今では美術系の物に興味があるらしい。最近ではちょっとした作品を描いたり作ったりして美術部としての活動にも積極的に参加しているらしい。
それとは逆に、和美は美術部に入ったとはいっても、ボクが行かないときには全く顔を出さない状態で、今回も竜たちに付いていってテニスをするようだ。
「それじゃあ、ボクたちもある程度やったら外に行くことにするね。今日は一日晴れてるみたいだから、お昼は外でお弁当にしようか?ボクと優花が美味しいお弁当を作ってあげるから、期待しておいてね。」
「つーちゃんのお弁当食べれるん久しぶりだね。期待してなくっちゃ。」
「あ~つ~し~!!」
「優花が美味しいお弁当を作って敦君を見返してあげたら良いんだよ。さ、なにはともあれ先に絵の方を済ましちゃおう。今度いつ来れるか解らないから、今日のうちにある程度進めておきたいからね。」
「うぅ・・・良いもん。ツン先生が一緒に作ってくれるなら今日は絶対美味しいお弁当作ってやるんだから。」
敦君は拗ねている様子の優花にまたしてもチョッカイを出しているが、敦君なりの愛情表現なのかもって最近は思い出した。実際に敦君は文句を言うことはあっても、優花が作ってきたお弁当だったりお菓子だったりを残したことはない。空手をやっていたとはいえ、優花は女の子だ。本来なら殴り合いのケンカなどになった時に敦君が力で負けるはずがない。それでも優花が一方的に殴ったりしてもちゃんと仲直りをしているところをみると、敦君は優花のことが大好きなのだろう。
まぁ、素直じゃないのは人のことを言えないからそのあたりについてはあまり突っ込んではいないけど、敦君と竜の仲が良いのは敦君のその態度がボクと似ているからかもしれない。
「さぁ、それじゃあ予定も立ったことですし、移動しましょう。」
「うん。」
ミーちゃんは普段から慣れているから違和感がないかもしれないが、屋敷の使用人の人たちが何もかもしてくれているのを居心地悪く感じてしまったボクたちは朝食のお礼と昼食は自分たちで作るからということを伝えると、各自移動を始める。
しばらくはボクと優花で話しながら絵を描く準備をしていたのだが、昨夜寝ていないというミーちゃんと明実がソファーで折り重なるようにして寝てしまったので、優花が毛布をもらってきてかけてあげた。
絵を描きだすと集中しだしたことを理解した優花も隣で黙って見ていてくれたので、部屋の中は鉛筆を動かす音だけが静かに流れる。
「こんな感じでどうかな?」
「うん。すごく良いと思うよ。ミーちゃんが見たら驚くかもだけどね。」
「ふふふ、じゃあ、完成するまで見ちゃダメって言ってこのキャンパスは持って帰ることにしようか。」
「良いかもね。でも、この休み中に描いちゃうんでしょ?」
「そうだね。ここに来てから湧きだしたイメージがあるから、できるだけそのイメージが鮮明なうちに描きたいしね。」
「うん。でも、急いで描かなくても大丈夫だから、ツン先生のペースで描いてね。」
「了解しました。さて、それじゃあこの子たちはちょっとこのままにしておいて、お昼の準備に行こうか?」
「そうだね。まだ時間もあるみたいだし、二人ですれば七人分くらいすぐでしょ。」
「若干二名ほどたくさん食べる子がいるから多めにつくらなくっちゃいけないけどね。テニスで体を動かしていたから、余計にお腹がすいているだろうしね。」
ボクと優花はそう言ってキッチンの方へと移動する。七人分も作ると言っても、それほど凝ったものを作るわけでもなく、ボクと優花は材料が十分あることを確認すると、手分けをして作り始めると、一時間ほどで完成する。
「ちょうど良い時間になったね。それじゃあ、優花は寝ている二人を起こしてきてくれる?ボクはこれを持って先にコートの方に行ってるよ。」
「は~い。敦に先に食べないように言っておいてね。」
「三人が来るまでボクがお弁当守ってあげるから、安心して良いよ。」
ボクがお弁当を持ってコートに着くと、ベンチでぐったりしている和美と元気に走り回っている二人が見えた。
「和美、大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも、秋が膝枕してくれたら少しは大丈夫になるかも。」
ボクが和美に駆け寄って声をかけるとそんなことを言い出した。どうやら和美も昨夜遅くまで起きていてあまり寝ていないらしく、そんな状況で運動をしたのでここで休憩していたのだとか。
「お~ほっほっほ。長田さんもその程度でダウンするなんて、その程度ではテニス界にこの人ありとうたわれた私には勝てませんことよ。」
誰も勝ちたいとは思っていないだろう。優花は明実を起こすのに苦労しているのかまだ来ていないが、ミーちゃんは先に来たらしい。それにしても、さっきまで寝ていた自分は差し置いてそんなことを言っているあたりまだねぼけているのかもしれない。何よりもボク以外の人間に挑発している辺り通常ではないだろう。
「ミーちゃんってテニス得意だったの?」
「私これでも中学の時には学校では一番でしたのよ。」
「ミーちゃんが行っていた中学って?まぁいいや、じゃあお弁当の後に一緒に打とうか。優花たちも来たみたいだし、竜と敦君もお腹がすいたでしょ?」
絵のこともおおよその見当がついたので、午後からはボクもみんなと一緒に外で過ごすことにし、みんなでお弁当を食べたら、ミーちゃんとも試合をすることになった。
中学の時のメンバーとは違った雰囲気はあるが、あの時の場面を写した絵のように、暖かい時間を過ごすことができた。
この後の展開は皆様の予想どおり?敦と優花はじゃれあい、和美は秋に甘え、竜は独占できないことにさみしさを覚え、明実はいつものようにほんわかしていて、美香はテニスも勝負を挑み、秋がテニスにおいても才能を発揮してくれることでしょう。
これにてクリスマスイブならびにクリスマスの北条家別荘の話を終わります。
今回のテーマは~秋から見た心友たちの様子~です。
最近タイトルから書くとテーマとタイトルが被ってしまうAKIです。かといって、インスピレーションを大切にしているAKIは一度決めたタイトルを変更するのも違和感があり、趣向に合わないと判断した場合を除いて変更しておりません。
皆様には、タイトルと誰目線での話しかを見ていただいて、こんな内容ではないかと思いながら読んでいただけると安心して読んでいただけるかと思います。
あまりにも違和感あるタイトルで読者の皆様がちょっと待てよと感じなければ十分と思ってます。
そんな目標の低い作者ではありますが、ここまでおつきあいくださいまして本当にありがとうございます。